引きこもり☆新婚生活

十 的

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 とにもかくにも、俺は女性と握手する。
 すると、目の前に文字が現れた。

 メリーリをフレンド登録しました。

 これで、いいのか?
「ありがとうございます。お姉さまはヒッキー様って言うのですね!」
「ああ、うん。メリーリ」
 ん、お姉さま?
「ところでお姉さまはこれから、どうしますか?」
「ど、どうって?」
「まだモンスターを狩ります? お姉さまのファミリーは消滅してしまったようですけど」
 そう言ってメリーリは、俺の装備を見る。
「フライパン?」
「あの、メリーリ。俺、お姉さまじゃない」
「え、あ、すいません。もう、他に妹がいました?」
「いや、それもいないけど、俺、お」
「お?」
 男なんだって言ったら、また大変なことになっちゃうかな?
「女の子、苦手なんだ」
「え、そ、そうなんですか、それは、すみません!」
 なぜかメリーリは、頭を下げた。
「あ、でも、私とフレンド登録はしてくれましたよね?」
「あ、うん」
「とってもうれしいです!」
 そして、また元気になるメリーリ。
「それじゃあ私は、もうそろそろ時間なのでゲーム終了します」
「あ、じゃあ俺もそうしようかな」
「そうですか? じゃあ、一緒に門まで走りましょう!」
「走る?」
「ええ。基本ですよね?」
 し、知らなかった。
 ゲームって、歩かないんだ。基本。
「わ、わかった。走ろう」
「はい!」
 こうして俺は、メリーリと一緒に走って町まで戻った。
 するとどういうわけか、どれだけ走っても疲れない。
 ああいや、これはゲームだからか。凄いな、ゲーム。前に走って辛かった時とは大違いだ。
 そして、走っている間の道中の敵を、メリーリが全て倒した。
「ヒッキー様は戦わないんですか?」
「俺、バトルコックなんだ。だから、俺自身は戦わない」
「へー。そうなんですか。知らなかった」
 城門まで戻ると、メリーリは俺に笑顔を向けた。
「じゃあ、ここまでくれば瞬間移動できますね。ではまた!」
「うん。え、え?」
 戸惑っている俺をよそに、メリーリは消えた。
「またって。もう、会わなくてもいいのに」
 ひとまず俺も、冒険者ギルドへ瞬間移動しよう。
 そうして俺は、宿部屋に戻って今回のプレイを終えたのだった。

 ゲームを終了して現実の光景を見ると、どこか安心する。
 そして、すぐにウサギ達の世話。
「なでろー」
「頭なでろー」
「はいはい」
 ひとまず今は俺一人だから、落ち着く。
 でもしばらくすると、また永愛式の時の恥ずかしさがよみがえってきて、悶えた。
 ウサギをなでていても、おちつかない。
 また、ゲームをやってみてもいいかな。
 ごはんをやけ食いしてもいいかもしれない。
 そう思い、ゲーム機を頭にセットする。今日はこれで二回目。
 すぐに宿部屋に戻ってきたら、呼び鈴を鳴らして、女性から鶏卵を五個買った。
 ひとまずゆで卵、十個食べてみよう。
 早速料理する。鶏卵は、同時に二個までか。
 二個できたゆで卵を、食べてみる。
 うん。ほろほろで美味しい。水がいらないのもグッド。
 でも、次はゆで卵以外の物を食べたくなったなあ。
 というわけで、目玉焼きに挑戦。
 これも二個同時に焼けた。
 すぐに完成する。そして食べてみると、うん、普通の目玉焼きだ。
 調味料とかないのかな?
 呼び鈴を鳴らして、今度は調味料を探す。
 すると、あった。塩と砂糖だけ。
 まあ、買っておこう。
 そしてアイテム欄を開いた時に、かびたパンも見つける。これは、絶対いらない。拾わない方が良かったかな?
 まあいい。ひとまず砂糖味の卵焼きを作る。
 ちょっと作り方が不安だったので、ガイドを頼る。
「まず、卵を割って、かきまぜてください」
 音声が料理の手順を指示してくれるので、安心。
 そうして出来た卵焼きは、甘くて美味しかった。
 おお、これこれ。もっと食べたい。
 調子に乗って更に二つ作る。そして食べる。
 やはり美味しかった。そして腹にたまらない。
 やっぱりゲームって凄いな。本当に食べ放題なんだ。人によっては夢のような世界だと思う。
 卵焼きはもう満足したから、次はオムレツ。
 塩味で作ってみた。これも美味しい。
 けど、卵料理はもういいか。
 となると、次はどうするか。
 他の非戦闘職、とも考えるけど、やっぱりそっちはやりがいがあるのかどうかと疑ってしまう。
 ああでも、そうなると料理の作り置きは、してもいいかもしれない。そうすれば後でまた好きなだけ食べれるし、それにファミリーにもなるし。
 そういえばファミリーって、他はどんな感じなんだろうか?
 俺はまだ、ゆでたま鳥しか見ていない。きっと他の料理だと、違う姿のはずだ。
 気になる。そして召喚したら、またストーリークエストを目指せるのだし、それでいいと思う。
 よし。じゃあまた料理を作ろう。
 目玉焼き。卵焼き。オムレツ。
 まず目玉焼きをファミリー化すると、白と黄色の、二色の魚になった。それが、空中に浮いている。
 名前はメダマフィッシュ。
「フィーッシュ!」
「うん。たぶんその台詞は、釣った方が言うと思う」
「フィーッシュ?」
 卵焼きをファミリー化すると、黄色いボディーの鶏になった。
 名前はにわたま。
「コケッコー!」
「ゆでたま鳥と同じくらいの大きさだな」
 最後に、オムレツをファミリー化。すると、大きな黄色いスズメが現れた。
 名前はオムスズメ
「チュチュッチュー!」
「これが卵三銃士か」
 いや、まだまだ卵料理は他にもあるけど。
「フィーッシュ!」
「コケッコー!」
「チュチュー!」
「よし。それじゃあお前達に頑張ってもらうか。できればお姫様、助けてやれよ」
「フィーッシュ!」
「コケッコー!」
「チュチュッチュー!」
 俺はまた南の地へ瞬間移動した。

 今回は走る。皆もちゃんとついてくる。
 目の前に現れるゴブーン達は簡単に蹴散らせた。その際に俺のレベルも上がる。
「そういえばポイントを使えるんだったな」
 ああ、でも今は外にいるから、いいや。また思い出したらやろう。
 すぐにファーストワームがいる所まで戻って来る。すると、今回のファミリーも、ファーストワームに苦戦した。
 でも、結構余力は残っているか。連戦はできそうにないが、すぐに全快しそうだ。
「ファミリー回復」
 皆の体力を満タンにしてから、更に先に進む。
 何度かファーストワームを倒すと、またレベルが上がった。
 その後、新モンスターが現れる。
「シヤー!」
 蛇だ。名前はウェイスネーク。レベルは9。
 こいつに、我が精鋭たちは食い散らかされた。
「ああ、メダマフィッシュ、にわたま、オムスズメ!」
 ダメだ。回復が間に合わない。全員消滅する。
「こうなったら、逃げる!」
 来た道をダッシュ。すると、なんとかウェイスネークから逃げることができた。
「ふう。助かった。いや、でも帰り道もモンスターが現れるだろう。このままじゃ死んでしまうな」
 アイテム欄を見る俺。そこにあるのはゆで卵。
「ゆでたま鳥召喚」
「ピヨー!」
「ピヨー!」
「ピヨー!」
「よし、お前達。戦え」
「ピヨ!」
 全員一斉に鳴いて、さあ進む。
 幸いファーストワームは倒せると分かっている。おお、ゆでたま鳥達も、結構余裕そうにミミズを倒せるようになってきたな。
 一回ゆでたま鳥の一体が、ミミズに白い液を吐きかけられたけど。まあなんとかなった。
 やっぱりファーストワームは白い液を吐くんだな。たまに。
 まあ、俺の場合は、自分だけ離れてるから大丈夫だけど。
 ところで、今、俺は町へ戻るべきだろうか?
 帰ってもすることはあまりないけど、今は道を外れてでもファーストワームを見つけて倒せば、レベル上げになるんじゃないか?
 どうせまだウェイスネークは倒せないんだし、やっておいた方がよくない?
「よし。お前達。もっと戦うぞ」
「ピヨー!」
「ピヨー!」
「ピヨー!」
 ファミリー達はやる気十分。
 折角だから、道から外れてみよう。

 草原を歩いていると、ファーストワームをよく見つけた。
 けど結構倒したけど、まだレベルは上がらない。
 もっと倒さないといけないんだろう。でも、ちょっと面倒だ。
 そう思った矢先に、新しいモンスターを見つけた。
 それはまるで雲。というより、大きな綿の塊。
 名前はふわもこ。レベルは7。
 強いか弱いかは、まだわからない。
「よし、お前達攻撃ー!」
「ピヨー!」
「ピヨー!」
「ピヨー!」
 ゆでたま鳥達はいつも通り敵を囲む。するとふわもこは中から白いガスを出して、全体、いや、周囲に攻撃を行った。
 ゆでたま達の体力が削られる。わあ、あいつ強いぞ!
 と思ったが、よく見るとダメージ量は少なかった。俺の回復があれば大丈夫な感じだ。
「ファミリー回復」
 回復を行えば、難なく勝てた。
「よし。こいつは倒せるな」
 見渡すと、ふわもこはまだいっぱいいる。
「ゆでたま鳥達。片っ端から倒すぞ」
「ピヨー!」

 しばらく戦闘を続けていたら、そろそろ魔力が底を尽きてきた。
「今回はもう終わりにするかな」
 そう思ったところで、ゆでたま鳥達が何体目かのふわもこを倒すと、俺のレベルが上がる。
「お、レベルが上がった。これでウェイスネークに勝てるようになったかな」
 そう呟いた時、ふと視界に、今までの白いふわもことは違う、水色のふわもこを見つける。
 あのふわもこ、色が違うな。何か特別なのかな?
 折角だから、接触してみよう。幸い魔力もちょっとはある。そう思い、近づいてみる。
「ゆでたま鳥達、最後にあいつを倒すんだ」
「ピヨー!」
 ゆでたま鳥達はいつも通り敵をリンチにする。するとふわもこは、いつも通り反撃してきた。
 あ、でも、こちらへのダメージがいつもより多い!
「ファミリー回復!」
 俺も魔法を使うけど、どんどんゆでたま鳥達の体力が減っていく。
 こ、これは、逃げた方がいいかな?
 あ、でも、ゆでたま鳥達の攻撃の方が、わずかに強い?
 そう思い見守っていると、ふわもこにギリギリ勝てた。
「ああ、良かった。勝てた」
 ホッとする。だが体力を失ったはずのふわもこは、なぜか消えずに俺へと近づいた。
「え、え?」
 逃げた方がいいかな?
 と思った時、俺の目の前に文字が現れる。

 ふわもこオスを仲間にしました。冒険者ギルドの牧場に送られます。

 その文字と共に、目の前のふわもこが消える。
「な、なんだったんだ。今のは」
 仲間になったということは、あいつに何かさせられるということか?
 まあいい。もう冒険者ギルドに戻ろう。そこでギルド職員に訊こう。
 あ、あとゲームを終える前に、いくつか料理もしておこう。
「ゆでたま鳥達、帰るぞ」
「ピヨー!」
 町に戻るにつれ、敵は弱くなっていく。もう帰り道は怖くない。
 けど、油断したらファミリーはやられて消滅してしまうから、今の内に料理のストックを作っておかないとな。

「仲間にしたオスについてですか? オスはファミリーとして連れ歩いたり、つがいにして娘を産ませることができます」
 呼び鈴を鳴らして来た女性に訊くと、そんな答えが返ってきた。
「ファミリーはいいとして、娘って?」
「はい。あなたとオスの娘です。娘を作ったらオスはいなくなってしまいますが、娘はオスとあなたの両方の遺伝子を引き継いで、冒険で役に立ってくれます。娘もファミリーとして扱われます」
 あああ、なるほど。だから仲間をファミリーっていうのか。
 まあゲームの中だから、なんでもありなのだろう。いや、本当にこれ、ゲームの中だけか?
 オールガール星人って、女しかいないのに存続してるんだよね?
 まあ、いいや。考えてもわからないことはわからない。だから考えないようにする。
「つまり、捕まえたふわもこは放っておいていい?」
「はい。冒険者さんが捕まえたオスは、永久的に保存しておけますよ。ただし、娘はプレイ時間が進む毎に成長します。大きくなったらお別れして、定期的に生活費を送ってもらうこともできます」
 それは嫌だなあ。娘ができるところからもうダメだ。
「わかりました。ありがとう。あ、そうだ。あと食材を買いたいんだけど」
「はい。かしこまりました」
 俺は今回、卵料理以外のものに挑戦する。
 といっても、食べはしない。美味しそうだったら食べるけど、これはファミリー化用だ。

 まず、肉料理。焼き鳥。
 普通にできた。
 次に魚料理。焼き魚。
 普通にできた。
 最後に野菜炒め。
 普通にできた。
 これでまあ、いいかな。これらの料理がどんなファミリーになるかは、次回のお楽しみにしよう。
 そうしたら後は、今思い出したポイントを使おう。
 ステータスポイントは、今魔力しか使ってないから、魔力と素早さに全振りする。これで回復も長続きするし、逃げ足も速くなった。
 スキルポイントは、ファミリー強化というスキルがあったので、それを20ポイント消費で取得。
 すると、ファミリー強化スキルを強化する選択肢が増えたので、きっと今度からはこれを上げ続けるだろう。一回20ポイントかかるから、今はまだできないけど。
 よし。これでやれることはやったはずだ。
 今日はもう終わりにする。またウサギ達をかまってやらないとな。

 翌日。今日も+ワールドをプレイした。
 そして今回もウェイスネークに挑戦しよう。
 今回のファミリーは焼き鳥に焼き魚に野菜炒めか。
「ファミリー召喚」
 ぼん、ぼん、ぼん。三体のファミリー召喚に成功する。
 まず焼き鳥は、赤い鳥になった。
 名前はヤケチキ。たぶん役に立つ。
 次に焼き魚は、焼き目がついた魚に、人の手足がついた姿だった。
 名前はヤキッシュ。きっと役に立つ。
 最後に野菜炒め。これは緑色、黄緑色、濃い緑色の体色をしたブタになった。
 名前はシャキブー。おそらく役に立つ。
「お前達、モンスターを倒してくれ」
「ギャエー!」
「ギョギョー!」
「ブブー!」
 一応、ゆで卵を多めに用意してから出発だ。

 町を出て、道沿いに進み、ファーストワームまでは普通に倒す。
 その間に、三体のスキルも見た。
 ヤケチキとヤキッシュは攻撃力上昇の力。
 そしてシャキブーは、防御力上昇の力。
 どれも自分しか強化しない。
 ちょっと不安になってきた。ウェイスネークは強敵だが、はたしていけるだろうか?
 そしてとうとう、ウェイスネークと再会した。
「ゆけ、お前達」
「ギャエー!」
「ギョギョー!」
「ブブー!」
 いつも通り相手を囲んで、リンチにする。
 お、いけそう。俺の回復魔法もあるし、なんとかウェイスネークを倒せそうだ。
「シャー!」
 と思ったが、ウェイスネークが突然岩を吐き出して、シャキブーに大ダメージを与える。
 けど幸い、シャキブーは防御力を高めた後。なんとか耐えしのぎ、ウェイスネークをボコし終えた。
 ウェイスネークが消滅し、ドロップ品を落とす。落としたのは、ウェイスネークの皮か。まあ、よくわからないけど取っておこう。

「メリーリからメールが届きました」

 その時、俺の耳になにか聞こえた。メリーリ?
 ああ、昨日俺が助けた子か。いや、本当に助けたかはわからないけど。ファミリーすぐ全滅したし。
 ええっと、セレクトでいいのかな。
「セレクト」
 メール機能があった。ええと、なになに。お返しの準備ができました。南門の前まで来てください。か。
 うん。
「ばっくれてもいいかなあ」
 だって、わざわざ会わなくてもいいし。
 と、その時、俺はチュートリアルの女性の言葉を思い出した。
 確か、悪い行いをしたら、天使がそれを許さないとかなんとか。
 ああ、じゃあ、ちゃんと会った方が良いかな?
 まあ、ウェイスネークは倒せたんだし、一度戻るか。
 俺はちょっと遠い目をしながら、町まで走り出した。

 門の前まで来ると、確かにメリーリがいた。
「あ、ヒッキー様。こんにちは!」
 メリーリは笑顔で俺に近づく。
「う、うん」
「あれ。今日はファミリーの皆さん、前と違いますね」
「うん。こいつらは今日、初めて呼んだから」
「あ、そうなんですか。バトルコック、確かに便利ですよね!」
「便利って?」
「え、初期からフルでファミリー集められるから、その分最初有利って、ことですよね?」
「ああ、そうなんだ。ああ、なるほど。言われてみれば。気づかなかった」
 はあー。なるほど、そういう強みがあったんだな。
「ぐ、偶然だったんですか?」
「うん。戦闘が全然できなくて、困ってたら、偶然バトルコックになれた」
「そ、そうだったんですね。凄いです」
「うん。じゃあそれで、お返しって何?」
「あ、そうでした。これ、どうぞ。お受け取りください!」
 メリーリがそう言って空中で何か動作をすると、俺の目の前に文字が現れた。

 アイテム譲渡が申請されました。受け取りますか?

「いや、受け取れないよ」
「もらってください。それがお礼なんですから!」
 メリーリにそう言われ、大人しくもらっておく。
 もらった物は、装備?
「これは、コックの制服?」
「はい。ヒッキー様はバトルコックだっていうのに、服装が初期装備だったから。きっと使ってもらえるかなあーって思いまして」
 そう言ってメリーリは、胸の前で人差し指の先同士をつんつんする。その後、ぎゅっと拳を握って俺を見上げた。
「ど、どうですか、うれしいですか!」
「あ、ありがとう。うれしいよ」
「わーい、良かった!」
 大喜びするメリーリ。その姿は、どこかネーリっぽかった。
「ふふっ」
「あ、あれ。ごめんなさい。私、勝手にうかれちゃって」
「いや、知り合いも君みたいに元気いっぱいだから、思わず似てるなって思っちゃって。ああ、心外だったら、ごめん」
「い、いいえ。全然そんなことないです。え、でも、ヒッキー様って女の子嫌いなんですよね。じゃあその人は?」
「ん、つ」
 俺、ここで現実の話をするのは違くね?
「つ?」
「つ、ついこの前見かけた小学生に似てる。みたいな」
 ちなみに、妻と言おうとしたのをごまかした形である。
「しょ、小学生。私、おこちゃま」
 メリーリは、なぜかショックを受けたようだった。
 き、気まずい、かな?
「じゃ、じゃあ、俺はこれで」
「え、もう行っちゃうんですか?」
「え、まだ何か?」
「あ、あの、えっと。良かったら、もう少し一緒に、いません?」
「ん、んー」
 まあ、俺は物もらってるだけだし、それくらいなら。
「いいけど、何する?」
「じゃ、じゃあ、レベル上げ。レベル上げいきましょう!」
「わかった。また外だね」
「はい。えっと、ヒッキー様は今、何レベルですか?」
「え、えーっと、7レベル」
「じゃあ丁度、ふわもこを倒すくらいですね!」
「え、いいや。ふわもこはもう倒し終わって、次はウェイスネークだけど」
「え、え。ウェイスネーク?」
「うん」
「す、凄い。そっか。バトルコックって、そんなに強いんですね」
「あ、あれ。メリーリはバトルコックのこと、知ってるみたいだったけど、ひょっとして、強くないの?」
「あー、そのー、はい。ファミリーだけを戦わせるなら、コマンダーという職業もありますし。ぶっちゃけ、誰も使ってない、みたいです」
「そうだったんだ。まあでも、俺が遊べるのは、これだけだから。とにかく行こう」
「はい! でもその前に、私があげた装備をつけてください!」
「あ、そうだった」
「えへへ」
 俺はメリーリからもらった装備をつけてから、一緒に走る。
 そしたら、ちょっと俺の方が速かった。
 きっと、素早さを上げたおかげだな。

「ヒッキー様は素材採取とか、しないんですか?」
「え?」
 走っている最中に、メリーリにそう言われる。
「素材採取って?」
「ほ、本当に知らないんですか? そこの草むらとかをまさぐると、何か見つかるんですよ。薬草とか」
「へえ。知らなかった」
「ヒッキー様って、本当にゲーム初心者なんですね」
「でも今はウェイスネークを倒す?」
「いえいえ。ヒッキー様。試しに素材採取してみてください!」
「うん」
 俺はメリーリと一緒に、草むらをまさぐった。
 がさごそ。がさごそ。
 すると確かに、何かを手に取った。
「これは?」
 それは青い石だった。そこから文字が出てくる。

 薬草×1 ハヤの実×1

「それをポケットや胸元に入れるんです」
 なるほど。
 ポケットにしまうと、石は消えた。でも、きっと入手はできたんだろう。
「いらない時はポイッて捨てるんです。錬金術ギルドで素材の説明を聞いたり、攻略サイトを見てみたりすると、使い方がわかりますよ!」
「へえ」
 俺、知らないことばっかりだ。
「ありがとう、メリーリ。いろいろ教えてくれて」
「そんな、私、ヒッキー様と一緒にいられてとても楽しいです。こちらこそありがとうございます!」
「そっか。じゃあ、もういこっか」
「はい!」
「ところで、メリーリは前回ファーストワームと死闘を繰り広げてたけど、もうウェイスネークに勝てるのか?」
「はい。ゲーム内では現実の百分の一の時間の流れですよ。それだけあれば強くなれますって」
「そうか」
 このゲーム内時間って、そんなに凄いんだ。びっくり。
 そんなたわいない話をしながら、俺達は走りつつ採取も続けて、とうとうウェイスネークの元までたどり着く。
 そして俺達は力を合わせて、ウェイスネークを倒し続けた。




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