35 / 80
救出へ ~あやかし第二班
しおりを挟む
美月が闇の中をさ迷い始めた頃、急ごしらえのあやかし第二班はようやく緑雨理事長のところへと到達し、彼に巫女様救出の要請をしている真っ只中であった……。
けれども、…………
「……待て。待て待て待て。そもそも、巫女様、というのは、一体誰のことなのだ?」
一体いつの間にそんな存在を見つけていたのか、と訝しみながらも、少しでも多くの情報を集めるべく、緑雨が問いただそうとすると、
(巫女様は、巫女様じゃ!)
(会えば、一目で判ろうぞ!)
(そんなことは、今はどうでもよい!!)
(早う!)(一刻も早く!)(狭間へ落ちられた我らの巫女様の救出を……!)
相当切羽詰まった様子で、とにかく急げ!急げ!と騒ぎ立てる有様で要領を得ず、従って緑雨は何が何だか訳の分からないままであった。
いつもは間に入り妖しどもの調整を担ってくれている旧友達は、全て星野美月捜索へと出払っていて、緑雨ではイマイチ彼らとの意思疎通がスムーズにいかない。
いつもは我関せずと一族にとんとご無沙汰な彼らあやかしの、いつになく必死な嘆願に手を差し伸べ、少しでも貸しを作りたいのは山々だったが、生憎緑雨の方も絶賛取り込み中である。
こちらも出来得る限りの人員モノ員総出で早期解決をせねば、誠にヤバい案件なのだ。
ここは心を鬼にして、と心を決めた緑雨が口を開いたとき、ふとあやかしどもの一人が大切そうに握りしめている物が目に留まった。
――――ソレは?!ま、まさか?!!
非常に見覚えのある薄緑色の何か――――緑雨はいつの間にか額に浮かんだ汗をぬぐいながら、ソレに手を伸ばす。
(何をするっ?!これは、大切な巫女様の持ち物、我の預かりものだぞ?!)
(そうじゃ、そうじゃ!巫女様が大切そうにずっと握りしめていた物じゃ!)
(口惜しや、我が拾えば、我から巫女様に届けられたものを……!)
(お前に渡すくらいなら、わしが預かってやるぞ?)
(我も!)(わしも!)(俺も!)
騒ぎ立てるあやかしどもをものともせず、どうか見間違えであってくれ!と願いつつも素早くソレを手にした緑雨は、一気に項垂れ、呻き声を上げた。
――――何故だ?!何故、これがここにある?!
手にしたソレは、間違いなく特別面接時に配布する薄緑色の封筒だった。
緑雨は震える指先で中を確かめると、中からは予想通り星野美月の受験票が――――!
「巫女とは、星野美月のことか?!何がどうして、そうなった――――!!」
絶叫と共に、近くにいたあやかしの一人の肩を掴み、激しく揺さぶる緑雨。
しかし、次の瞬間には、はっと我に返り鬼の形相で対策を練り始める――――
「いかん、いかん。このようなことをしている場合ではない。不味い、時間がない。……狭間に落ちたとなると、一刻の猶予もないな」
(だから、先程からずっと我らがそう申しておるじゃろうが!)
(そうだ!)(そうだ!そうだ!)
「うるさい、黙れ!……分かった。星野くん、いや、巫女?の救出には我々も全面的に協力しよう!」
(おお~!)(……やれやれ、やっとか)(……決断が遅いわ!)
「黙れ。……いや、とにかく時間が惜しい。どの狭間に落ちたのかは、もちろん把握しているな?今すぐに案内してもらおうか」
(願ってもない!)(行こう、行こう!)(直ちにな!)
緑雨は短い間に方針を定め、手助けになりそうな人材全てに伝令を送り、自ら異界へと乗り出した。
けれども、…………
「……待て。待て待て待て。そもそも、巫女様、というのは、一体誰のことなのだ?」
一体いつの間にそんな存在を見つけていたのか、と訝しみながらも、少しでも多くの情報を集めるべく、緑雨が問いただそうとすると、
(巫女様は、巫女様じゃ!)
(会えば、一目で判ろうぞ!)
(そんなことは、今はどうでもよい!!)
(早う!)(一刻も早く!)(狭間へ落ちられた我らの巫女様の救出を……!)
相当切羽詰まった様子で、とにかく急げ!急げ!と騒ぎ立てる有様で要領を得ず、従って緑雨は何が何だか訳の分からないままであった。
いつもは間に入り妖しどもの調整を担ってくれている旧友達は、全て星野美月捜索へと出払っていて、緑雨ではイマイチ彼らとの意思疎通がスムーズにいかない。
いつもは我関せずと一族にとんとご無沙汰な彼らあやかしの、いつになく必死な嘆願に手を差し伸べ、少しでも貸しを作りたいのは山々だったが、生憎緑雨の方も絶賛取り込み中である。
こちらも出来得る限りの人員モノ員総出で早期解決をせねば、誠にヤバい案件なのだ。
ここは心を鬼にして、と心を決めた緑雨が口を開いたとき、ふとあやかしどもの一人が大切そうに握りしめている物が目に留まった。
――――ソレは?!ま、まさか?!!
非常に見覚えのある薄緑色の何か――――緑雨はいつの間にか額に浮かんだ汗をぬぐいながら、ソレに手を伸ばす。
(何をするっ?!これは、大切な巫女様の持ち物、我の預かりものだぞ?!)
(そうじゃ、そうじゃ!巫女様が大切そうにずっと握りしめていた物じゃ!)
(口惜しや、我が拾えば、我から巫女様に届けられたものを……!)
(お前に渡すくらいなら、わしが預かってやるぞ?)
(我も!)(わしも!)(俺も!)
騒ぎ立てるあやかしどもをものともせず、どうか見間違えであってくれ!と願いつつも素早くソレを手にした緑雨は、一気に項垂れ、呻き声を上げた。
――――何故だ?!何故、これがここにある?!
手にしたソレは、間違いなく特別面接時に配布する薄緑色の封筒だった。
緑雨は震える指先で中を確かめると、中からは予想通り星野美月の受験票が――――!
「巫女とは、星野美月のことか?!何がどうして、そうなった――――!!」
絶叫と共に、近くにいたあやかしの一人の肩を掴み、激しく揺さぶる緑雨。
しかし、次の瞬間には、はっと我に返り鬼の形相で対策を練り始める――――
「いかん、いかん。このようなことをしている場合ではない。不味い、時間がない。……狭間に落ちたとなると、一刻の猶予もないな」
(だから、先程からずっと我らがそう申しておるじゃろうが!)
(そうだ!)(そうだ!そうだ!)
「うるさい、黙れ!……分かった。星野くん、いや、巫女?の救出には我々も全面的に協力しよう!」
(おお~!)(……やれやれ、やっとか)(……決断が遅いわ!)
「黙れ。……いや、とにかく時間が惜しい。どの狭間に落ちたのかは、もちろん把握しているな?今すぐに案内してもらおうか」
(願ってもない!)(行こう、行こう!)(直ちにな!)
緑雨は短い間に方針を定め、手助けになりそうな人材全てに伝令を送り、自ら異界へと乗り出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる