(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

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救出へ ~あやかし第二班

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 美月が闇の中をさ迷い始めた頃、急ごしらえのあやかし第二班はようやく緑雨理事長のところへと到達し、彼に巫女様救出の要請をしている真っ只中であった……。
 けれども、…………

「……待て。待て待て待て。そもそも、巫女様、というのは、一体誰のことなのだ?」

 一体いつの間にそんな存在を見つけていたのか、と訝しみながらも、少しでも多くの情報を集めるべく、緑雨が問いただそうとすると、

(巫女様は、巫女様じゃ!)
(会えば、一目で判ろうぞ!)
(そんなことは、今はどうでもよい!!)
(早う!)(一刻も早く!)(狭間へ落ちられた我らの巫女様の救出を……!)

 相当切羽詰まった様子で、とにかく急げ!急げ!と騒ぎ立てる有様で要領を得ず、従って緑雨は何が何だか訳の分からないままであった。

 いつもは間に入り妖しどもの調整を担ってくれている旧友達は、全て星野美月捜索へと出払っていて、緑雨ではイマイチ彼らとの意思疎通がスムーズにいかない。

 いつもは我関せずと一族にとんとご無沙汰な彼らあやかしの、いつになく必死な嘆願に手を差し伸べ、少しでも貸しを作りたいのは山々だったが、生憎緑雨の方も絶賛取り込み中である。
 こちらも出来得る限りの人員モノ員総出で早期解決をせねば、誠にヤバい案件なのだ。

 ここは心を鬼にして、と心を決めた緑雨が口を開いたとき、ふとあやかしどもの一人が大切そうに握りしめている物が目に留まった。

 ――――ソレは?!ま、まさか?!!

 非常に見覚えのある薄緑色の何か――――緑雨はいつの間にか額に浮かんだ汗をぬぐいながら、ソレに手を伸ばす。

(何をするっ?!これは、大切な巫女様の持ち物、我の預かりものだぞ?!)
(そうじゃ、そうじゃ!巫女様が大切そうにずっと握りしめていた物じゃ!)
(口惜しや、我が拾えば、我から巫女様に届けられたものを……!)
(お前に渡すくらいなら、わしが預かってやるぞ?)
(我も!)(わしも!)(俺も!)

 騒ぎ立てるあやかしどもをものともせず、どうか見間違えであってくれ!と願いつつも素早くソレを手にした緑雨は、一気に項垂れ、呻き声を上げた。

 ――――何故だ?!何故、これがここにある?!

 手にしたソレは、間違いなく特別面接時に配布する薄緑色の封筒だった。
 緑雨は震える指先で中を確かめると、中からは予想通り星野美月の受験票が――――!

「巫女とは、星野美月のことか?!何がどうして、そうなった――――!!」

 絶叫と共に、近くにいたあやかしの一人の肩を掴み、激しく揺さぶる緑雨。
 しかし、次の瞬間には、はっと我に返り鬼の形相で対策を練り始める――――

「いかん、いかん。このようなことをしている場合ではない。不味い、時間がない。……狭間に落ちたとなると、一刻の猶予もないな」

(だから、先程からずっと我らがそう申しておるじゃろうが!)
(そうだ!)(そうだ!そうだ!)

「うるさい、黙れ!……分かった。星野くん、いや、巫女?の救出には我々も全面的に協力しよう!」

(おお~!)(……やれやれ、やっとか)(……決断が遅いわ!)

「黙れ。……いや、とにかく時間が惜しい。どの狭間に落ちたのかは、もちろん把握しているな?今すぐに案内してもらおうか」

(願ってもない!)(行こう、行こう!)(直ちにな!)

 緑雨は短い間に方針を定め、手助けになりそうな人材全てに伝令を送り、自ら異界へと乗り出した。

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