74 / 80
憧れの学園生活(仮)、開始?! 1
しおりを挟む
明るい朝陽が差し込んできたため、美月はすっきりと自然に目が覚め、う~んと背伸びをしながら、まだ鳴っていない目覚まし時計を解除した。
「うん!今日も良いお天気……!おはよう~クロ、ツキ!」
夜は弱いが、朝はぱっちりと目覚めの良い美月は、元気溌剌に声をかける。
すると、寝相の悪い美月につぶされぬよう、ベッド横の脇机に置かれた籠の中で丸くなっていたツキと、ベッド下で横たわっていたクロが、むっくりと起き上がった。
美月は慣れた手つきでツキの入った籠をさっと抱き上げ、上機嫌でクロと共に朝食の準備に取り掛かるべく、キッチンへと向かっていった。
あの、美月の人生観?を変えた騒動より帰宅してからは、既に十日が経とうとしていた――――
翌日、恐る恐るお迎えのあやかし達と共に山姫作の道を通り過ぎれば、…………山姫申告の通り、素晴らしい性能を持った道であることが判明。
日によっては多少ばらつきのあるものの、お社までの所要時間はたったの三十分以内!
驚きの速さであることに加え、何より交通費が要らない。
美月はなんと徒歩で、通学出来るのだ。
それに気づいた美月は狂喜し、直ぐに定期券を解約――――したかったのだが、生憎現物は閉ざされた狭間の中…………泣く泣くソレは諦め、むしろ上乗せで交通費がかからなかった実情に深く感謝し、夏休み前までの三か月定期券にしておいた自分の英断をほめたたえることにする。
そして、次の交通費をへそくりにしようと、今からすごくすご~く楽しみにしていた……。
さて、肝心の学園生活は、といえば、まだ本格的な授業その他は始まっていないものの、美月は毎日が楽しくて仕方がない。
五月雨学園はどうやら五月一日に各クラスが決定され、ゴールデンウイーク明けから一気に授業その他、課外活動であったり、部活動であったり、と様々な活動が本格化するようなのだ。
四月の今は、全てに(仮)が付き、何でもどんどん試せる期間。
しかも、学園の先輩、OB、果ては社会に出て第一線で活躍するような人まで、ぎっちりと講演、対話する機会を設け、少しでも将来設計の指針となるよう、よく考えられてもいた。
先輩方からは学園生活のノウハウを、OBや社会人の方々からは心構えや学生時代に取り組んだ方が良いアドバイスを学び、美月の毎日は充実していた。
どうやら四月中のクラスはあってないもの扱いらしく、クラスの枠組みを越え、自分の興味があるものをどんどん自分で申し込み、試していく中で、美月の交友範囲もかなり広がっている。
それは、元々社交的な翠のおかげでもある。
美月はあの最初の一週間、何故か季節外れのインフルエンザにかかったことになっていたので、色々心配した翠がたくさん手を貸してくれたのだ。
そのおかげで、美月はすっかり学園に馴染み、今は自分の将来の夢を叶え、学園生活を満喫するために、日々邁進している――――常にあやかし付ではあるが。
そして、今日も――――
「おばあちゃん、行ってきます!」
「はいはい。忘れ物は、ない?お弁当とお茶、持った?――――あら、今日もツキちゃん、連れて行くの?大丈夫?」
「うん!ツキ、まだ小さいし、…………学園の方が連れていらっしゃいって言ってくれて――――」
「そうなの?毎日、御迷惑ではないかしら?……おばあちゃんだって、お世話は出来るわよ?」
「あ、でも……!わたしも、休み時間とかに会えるし……!」
「そう。……ツキちゃん、可愛いものね?分かったわ」
けれども、いつもならそこでにこやかに見送る祖母が珍しくためらいつつも、ねえ、美月ちゃん?と話しを続ける。
「ん?どうしたの、おばあちゃん」
「出かけにごめんね。……いつも美月ちゃんが楽しそうにたくさん学園のお話をしてくれていて、おばあちゃん、とっても嬉しいのだけど…………ね、美月ちゃん。何か困っていたりはしない?」
「困っていること?」
心底きょとんと祖母を見返した美月の様子に、祖母である珠子はほっとして、今度こそ晴れやかに笑った。
「そう、心当たりがないのなら、良いの。…………ああ、良かった!美月ちゃん、無理をしているわけではなかったのね。………………でも、もし、もしも困ったことや何か、……例えば、変なモノを視た、とか、聴いた、とか…………ううん、何でもないの。ただ、おばあちゃんは何時だって美月ちゃんの味方だってことだけ、きちんと心に留めておいてくれる?」
意味ありげな祖母の言葉に首を傾げながらも、美月はこっくりと頷いた。
「うん!分かった。でも、わたしだって、おばあちゃんの味方だよ?」
「あらあら――そうね!じゃあ、約束よ?困ったことが出来たら、お互いに相談するって」
ふふっと祖母は笑って、今度こそ手を振って美月を見送る。
美月は両手でツキの入った籠を抱え、何度も振り返りながら、家から学園へと向かった。
足元にはクロ、そして、後ろには三つ目を従えながら――――
「うん!今日も良いお天気……!おはよう~クロ、ツキ!」
夜は弱いが、朝はぱっちりと目覚めの良い美月は、元気溌剌に声をかける。
すると、寝相の悪い美月につぶされぬよう、ベッド横の脇机に置かれた籠の中で丸くなっていたツキと、ベッド下で横たわっていたクロが、むっくりと起き上がった。
美月は慣れた手つきでツキの入った籠をさっと抱き上げ、上機嫌でクロと共に朝食の準備に取り掛かるべく、キッチンへと向かっていった。
あの、美月の人生観?を変えた騒動より帰宅してからは、既に十日が経とうとしていた――――
翌日、恐る恐るお迎えのあやかし達と共に山姫作の道を通り過ぎれば、…………山姫申告の通り、素晴らしい性能を持った道であることが判明。
日によっては多少ばらつきのあるものの、お社までの所要時間はたったの三十分以内!
驚きの速さであることに加え、何より交通費が要らない。
美月はなんと徒歩で、通学出来るのだ。
それに気づいた美月は狂喜し、直ぐに定期券を解約――――したかったのだが、生憎現物は閉ざされた狭間の中…………泣く泣くソレは諦め、むしろ上乗せで交通費がかからなかった実情に深く感謝し、夏休み前までの三か月定期券にしておいた自分の英断をほめたたえることにする。
そして、次の交通費をへそくりにしようと、今からすごくすご~く楽しみにしていた……。
さて、肝心の学園生活は、といえば、まだ本格的な授業その他は始まっていないものの、美月は毎日が楽しくて仕方がない。
五月雨学園はどうやら五月一日に各クラスが決定され、ゴールデンウイーク明けから一気に授業その他、課外活動であったり、部活動であったり、と様々な活動が本格化するようなのだ。
四月の今は、全てに(仮)が付き、何でもどんどん試せる期間。
しかも、学園の先輩、OB、果ては社会に出て第一線で活躍するような人まで、ぎっちりと講演、対話する機会を設け、少しでも将来設計の指針となるよう、よく考えられてもいた。
先輩方からは学園生活のノウハウを、OBや社会人の方々からは心構えや学生時代に取り組んだ方が良いアドバイスを学び、美月の毎日は充実していた。
どうやら四月中のクラスはあってないもの扱いらしく、クラスの枠組みを越え、自分の興味があるものをどんどん自分で申し込み、試していく中で、美月の交友範囲もかなり広がっている。
それは、元々社交的な翠のおかげでもある。
美月はあの最初の一週間、何故か季節外れのインフルエンザにかかったことになっていたので、色々心配した翠がたくさん手を貸してくれたのだ。
そのおかげで、美月はすっかり学園に馴染み、今は自分の将来の夢を叶え、学園生活を満喫するために、日々邁進している――――常にあやかし付ではあるが。
そして、今日も――――
「おばあちゃん、行ってきます!」
「はいはい。忘れ物は、ない?お弁当とお茶、持った?――――あら、今日もツキちゃん、連れて行くの?大丈夫?」
「うん!ツキ、まだ小さいし、…………学園の方が連れていらっしゃいって言ってくれて――――」
「そうなの?毎日、御迷惑ではないかしら?……おばあちゃんだって、お世話は出来るわよ?」
「あ、でも……!わたしも、休み時間とかに会えるし……!」
「そう。……ツキちゃん、可愛いものね?分かったわ」
けれども、いつもならそこでにこやかに見送る祖母が珍しくためらいつつも、ねえ、美月ちゃん?と話しを続ける。
「ん?どうしたの、おばあちゃん」
「出かけにごめんね。……いつも美月ちゃんが楽しそうにたくさん学園のお話をしてくれていて、おばあちゃん、とっても嬉しいのだけど…………ね、美月ちゃん。何か困っていたりはしない?」
「困っていること?」
心底きょとんと祖母を見返した美月の様子に、祖母である珠子はほっとして、今度こそ晴れやかに笑った。
「そう、心当たりがないのなら、良いの。…………ああ、良かった!美月ちゃん、無理をしているわけではなかったのね。………………でも、もし、もしも困ったことや何か、……例えば、変なモノを視た、とか、聴いた、とか…………ううん、何でもないの。ただ、おばあちゃんは何時だって美月ちゃんの味方だってことだけ、きちんと心に留めておいてくれる?」
意味ありげな祖母の言葉に首を傾げながらも、美月はこっくりと頷いた。
「うん!分かった。でも、わたしだって、おばあちゃんの味方だよ?」
「あらあら――そうね!じゃあ、約束よ?困ったことが出来たら、お互いに相談するって」
ふふっと祖母は笑って、今度こそ手を振って美月を見送る。
美月は両手でツキの入った籠を抱え、何度も振り返りながら、家から学園へと向かった。
足元にはクロ、そして、後ろには三つ目を従えながら――――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる