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一人だけ?の、特別面接 3
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「星野さん、これを」
美月は机の上に差し出された薄緑色の封筒を受け取った。
「中を確認したうえで、この書類に署名してくれますか?」
しかし、何気なく発せられたその言葉は、美月のあるトラウマを刺激した。
美月は震える指先で封筒を開け、食い入るようにもらった中身を確かめていく――
……実は、美月には自分そして親しい者達、共に認めるある特技があった。
それは、超集中。一旦、美月がその状態に陥ると、凄まじい威力を発揮する。
しかし、その力は一点特化型。つまり、美月の意識は集中している事柄のみで埋め尽くされ、その他の事柄そして感覚は遮断される。
当然、声などかけても振り向かないし、反応もしない。
そのことを知る筈もない緑雨は、美月が視線を落とし封筒を開けた瞬間、部屋の四隅にちらりと合図と送った。
緑雨の眼は、美月が素通りしてきた部屋の隅々に、思い思いの体勢で寛ぎこちらを窺っている異形の旧友達を、しかと捉えている。
目と目とでコンタクトを取り、やがて控えめにそれらは語りだす――
(……ぉぉ~ぃ、おお~い。聴こえとるか?)
(ケラケラ。駄目じゃな、びくともせんわい)
(視るのも駄目、聴くのも駄目。こりゃ、外れかな?)
(しかし、随分とモノ共には好かれとるようじゃが……)
(まあ、あれらは自分らに向けられる感情にひどく敏感じゃからな~)
(この子はきっと、古き良いモノを好む質なんじゃろう)
(本質も素直で純粋じゃ。見ていて心地よい)
(なのに、四季家の古狸めに苛められて、可哀想に……)
(そうじゃ、そうじゃ!ぬけぬけとさぞこの娘に重大な過失のあるような言い方をしおって……!)
最初の控えめさは、何処へ行ったのか――瞬く間に普通の人間でさえ、何か感じ取る位の騒ぎとなる。
その中で一人全く動じず、美月はひたすら封筒の中身の書類を読んでいた……。
何事かアクションを起こすのでは?と半ば期待しずっと見守っていた緑雨は、しばらく経ってから外れ、との判断を下す。
何らかの異能力持ちがこの状態に耐えられる筈がない、と確信したからだ。
視えずとも、聴こえずとも、古くから畏怖を持って敬い奉られてきた彼らには、尋常ではない気配がある。
その気配が全開の今でさえ、美月はピクリとも反応しない。
いや、これはこれである種の才能なのか……?
まあ良い。例え無能力で普通の人間だったとしても、当分は『食』グループが彼女に張り付いて離れまい。
担当がそちらになるというだけだからな。
考えのまとまった緑雨は、この騒動ではこちらの身が保てない、とばかりに、今度は小さく首を振って彼らに黙れの合図を送る。
異形の旧友たちはまだまだ言い足りない、とぶつくさ言いながらも、ここは緑雨の顔を立て段々と騒ぎは沈静化していった。
それと同時に、美月が顔を上げた。
うん、何処にも変な条文、例文はない。
……一つだけ気になったのは、やっぱり場合によっては泊まりになるという説明文だけど、テスト中にはっきりと発掘し伸ばすべき才能の素が確認された時のみ時間をかけて調査する、と書かれてある。当然、滅多にない事らしいから、わたしには関係のない話だね。
よし、これは署名しても大丈夫!
とある事情により、すっかり十五の子供らしくない思考で判断した美月は、明るい声で手を伸ばした。
「サインします。書類をください!」
美月は机の上に差し出された薄緑色の封筒を受け取った。
「中を確認したうえで、この書類に署名してくれますか?」
しかし、何気なく発せられたその言葉は、美月のあるトラウマを刺激した。
美月は震える指先で封筒を開け、食い入るようにもらった中身を確かめていく――
……実は、美月には自分そして親しい者達、共に認めるある特技があった。
それは、超集中。一旦、美月がその状態に陥ると、凄まじい威力を発揮する。
しかし、その力は一点特化型。つまり、美月の意識は集中している事柄のみで埋め尽くされ、その他の事柄そして感覚は遮断される。
当然、声などかけても振り向かないし、反応もしない。
そのことを知る筈もない緑雨は、美月が視線を落とし封筒を開けた瞬間、部屋の四隅にちらりと合図と送った。
緑雨の眼は、美月が素通りしてきた部屋の隅々に、思い思いの体勢で寛ぎこちらを窺っている異形の旧友達を、しかと捉えている。
目と目とでコンタクトを取り、やがて控えめにそれらは語りだす――
(……ぉぉ~ぃ、おお~い。聴こえとるか?)
(ケラケラ。駄目じゃな、びくともせんわい)
(視るのも駄目、聴くのも駄目。こりゃ、外れかな?)
(しかし、随分とモノ共には好かれとるようじゃが……)
(まあ、あれらは自分らに向けられる感情にひどく敏感じゃからな~)
(この子はきっと、古き良いモノを好む質なんじゃろう)
(本質も素直で純粋じゃ。見ていて心地よい)
(なのに、四季家の古狸めに苛められて、可哀想に……)
(そうじゃ、そうじゃ!ぬけぬけとさぞこの娘に重大な過失のあるような言い方をしおって……!)
最初の控えめさは、何処へ行ったのか――瞬く間に普通の人間でさえ、何か感じ取る位の騒ぎとなる。
その中で一人全く動じず、美月はひたすら封筒の中身の書類を読んでいた……。
何事かアクションを起こすのでは?と半ば期待しずっと見守っていた緑雨は、しばらく経ってから外れ、との判断を下す。
何らかの異能力持ちがこの状態に耐えられる筈がない、と確信したからだ。
視えずとも、聴こえずとも、古くから畏怖を持って敬い奉られてきた彼らには、尋常ではない気配がある。
その気配が全開の今でさえ、美月はピクリとも反応しない。
いや、これはこれである種の才能なのか……?
まあ良い。例え無能力で普通の人間だったとしても、当分は『食』グループが彼女に張り付いて離れまい。
担当がそちらになるというだけだからな。
考えのまとまった緑雨は、この騒動ではこちらの身が保てない、とばかりに、今度は小さく首を振って彼らに黙れの合図を送る。
異形の旧友たちはまだまだ言い足りない、とぶつくさ言いながらも、ここは緑雨の顔を立て段々と騒ぎは沈静化していった。
それと同時に、美月が顔を上げた。
うん、何処にも変な条文、例文はない。
……一つだけ気になったのは、やっぱり場合によっては泊まりになるという説明文だけど、テスト中にはっきりと発掘し伸ばすべき才能の素が確認された時のみ時間をかけて調査する、と書かれてある。当然、滅多にない事らしいから、わたしには関係のない話だね。
よし、これは署名しても大丈夫!
とある事情により、すっかり十五の子供らしくない思考で判断した美月は、明るい声で手を伸ばした。
「サインします。書類をください!」
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