(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

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憧れの学園生活(仮)、開始?! 1

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 明るい朝陽が差し込んできたため、美月はすっきりと自然に目が覚め、う~んと背伸びをしながら、まだ鳴っていない目覚まし時計を解除した。

「うん!今日も良いお天気……!おはよう~クロ、ツキ!」

 夜は弱いが、朝はぱっちりと目覚めの良い美月は、元気溌剌に声をかける。

 すると、寝相の悪い美月につぶされぬよう、ベッド横の脇机に置かれた籠の中で丸くなっていたツキと、ベッド下で横たわっていたクロが、むっくりと起き上がった。

 美月は慣れた手つきでツキの入った籠をさっと抱き上げ、上機嫌でクロと共に朝食の準備に取り掛かるべく、キッチンへと向かっていった。




 あの、美月の人生観?を変えた騒動より帰宅してからは、既に十日が経とうとしていた――――

 翌日、恐る恐るお迎えのあやかし達と共に山姫作の道を通り過ぎれば、…………山姫申告の通り、素晴らしい性能を持った道であることが判明。

 日によっては多少ばらつきのあるものの、お社までの所要時間はたったの三十分以内!
 驚きの速さであることに加え、何より交通費が要らない。
 美月はなんと徒歩・・で、通学出来るのだ。
 それに気づいた美月は狂喜し、直ぐに定期券を解約――――したかったのだが、生憎現物は閉ざされた狭間の中…………泣く泣くソレは諦め、むしろ上乗せで交通費がかからなかった実情に深く感謝し、夏休み前までの三か月定期券にしておいた自分の英断をほめたたえることにする。

 そして、次の交通費をへそくりにしようと、今からすごくすご~く楽しみにしていた……。


 さて、肝心の学園生活は、といえば、まだ本格的な授業その他は始まっていないものの、美月は毎日が楽しくて仕方がない。

 五月雨学園はどうやら五月一日に各クラスが決定され、ゴールデンウイーク明けから一気に授業その他、課外活動であったり、部活動であったり、と様々な活動が本格化するようなのだ。

 四月の今は、全てに(仮)が付き、何でもどんどん試せる期間。
 しかも、学園の先輩、OB、果ては社会に出て第一線で活躍するような人まで、ぎっちりと講演、対話する機会を設け、少しでも将来設計の指針となるよう、よく考えられてもいた。

 先輩方からは学園生活のノウハウを、OBや社会人の方々からは心構えや学生時代に取り組んだ方が良いアドバイスを学び、美月の毎日は充実していた。

 どうやら四月中のクラスはあってないもの扱いらしく、クラスの枠組みを越え、自分の興味があるものをどんどん自分で申し込み、試していく中で、美月の交友範囲もかなり広がっている。

 それは、元々社交的な翠のおかげでもある。
 美月はあの最初の一週間・・・・・・・・、何故か季節外れのインフルエンザにかかったことになっていたので、色々心配した翠がたくさん手を貸してくれたのだ。

 そのおかげで、美月はすっかり学園に馴染み、今は自分の将来の夢を叶え、学園生活を満喫するために、日々邁進している――――常にあやかし付ではあるが。

 そして、今日も――――

「おばあちゃん、行ってきます!」
「はいはい。忘れ物は、ない?お弁当とお茶、持った?――――あら、今日もツキちゃん、連れて行くの?大丈夫?」
「うん!ツキ、まだ小さいし、…………学園の方が連れていらっしゃいって言ってくれて――――」
「そうなの?毎日、御迷惑ではないかしら?……おばあちゃんだって、お世話は出来るわよ?」
「あ、でも……!わたしも、休み時間とかに会えるし……!」
「そう。……ツキちゃん、可愛いものね?分かったわ」

 けれども、いつもならそこでにこやかに見送る祖母が珍しくためらいつつも、ねえ、美月ちゃん?と話しを続ける。

「ん?どうしたの、おばあちゃん」
「出かけにごめんね。……いつも美月ちゃんが楽しそうにたくさん学園のお話をしてくれていて、おばあちゃん、とっても嬉しいのだけど…………ね、美月ちゃん。何か困っていたりはしない?」
「困っていること?」

 心底きょとんと祖母を見返した美月の様子に、祖母である珠子はほっとして、今度こそ晴れやかに笑った。

「そう、心当たりがないのなら、良いの。…………ああ、良かった!美月ちゃん、無理をしているわけではなかったのね。………………でも、もし、もしも困ったことや何か、……例えば、変なモノを視た、とか、聴いた、とか…………ううん、何でもないの。ただ、おばあちゃんは何時だって美月ちゃんの味方だってことだけ、きちんと心に留めておいてくれる?」

 意味ありげな祖母の言葉に首を傾げながらも、美月はこっくりと頷いた。

「うん!分かった。でも、わたしだって、おばあちゃんの味方だよ?」
「あらあら――そうね!じゃあ、約束よ?困ったことが出来たら、お互いに相談するって」

 ふふっと祖母は笑って、今度こそ手を振って美月を見送る。
 美月は両手でツキの入った籠を抱え、何度も振り返りながら、家から学園へと向かった。
 足元にはクロ、そして、後ろには三つ目を従えながら――――

   
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