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そのまた後の小犬
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しおりを挟むそれから数日後の放課後。
那月は教室で九条が来るのを待っていた。
いつもは授業が終わるとすぐ迎えに来るのに、今日は少し遅いみたいだ。
でも何の連絡もないし、もうそろそろ来るかなあと、机に頬杖をついた那月はボンヤリとスマホに目を落とす。
「白井ってさあ……」
そんな時ふいに、まだ帰らずに残っていた隣の席のクラスメイトが那月に話しかけてきた。
「……実は、九条と付き合ってたりするの?」
「えっ?!」
そんなに大きな声ではないけれど、まだ周りに人も残っている教室で、九条の事を聞かれた那月は本当に驚く。
それでも一度息を飲み込むと、嘘をつく事に少し迷いながらもなるべく普段通りに相手を振り返った。
それから心の中で九条に謝りながら口を開く。
「……つ、付き合ってないよ」
「……そうなの? なんとなく二人を見てるとそうなのかなあなんて思ったんだけど? 違うの?」
「ち、違うよ……」
「ふーん、……そうなんだあ」
聞いてきたわりには気のない返事を返し、クラスメイトはそれほど問い詰める事もなく話はそこで途切れる。
でも那月は、少し話をするくらいでそんなに親しくもないただのクラスメイトの指摘に心がザワザワした。
やっぱり九条君とおれって、
付き合ってるように見えるってことかな……?
今まで誰からも聞かれる事はなかったけど、もしかしたらそう思ってる人もいるのかもしれないと思うと少し不安になる。
二人が付き合ってることが、
周りにバレてたらどうしよう……。
だけどよく考えるとこれって、
最近の九条君のせいもあるんじゃない?
ここのところの事を思い返すとだんだんそうとしか思えなくて、さっき謝ったばかりなのに那月は心の中で九条を責めた。
「…………じゃあさあ、付き合ってくれない?」
「……え?」
そんな那月にまたクラスメイトが話しかけてくる。それにキョトンと目を丸め那月が聞き返すと小さくクスッと笑われた。
「オレと付き合って欲しいんだけど?」
「……え?」
「この前、友達と話してるのが聞こえたんだけど、彼女いないんでしょう?」
「……い、いない……けど……?」
確かに彼女はいない、だけど本当は九条とは付き合っている。那月は今の話がよく飲み込めずに頭が混乱し戸惑う。
「じゃあ、オレと付き合わない?」
これは告白されているのだろうか?
これまでモテた事も、九条以外に告白された事も無かった那月はなんと言えばいいのか一瞬言葉に詰まる。
「……い、いや、……ちょっと」
咄嗟に断ることができず尻窄みになってしまった。
「最近、白井のこと気になってたんだあ。見てるとなんだか可愛いかもって」
「っか、っか?!」
そんなこと那月に言ってくれるのは、両親の他には九条くらいしかいないと思っていたから呆気にとられる。
「……あ、あの、それって揶揄ってるの?」
「いや、わりと本気」
顔を見ると、本人が言ってるように嘘ではない様に見える。だったらなおさら早く断らないと、那月は九条と付き合っているのだから。
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