(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

文字の大きさ
45 / 80

……そんなの、決められないよ 2

しおりを挟む
 深刻な口調で告げられた霖雨教師の言葉を理解できず、美月は思わず聞き返した。

「――え?……狭間の核って――?何のことですか?……一歩も動けないって、どうして――?」
「狭間の核とは、星野さんの抱えているソレのことです。――この狭間は、元々ソレの性質を反映して出来たもの。……怨み辛みで闇に染まり、全ての生命を吸い尽くし、己と同化させる――今のままならば、やがて、此処は闇へと沈むことでしょうね。人の世で何年、何十年、または何百年後になるかは不明ですが……ソレには、此処をこのようにした責任、因果があります。此処をこのままにして、それを為した核のみが逃れることは、ほぼ不可能です」

 救いのみえない末路を告げられた、美月の腕の中のツキは、ビクッとその小さな身体を揺らす。
 それを痛ましげに見遣った霖雨教師は、それでも決然と美月を促す。

「視たところ、ソレも正気に戻った様子。それが良かったのか、悪かったのか――それは、ソレの今後の心がけ次第でしょう。この荒廃した狭間の中で、独り。それに耐えられるか否か。耐えられねば、それまでの話。けれども、それに耐えることができれば――――また別の道が開かれるかもしれません。救いへの道の選択が出来たことだけでも、ソレにとっては在り得ない程の僥倖なのです。……さあ、星野さん、分かったなら、早くこちらへ――」

 美月は呆然と荒れ果て生命の息吹が欠片も感じ取れない、冷たくて寂しい周囲を見回した。

「…………こんなところに独り、ツキを残していけない――だって、お家に連れて帰るって、……お家の子にするって約束した――」

 しかし、その無意識に零れ落ちた美月の言葉によって、その場に最大限の驚愕が走り抜け、その後ピシリと周囲の空気が凍りついた。
 周りのあやかし達は皆、驚愕の表情のまま凍り付き、微動だにしない。
 
 やがて、息の詰まるような重苦しい沈黙を破って、低い、物凄く低い地を這うような声で霖雨教師が美月を問いただす。

「今、――――今、ソレを何と呼びましたか?まさか、まさか星野さん、あなた、ソレに名を――――?!」
「ツキのこと――――?でも、子ネコにだって、名前は必要でしょ?」

 何が問題なのかを欠片も理解していない様子で、きょとんと首を傾げる美月とツキに、凍り付いていたあやかし達は衝撃のあまりかえって解凍され、再び大きなどよめきが起きる。

(なんと――――!ソレを唯の子ネコ・・・・・とな!)
(大馬鹿者め――!問題点は、そこではないわ!!)
(そうじゃ、そうじゃ!問題点が思いっきりズレておるわぁーーー!!)
(問題は、巫女様が――――ソレと!)
(そうじゃ、ソレと――――!)
(名づけによって、結ばれてしまったあぁぁぁぁぁーーー!!!)

 阿鼻叫喚の騒ぎの中、霖雨教師は頭を抱えながら、なおも言い募る。

「…………しかも、よりによって、星野さん、あなた、自分の名前の一部をソレに渡しましたね?何ということを――――!」

 収拾のつかなくなった場に、霖雨教師の横に黙って佇み、冷静に状況を分析していた秋霖 湊――学園側の救出隊の中で唯一美月の場所を特定できるとして、偵察のため初めに霖雨教師と共に狭間に入ることになった――が口を開こうとした途端、その場に再び三つ目の大音声が鳴り響いた。

(皆のモノ、静まれぃーーー!!!あい分かったぁーー!此処の核のお役目、今後は我、一角鬼の三つ目が仕ろうぞーー!)

 思いもよらないその言葉に、騒然としていた場は即座に静まり、一転して辺りは静けさに包まれた――――

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...