小犬の気持ち

はづき惣

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そのまたまた後の小犬

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 那月は藤沢の言っていた事が、後からモヤモヤと何だか気になってきてしまっていた。

 時々周りでも、そんな話をしているのが聞こえてくるし、高校生にもなれば興味や関心があって当然だろう。

 でもどちらかと言うと那月は、そういう事に割と興味が薄い方だった。

 それに、よく九条はくっついてはくるけれど、今まで二人がそういう雰囲気になった事はない。だから触られて焦りはしても、そこまで考えた事はなかった。

 だけど二人は付き合って三ヶ月だし、もしかしたら九条も本当はしたいのかもしれないと思うと、那月は妙に落ち着かない気持ちになってしまったのだ。
 

 でもおれにはまだ想像さえ、
 無理なような気がする……。


「那月? やっぱり調子悪いんじゃないの?」

 
 そんな事をグルグルと考えていた那月は、また九条の話に上の空になっていたらしい。

 少し戸惑っているような、なんとも言えない微妙な顔つきで、九条が那月のことを見つめてくる。


「だ、大丈夫、悪くないよ」

「…………じゃあ那月は、俺と出掛けたりするのが嫌なのかな?」


 すると、あまりに気のない那月の態度を、九条は自分と遊びたくないと誤解したようで、しょんぼりと寂しそうに肩を落としてしまう。

 それに那月は大慌てで首を振る。


「ま、まさか! 全然そんな事ないよ!」

「……本当? 那月無理してない?」

「ほんとに! おれも九条君と色々遊びに行きたいなって思ってるよ! ぼんやりしてばかりでごめんね」

「……良かった。じゃあこれから色々計画立てないとね。那月も何かしたい事あったらどんどん言って欲しいな」


 最初は少し疑わしそうだったものの、那月が必死に弁解すると、九条はすぐにいつもの明るい表情に戻ってくれた。それに那月は心からほっとする。

 やっぱり九条には、いくら見た事なくて新鮮でも、しょんぼりした顔や拗ねている顔はあんまりして欲しくない。

 だからとりあえず那月は、朝の話はもうこれ以上考えるのはやめておくことにする。

 そうじゃないと那月の気持ちが落ち着かないし、それで九条に誤解をされるなんて絶対に嫌だから。


「那月はキャンプはした事ある? 俺は何回か家族と行ったことがあるんだけど結構楽しかったよ」

「キャンプは行ったことないなあ。でも確かに楽しそうだけど、いろいろと大変じゃない?」


 そうするとキラキラと輝く様な笑顔を浮かべる九条に、那月の気持ちも自然と浮上してくるのだった。



 しかしそんな二人の背後では、気配を消した斉木が聞き耳を立てていたりする。そうして突然二人の肩をツンツンと突いてきた。


「ふふふ~。二人で何だか楽しそうな話をしてますね~。キャンプいいよね~」

「……斉木、いつの間に」

「……びっくりした、斉木君か」

「夏はやっぱりキャンプだよね~。今ってさ~、自分達で用意しなくても、キャンプ場で色々貸してもらえるんだって~。それなら楽だしいいんじゃない?」


 そう言って斉木は、九条に負けず劣らずニンマリ笑顔を輝かせる。


「何人かで行くと安くなるとこもあるし~。結構近場にもあったはずだよ~。そこなんていいと思うな~。夏は楽しいイベントがいっぱいだね~。ふふふ~。キャンプ楽しみ~!」


 まだ行くとも決まっていないのに、斉木はもうすでにウキウキと行く気満々の様子だ。

 そんな斉木に、二人は顔を見合わせ苦笑いしてしまう。


 だけどもし本当に行くとしたら、
 ある意味斉木君がいた方がいいの……かな?


 また斉木が怒られている側でそんな事をこっそりと考えつつも、那月は九条と付き合って初めての夏休みが、少し楽しみになってきたような気がしたのだった。

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