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五、女は度胸、男に愛嬌
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亮二が振り返ろうとした時、奈津保がポツリと言い掛けた。
「兼隆は………」
「えっ?」
「ねちねちと陰湿だったのは、兼隆の方です」
亮二はすっかり首を巡らせ、後ろの奈津保を見た。
「どういうことです?」
「兼隆は政子に言い寄ったの。夫も子もいるのを知りながら。目代という権威を笠に着て」
「すると兼隆は伊豆に流されて来て以来、政子に眼を付けていた。目代に任じられてから露骨に手を伸ばして来た?」
「ええ。政子は、もちろん取り合わない。でも、頼朝は腹に据えかねていたのよ」
「ふうん」
亮二は考え込みながら、ゆっくり前に向き直った。
「そうか。そこに以仁王の令旨が下った」
「頼朝は令旨を受け取った四月二十七日以降、挙兵する腹づもりでいました」
「清盛は令旨を受け取った源氏全ての討伐を命ずる。頼朝は源氏の筆頭だから、真っ先に狙われることになるな」
「八月二日には、頼朝誅殺を命じられた大庭景親(おおばかげちか)が相模に帰郷しています」
「頼朝はいつ攻められてもおかしくはない状況下にあったんだ」
「伊豆の情勢も変わりました。平氏が坂東を知行国にした時、伊豆だけは別格で源氏の庶流の知行国だったの。でも以仁王とともに源頼政・仲綱父子が亡くなると、伊豆知行国主には平時平、伊豆守には平時兼が任じられました」
「なるほど。二人は赴任しては来なかった。そこで代わりに目代に着任したのが平氏の流れをくむ山木兼隆。名実ともに、伊豆は平氏の知行国になったわけだ」
「それだけではありません。新しく国大将制度を設けて武士団の指揮権を与えられたのが、伊東祐親なのです」
「伊東祐親? それって、八重姫と結ばれた頼朝を殺そうとした義理のお父さんでしょ」
瑞希が話の間に割って入った。歴史に詳しくない瑞希にすれば、置いてけぼりを食うのは癪(しゃく)に障る。話に加わるいいチャンスだった。
奈津保が瑞希に向かって頷いた。
「そうです。それに祐親の妹は政子の実の母親なんです」
「ちょっと待って。北条家と伊東家は親戚なのに伊東家は平氏に取り立てられ、北条氏は頼朝を抱え込んだことで睨まれてたってことでしょ。貧乏籤(くじ)を引かされた北条としては面白くないわね」
「ええ。それまで伊豆を実質的に統括していたのは祐親の叔父、工藤茂光。茂光も面白くない。他にもこの任命に不満を抱く者が多かった。だから北条は、頼朝を立てて戦う道を選んだの」
「目代を倒せば、事実上、伊豆国を軍事的に掌握することになるわよね。頼朝にすれば『国敵』であり、『意趣』返しにもなる。それで、山木兼隆を攻めたわけか」
「それに山木館は北条館から近い。政子は………」
奈津保はちょっと言葉を置いた。躊躇(ためら)っている。
瑞希は奈津保の眼を覗き込んだ。
「いい? 言い出し掛けて途中で止めないの。止めたら言わなかったことを後悔する。言い掛けられた方も気になるじゃない。『何言いたかったんだろう』が頭の中で根を張るの。お互い消化不良で便秘気味。気分にも美容にも良くないから言っちゃいなさい」
奈津保はくすっと笑った。
「そうですね。じゃあ、言っちゃいます」
「うん。お利口さんだわ。で、政子は?」
「頼朝勢が攻撃を仕掛ける前、政子は酒宴に事寄せて山木館に数日逗留したの」
「ええっ!」
瑞希も亮二も声を揃えて驚いた。
「もちろん、一人ではありません。頼朝の信頼厚い大和判官代の邦通(くにみち)が一緒でした」
「危険じゃないか。自分に色目を使ってる男の所に行くなんて」
亮二は奈津保の言うことが、にわかには信じられなかった。
「周辺の地形を調べるだけなら部下の誰かがすればいい。けれど、館の間取りや配備される人員などを知るには、館の内部に入り込むしかありません。政子にしか出来ないことでした」
「それにしても………」
「亮ちゃん、あのね」
瑞希が、また亮二の肩をトントンと指先で叩いた。瑞希語録の出る合図だ。
「何だよ」
「女は度胸が据わっているの。愛する者のためなら、女は命を惜しまない。いざとなったら舌噛み切って死ぬ覚悟くらい、政子だってしてたと思う」
奈津保がしっかり頷いた。
「その通りです。政子は邦通とともに絵図や見取り図を描いて、無事に持ち帰りました。それだけではありません。三島大社の祭礼に兼隆の郎党の多くが出掛けるという情報さえ手に入れていたのです」
「ほらね、亮ちゃん。男の生き甲斐は仕事かも知れないけど、女の生き甲斐は愛なのよ。愛する人がいるから、頑張れる。愛されていると思うから、へこたれない」
「私もそう思います。辛いなんて思わない。泥にまみれたって平気」
意気投合した女性二人に気圧(けお)された亮二が、ぼそりと言った。
「強いよなあ、女は」
「そうよ。私、亮ちゃんみたいにグジグジしないもの」
「それは毎度どうも」
旗色が悪くなりそうな気配に、亮二は話を政子に戻すことにした。
「奈津保さん。それじゃあ、政子が山木館を抜け出して頼朝と逢初橋で落ち合ったという話は、その時のことなんですか?」
「いいえ。政子は山木館から真っ直ぐ北条館に戻りました。逢初橋と北条館は山木館を挟んで正反対の位置にありますから。でも、逢初橋で逢っていたのは本当です。二人が知り合った頃のことです」
瑞希が、やっぱりねと嬉しそうな顔を奈津保に向けた。
「そうこなくっちゃ。逢瀬(おうせ)を愉しんでたのね、逢初橋で」
「政子の詠んだ歌があるんです。誰も知らないけれど」
「へええ。どんな歌? 聞きたい」
恋の話になると、どうして女性はそんなに熱心になれるんだろう。亮二はそう思いながらも、その歌に興味がそそられた。
契りなば飾磨の褐の色よりも
なほこひしかりあひそめの橋
亮二は瑞希に言って、バッグから手帳を出して貰った。そうして空いたページにその歌を書いてくれるよう、奈津保に頼んだ。
奈津保が手帳に書き込む文字を横から見ながら、瑞希が訊いた。
「これは何て読むの?」
「『しかま』の『かち』」
「って?」
「『飾磨』は今の姫路、『褐』は濃い藍色のことです。飾磨で産する紺色の染め物は有名だったの。その藍染めの色よりも濃い私の恋心。あなたと逢い初めた橋で契(ちぎ)りを交わしてから想いは募るばかり………。政子は坂東育ちです。ですから歌を詠むのは上手ではないかも知れません。でも、恋する想いは人一倍強かった。そんな想いの溢れる歌です。そうは思いませんか」
「政子の情熱が燃え盛る歌ね。やっぱりロマンがあったんだわ」
前方に欄干の赤い色が見えて来た。
「兼隆は………」
「えっ?」
「ねちねちと陰湿だったのは、兼隆の方です」
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「すると兼隆は伊豆に流されて来て以来、政子に眼を付けていた。目代に任じられてから露骨に手を伸ばして来た?」
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「そうか。そこに以仁王の令旨が下った」
「頼朝は令旨を受け取った四月二十七日以降、挙兵する腹づもりでいました」
「清盛は令旨を受け取った源氏全ての討伐を命ずる。頼朝は源氏の筆頭だから、真っ先に狙われることになるな」
「八月二日には、頼朝誅殺を命じられた大庭景親(おおばかげちか)が相模に帰郷しています」
「頼朝はいつ攻められてもおかしくはない状況下にあったんだ」
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「なるほど。二人は赴任しては来なかった。そこで代わりに目代に着任したのが平氏の流れをくむ山木兼隆。名実ともに、伊豆は平氏の知行国になったわけだ」
「それだけではありません。新しく国大将制度を設けて武士団の指揮権を与えられたのが、伊東祐親なのです」
「伊東祐親? それって、八重姫と結ばれた頼朝を殺そうとした義理のお父さんでしょ」
瑞希が話の間に割って入った。歴史に詳しくない瑞希にすれば、置いてけぼりを食うのは癪(しゃく)に障る。話に加わるいいチャンスだった。
奈津保が瑞希に向かって頷いた。
「そうです。それに祐親の妹は政子の実の母親なんです」
「ちょっと待って。北条家と伊東家は親戚なのに伊東家は平氏に取り立てられ、北条氏は頼朝を抱え込んだことで睨まれてたってことでしょ。貧乏籤(くじ)を引かされた北条としては面白くないわね」
「ええ。それまで伊豆を実質的に統括していたのは祐親の叔父、工藤茂光。茂光も面白くない。他にもこの任命に不満を抱く者が多かった。だから北条は、頼朝を立てて戦う道を選んだの」
「目代を倒せば、事実上、伊豆国を軍事的に掌握することになるわよね。頼朝にすれば『国敵』であり、『意趣』返しにもなる。それで、山木兼隆を攻めたわけか」
「それに山木館は北条館から近い。政子は………」
奈津保はちょっと言葉を置いた。躊躇(ためら)っている。
瑞希は奈津保の眼を覗き込んだ。
「いい? 言い出し掛けて途中で止めないの。止めたら言わなかったことを後悔する。言い掛けられた方も気になるじゃない。『何言いたかったんだろう』が頭の中で根を張るの。お互い消化不良で便秘気味。気分にも美容にも良くないから言っちゃいなさい」
奈津保はくすっと笑った。
「そうですね。じゃあ、言っちゃいます」
「うん。お利口さんだわ。で、政子は?」
「頼朝勢が攻撃を仕掛ける前、政子は酒宴に事寄せて山木館に数日逗留したの」
「ええっ!」
瑞希も亮二も声を揃えて驚いた。
「もちろん、一人ではありません。頼朝の信頼厚い大和判官代の邦通(くにみち)が一緒でした」
「危険じゃないか。自分に色目を使ってる男の所に行くなんて」
亮二は奈津保の言うことが、にわかには信じられなかった。
「周辺の地形を調べるだけなら部下の誰かがすればいい。けれど、館の間取りや配備される人員などを知るには、館の内部に入り込むしかありません。政子にしか出来ないことでした」
「それにしても………」
「亮ちゃん、あのね」
瑞希が、また亮二の肩をトントンと指先で叩いた。瑞希語録の出る合図だ。
「何だよ」
「女は度胸が据わっているの。愛する者のためなら、女は命を惜しまない。いざとなったら舌噛み切って死ぬ覚悟くらい、政子だってしてたと思う」
奈津保がしっかり頷いた。
「その通りです。政子は邦通とともに絵図や見取り図を描いて、無事に持ち帰りました。それだけではありません。三島大社の祭礼に兼隆の郎党の多くが出掛けるという情報さえ手に入れていたのです」
「ほらね、亮ちゃん。男の生き甲斐は仕事かも知れないけど、女の生き甲斐は愛なのよ。愛する人がいるから、頑張れる。愛されていると思うから、へこたれない」
「私もそう思います。辛いなんて思わない。泥にまみれたって平気」
意気投合した女性二人に気圧(けお)された亮二が、ぼそりと言った。
「強いよなあ、女は」
「そうよ。私、亮ちゃんみたいにグジグジしないもの」
「それは毎度どうも」
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瑞希が、やっぱりねと嬉しそうな顔を奈津保に向けた。
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「って?」
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