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救出へ ~あやかし第三班
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自分達と戯れ遊んで下さった巫女を助けるため、それに少しでも役立ちそうなモノを探しに異界から飛び出そうとしたあやかし第三~五班だったが、異界を抜け出す前に早くも有望そうなモノを察知する。
(うう~む、我々の棲む異界に、これまた仰山と入り込んでおるな~)
(普段なら、有無を言わさず蹴散らしに参るところじゃが、今はかえって好都合じゃ)
(おおよ、此度の侵入者どもを骨の髄まで巫女様のために、役立ててみせようぞ――!)
士気を高めるあやかし第三~五班。
(しかし、小物ばかりじゃな……いや、六つ、七つ?ばかり使えそうなものもおるか?)
(この巫女様の大事に、小物は不要。見込みのあるモノのみを狙えよ?)
(あい、分かった!我ら第三班、これより北西の大きな二つの集団を狙う!)
(ならば、我々第四班は、南の集団を!)
(であるならば、わしら第五班は東じゃな!)
(皆の者、合言葉は?!)
(巫女様を、救え~~!)
(よし!その言葉通り、巫女様を第一に考えよ。では、幸運を!)
その言葉を最後にあやかしどもは三つに分かれ、各々目指す方角へと走り去った――
さてその後、美月が飛び込んだ狭間から、最も近い北西の二つの集団を目指し、ひた走ったあやかし第三班だったが、近づくにつれ皆で首を傾げることとなる。
(おかしいな?……二つの集団だと思ったのじゃが)
(不味いな、一つの大きな集団になってしもうたか……!)
急ごしらえで十と一つに分かれた妖し班であったが、実はそれなりに考えられてはいた。
身命を賭して、と名乗りを上げた第一班は、鬼ごっこをしたあやかしどもの中でも最強の部類であり、その志を継ぐ第六~十班まではその数字の順のままの強さと考えても良い。
管理者に助けを求めに行った第二班は、強さよりも速さを持ち味とするあやかしども。
そして、巫女様を救え!の合言葉を持つ第三班は十班より下、つまりあの中では七番目という微妙な強さの集団だった。
とはいえ、彼らは混じり気のない純粋なあやかしであり、特に縄張り内であるこの異界においては、そんじょそこらのモノ共に遅れは取らない自負もある。
……が、しかし、大きな二つを別々に相手取るのならば、まだ勝負は分からなかったが、ソレらがさらに大きな一つになってしまうとかなり分が悪い。というか、確実に敗ける――――
(これは、不味い)(不味いな)
(けれども、引くわけにはゆかぬ)
(どうする?)(どうしようか……?)
それでも、間近にある大きな魚、若しくは巫女様を助ける生贄を諦められず、あやかし第三班はそろり、そろりとそちらへと近づいていくと、女の大きな声が辺りに響き渡った。
「……ええい!うるさい!やってしまったことをねちねち、ねちねちと――!」
(開き直って済む事態と思うか?!山姫――!!)
「分かっておるわ!じゃから、妾もこうして探しておろうに……!」
(当たり前じゃ!……可哀想に、今頃あの子はどんなに心細く思っておることか)
「……それは、うっかり異界へ落としてしまったことは、妾も悪かったと思っておる。――じゃが!其方らの眼は節穴か?!あの子が、あの女子が単なる普通の人間じゃと?!無能力者だと断じたじゃと?!呆れたことじゃ!」
(自らの早とちりを逆ギレによって曖昧にしようとは、こちらこそ呆れて口が塞がらぬわ!)
「何じゃと――!」(やるか――?!)
一触即発のその雰囲気に、あやかし第三班は喜々として話し合う。
(おお――?!仲違いしておる!)
(やれ、これは幸い。やはり別々の集団じゃったか――?!)
(どちらを攫う?……いや、連れていくか?)
(む?……むむ?!この力――?……あの女の、山姫とかいう妖しの力は、巫女様を縛っておった――?!)
(そういえば?!……そう、この力じゃ!)
と、いうことは?!とあやかし第三班は互いに顔を見合わせて、巫女様のか~た~き~!と、いきなりその場へとなだれ込んだ……。
急に打ちかかって来たあやかしどもに山姫は驚くも、そこは零落したとはいえかつては山の女神とも崇め祀られた身の上、穏やかに同族ともいえる深山のあやかし達に話しかける。
「――これ、……これこれ。妾は其方らの縄張りを荒したりはせぬ。ここへは、人探しに来たのじゃ。……そうじゃ!其方らよ、この位の(山姫は肩辺りを示す)小さな、少したれ目じゃがぱっちりした瞳の、何とも愛らしい女子をこの辺りで見なかったかえ?」
(巫女様だ――!!)
(やはり、こやつの仕業か?!許すまじ!)
(モノ共かかれ~~!その身を縛られていた、巫女様の無念を晴らすのだ!)
なおもいっそう激しく打ちかかって来るあやかしどもに、山姫は慌てて声を上げる。
「ま……待て待て待て!――何を言っておる?!妾は其方らの敵ではないぞ?!」
その言葉を聞くと、あやかし第二班は苛立たし気に皆で山姫を睨み付ける。
(よくもそんな白々しい事を言うものじゃ!)
(巫女様を何処へとも知らぬ場所へ送るための道に縛りつけておいたくせに――!)
(我らが道を砕かねば、巫女様をどうしていたことか――?!)
しかし、その言葉を聞いた途端、今度は山姫の態度が一変する。
「…………道を、砕く?道を、砕いただと――――?!さては、其方らが元凶か――――!!」
怒髪天を衝く勢いで、あやかし第二班へと向き直った山姫。
しかし、そこで事の成り行きを冷静に見守っていた第三者――緑雨の旧友達が間に割って入った。
(双方、抑えよ!今、最も大事なのは、その女子――星野美月の身の安全じゃ!……我らは認めておらぬが、例え山姫の言うような異能者であったとしても、この異界は人にとって危ういもの。一刻も早う、その身の安全を確保したい。して、その子は何処にいるのじゃ?)
その言葉にはっと我に返る山姫とあやかし第三班。
そして、自らの使命を思い出したあやかしどもは、涙ながらに巫女様が狭間へと転落したことを告げる。
(何と――――?!それでは、このように争っている場合か!一刻も早う、其処へ案内せよ!!)
形相の変わった旧友達と山姫に詰め寄られたあやかし第三班は、即座に応じ、こうして美月救出という一つの目的に結ばれた三つの集団は、最速でその狭間へと向かうことになった――
(うう~む、我々の棲む異界に、これまた仰山と入り込んでおるな~)
(普段なら、有無を言わさず蹴散らしに参るところじゃが、今はかえって好都合じゃ)
(おおよ、此度の侵入者どもを骨の髄まで巫女様のために、役立ててみせようぞ――!)
士気を高めるあやかし第三~五班。
(しかし、小物ばかりじゃな……いや、六つ、七つ?ばかり使えそうなものもおるか?)
(この巫女様の大事に、小物は不要。見込みのあるモノのみを狙えよ?)
(あい、分かった!我ら第三班、これより北西の大きな二つの集団を狙う!)
(ならば、我々第四班は、南の集団を!)
(であるならば、わしら第五班は東じゃな!)
(皆の者、合言葉は?!)
(巫女様を、救え~~!)
(よし!その言葉通り、巫女様を第一に考えよ。では、幸運を!)
その言葉を最後にあやかしどもは三つに分かれ、各々目指す方角へと走り去った――
さてその後、美月が飛び込んだ狭間から、最も近い北西の二つの集団を目指し、ひた走ったあやかし第三班だったが、近づくにつれ皆で首を傾げることとなる。
(おかしいな?……二つの集団だと思ったのじゃが)
(不味いな、一つの大きな集団になってしもうたか……!)
急ごしらえで十と一つに分かれた妖し班であったが、実はそれなりに考えられてはいた。
身命を賭して、と名乗りを上げた第一班は、鬼ごっこをしたあやかしどもの中でも最強の部類であり、その志を継ぐ第六~十班まではその数字の順のままの強さと考えても良い。
管理者に助けを求めに行った第二班は、強さよりも速さを持ち味とするあやかしども。
そして、巫女様を救え!の合言葉を持つ第三班は十班より下、つまりあの中では七番目という微妙な強さの集団だった。
とはいえ、彼らは混じり気のない純粋なあやかしであり、特に縄張り内であるこの異界においては、そんじょそこらのモノ共に遅れは取らない自負もある。
……が、しかし、大きな二つを別々に相手取るのならば、まだ勝負は分からなかったが、ソレらがさらに大きな一つになってしまうとかなり分が悪い。というか、確実に敗ける――――
(これは、不味い)(不味いな)
(けれども、引くわけにはゆかぬ)
(どうする?)(どうしようか……?)
それでも、間近にある大きな魚、若しくは巫女様を助ける生贄を諦められず、あやかし第三班はそろり、そろりとそちらへと近づいていくと、女の大きな声が辺りに響き渡った。
「……ええい!うるさい!やってしまったことをねちねち、ねちねちと――!」
(開き直って済む事態と思うか?!山姫――!!)
「分かっておるわ!じゃから、妾もこうして探しておろうに……!」
(当たり前じゃ!……可哀想に、今頃あの子はどんなに心細く思っておることか)
「……それは、うっかり異界へ落としてしまったことは、妾も悪かったと思っておる。――じゃが!其方らの眼は節穴か?!あの子が、あの女子が単なる普通の人間じゃと?!無能力者だと断じたじゃと?!呆れたことじゃ!」
(自らの早とちりを逆ギレによって曖昧にしようとは、こちらこそ呆れて口が塞がらぬわ!)
「何じゃと――!」(やるか――?!)
一触即発のその雰囲気に、あやかし第三班は喜々として話し合う。
(おお――?!仲違いしておる!)
(やれ、これは幸い。やはり別々の集団じゃったか――?!)
(どちらを攫う?……いや、連れていくか?)
(む?……むむ?!この力――?……あの女の、山姫とかいう妖しの力は、巫女様を縛っておった――?!)
(そういえば?!……そう、この力じゃ!)
と、いうことは?!とあやかし第三班は互いに顔を見合わせて、巫女様のか~た~き~!と、いきなりその場へとなだれ込んだ……。
急に打ちかかって来たあやかしどもに山姫は驚くも、そこは零落したとはいえかつては山の女神とも崇め祀られた身の上、穏やかに同族ともいえる深山のあやかし達に話しかける。
「――これ、……これこれ。妾は其方らの縄張りを荒したりはせぬ。ここへは、人探しに来たのじゃ。……そうじゃ!其方らよ、この位の(山姫は肩辺りを示す)小さな、少したれ目じゃがぱっちりした瞳の、何とも愛らしい女子をこの辺りで見なかったかえ?」
(巫女様だ――!!)
(やはり、こやつの仕業か?!許すまじ!)
(モノ共かかれ~~!その身を縛られていた、巫女様の無念を晴らすのだ!)
なおもいっそう激しく打ちかかって来るあやかしどもに、山姫は慌てて声を上げる。
「ま……待て待て待て!――何を言っておる?!妾は其方らの敵ではないぞ?!」
その言葉を聞くと、あやかし第二班は苛立たし気に皆で山姫を睨み付ける。
(よくもそんな白々しい事を言うものじゃ!)
(巫女様を何処へとも知らぬ場所へ送るための道に縛りつけておいたくせに――!)
(我らが道を砕かねば、巫女様をどうしていたことか――?!)
しかし、その言葉を聞いた途端、今度は山姫の態度が一変する。
「…………道を、砕く?道を、砕いただと――――?!さては、其方らが元凶か――――!!」
怒髪天を衝く勢いで、あやかし第二班へと向き直った山姫。
しかし、そこで事の成り行きを冷静に見守っていた第三者――緑雨の旧友達が間に割って入った。
(双方、抑えよ!今、最も大事なのは、その女子――星野美月の身の安全じゃ!……我らは認めておらぬが、例え山姫の言うような異能者であったとしても、この異界は人にとって危ういもの。一刻も早う、その身の安全を確保したい。して、その子は何処にいるのじゃ?)
その言葉にはっと我に返る山姫とあやかし第三班。
そして、自らの使命を思い出したあやかしどもは、涙ながらに巫女様が狭間へと転落したことを告げる。
(何と――――?!それでは、このように争っている場合か!一刻も早う、其処へ案内せよ!!)
形相の変わった旧友達と山姫に詰め寄られたあやかし第三班は、即座に応じ、こうして美月救出という一つの目的に結ばれた三つの集団は、最速でその狭間へと向かうことになった――
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