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……そんなの、決められないよ 2
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深刻な口調で告げられた霖雨教師の言葉を理解できず、美月は思わず聞き返した。
「――え?……狭間の核って――?何のことですか?……一歩も動けないって、どうして――?」
「狭間の核とは、星野さんの抱えているソレのことです。――この狭間は、元々ソレの性質を反映して出来たもの。……怨み辛みで闇に染まり、全ての生命を吸い尽くし、己と同化させる――今のままならば、やがて、此処は闇へと沈むことでしょうね。人の世で何年、何十年、または何百年後になるかは不明ですが……ソレには、此処をこのようにした責任、因果があります。此処をこのままにして、それを為した核のみが逃れることは、ほぼ不可能です」
救いのみえない末路を告げられた、美月の腕の中のツキは、ビクッとその小さな身体を揺らす。
それを痛ましげに見遣った霖雨教師は、それでも決然と美月を促す。
「視たところ、ソレも正気に戻った様子。それが良かったのか、悪かったのか――それは、ソレの今後の心がけ次第でしょう。この荒廃した狭間の中で、独り。それに耐えられるか否か。耐えられねば、それまでの話。けれども、それに耐えることができれば――――また別の道が開かれるかもしれません。救いへの道の選択が出来たことだけでも、ソレにとっては在り得ない程の僥倖なのです。……さあ、星野さん、分かったなら、早くこちらへ――」
美月は呆然と荒れ果て生命の息吹が欠片も感じ取れない、冷たくて寂しい周囲を見回した。
「…………こんなところに独り、ツキを残していけない――だって、お家に連れて帰るって、……お家の子にするって約束した――」
しかし、その無意識に零れ落ちた美月の言葉によって、その場に最大限の驚愕が走り抜け、その後ピシリと周囲の空気が凍りついた。
周りのあやかし達は皆、驚愕の表情のまま凍り付き、微動だにしない。
やがて、息の詰まるような重苦しい沈黙を破って、低い、物凄く低い地を這うような声で霖雨教師が美月を問いただす。
「今、――――今、ソレを何と呼びましたか?まさか、まさか星野さん、あなた、ソレに名を――――?!」
「ツキのこと――――?でも、子ネコにだって、名前は必要でしょ?」
何が問題なのかを欠片も理解していない様子で、きょとんと首を傾げる美月とツキに、凍り付いていたあやかし達は衝撃のあまりかえって解凍され、再び大きなどよめきが起きる。
(なんと――――!ソレを唯の子ネコとな!)
(大馬鹿者め――!問題点は、そこではないわ!!)
(そうじゃ、そうじゃ!問題点が思いっきりズレておるわぁーーー!!)
(問題は、巫女様が――――ソレと!)
(そうじゃ、ソレと――――!)
(名づけによって、結ばれてしまったあぁぁぁぁぁーーー!!!)
阿鼻叫喚の騒ぎの中、霖雨教師は頭を抱えながら、なおも言い募る。
「…………しかも、よりによって、星野さん、あなた、自分の名前の一部をソレに渡しましたね?何ということを――――!」
収拾のつかなくなった場に、霖雨教師の横に黙って佇み、冷静に状況を分析していた秋霖 湊――学園側の救出隊の中で唯一美月の場所を特定できるとして、偵察のため初めに霖雨教師と共に狭間に入ることになった――が口を開こうとした途端、その場に再び三つ目の大音声が鳴り響いた。
(皆のモノ、静まれぃーーー!!!あい分かったぁーー!此処の核のお役目、今後は我、一角鬼の三つ目が仕ろうぞーー!)
思いもよらないその言葉に、騒然としていた場は即座に静まり、一転して辺りは静けさに包まれた――――
「――え?……狭間の核って――?何のことですか?……一歩も動けないって、どうして――?」
「狭間の核とは、星野さんの抱えているソレのことです。――この狭間は、元々ソレの性質を反映して出来たもの。……怨み辛みで闇に染まり、全ての生命を吸い尽くし、己と同化させる――今のままならば、やがて、此処は闇へと沈むことでしょうね。人の世で何年、何十年、または何百年後になるかは不明ですが……ソレには、此処をこのようにした責任、因果があります。此処をこのままにして、それを為した核のみが逃れることは、ほぼ不可能です」
救いのみえない末路を告げられた、美月の腕の中のツキは、ビクッとその小さな身体を揺らす。
それを痛ましげに見遣った霖雨教師は、それでも決然と美月を促す。
「視たところ、ソレも正気に戻った様子。それが良かったのか、悪かったのか――それは、ソレの今後の心がけ次第でしょう。この荒廃した狭間の中で、独り。それに耐えられるか否か。耐えられねば、それまでの話。けれども、それに耐えることができれば――――また別の道が開かれるかもしれません。救いへの道の選択が出来たことだけでも、ソレにとっては在り得ない程の僥倖なのです。……さあ、星野さん、分かったなら、早くこちらへ――」
美月は呆然と荒れ果て生命の息吹が欠片も感じ取れない、冷たくて寂しい周囲を見回した。
「…………こんなところに独り、ツキを残していけない――だって、お家に連れて帰るって、……お家の子にするって約束した――」
しかし、その無意識に零れ落ちた美月の言葉によって、その場に最大限の驚愕が走り抜け、その後ピシリと周囲の空気が凍りついた。
周りのあやかし達は皆、驚愕の表情のまま凍り付き、微動だにしない。
やがて、息の詰まるような重苦しい沈黙を破って、低い、物凄く低い地を這うような声で霖雨教師が美月を問いただす。
「今、――――今、ソレを何と呼びましたか?まさか、まさか星野さん、あなた、ソレに名を――――?!」
「ツキのこと――――?でも、子ネコにだって、名前は必要でしょ?」
何が問題なのかを欠片も理解していない様子で、きょとんと首を傾げる美月とツキに、凍り付いていたあやかし達は衝撃のあまりかえって解凍され、再び大きなどよめきが起きる。
(なんと――――!ソレを唯の子ネコとな!)
(大馬鹿者め――!問題点は、そこではないわ!!)
(そうじゃ、そうじゃ!問題点が思いっきりズレておるわぁーーー!!)
(問題は、巫女様が――――ソレと!)
(そうじゃ、ソレと――――!)
(名づけによって、結ばれてしまったあぁぁぁぁぁーーー!!!)
阿鼻叫喚の騒ぎの中、霖雨教師は頭を抱えながら、なおも言い募る。
「…………しかも、よりによって、星野さん、あなた、自分の名前の一部をソレに渡しましたね?何ということを――――!」
収拾のつかなくなった場に、霖雨教師の横に黙って佇み、冷静に状況を分析していた秋霖 湊――学園側の救出隊の中で唯一美月の場所を特定できるとして、偵察のため初めに霖雨教師と共に狭間に入ることになった――が口を開こうとした途端、その場に再び三つ目の大音声が鳴り響いた。
(皆のモノ、静まれぃーーー!!!あい分かったぁーー!此処の核のお役目、今後は我、一角鬼の三つ目が仕ろうぞーー!)
思いもよらないその言葉に、騒然としていた場は即座に静まり、一転して辺りは静けさに包まれた――――
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