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第12話 義務の夫婦、ワインの罠 ②※
窓のカーテンを閉めた瞬間、空気の温度が変わった気がした。
昼間とは違う、夜だけが持つ静けさが部屋の中を支配する。厚い絨毯が足音を吸い取り、蝋燭の灯が壁に揺らめく影を落とす。室内に置かれた天蓋付きの寝台が、今夜の行き先を物語っていた。
イレーネは鏡台の前に腰を下ろして、胸元にそっと手を添える。
鼓動が速い。緊張のせいか、ワインのせいか、自分でも判断がつかなかった。
──これは義務。ただの義務。
自らにそう言い聞かせ、深く息を吐く。
鏡に映る自分は、頼りないシュミーズ1枚を纏いワインの余韻に頬を紅潮させている。
なんだか彼に抱かれるのを待ち構えているかのようで、イレーネはたまらずナイトガウンを羽織った。
扉の外で足音が止まる。
イレーネははっと立ち上がり、しばし室内を見渡したあとで、結局所在なく寝台に腰かけた。
ノックの音もなく、扉が静かに開かれる。
クラウスがそこにいた。
「……ど、どうも」
もうちょっとなにかあるでしょう──そう思いつつも、ほかに言葉が浮かばなかった。
クラウスは一度だけイレーネを振り返り、しかしすぐに無言のまま、皮の手袋を外し始める。指先が布を引き、手のひらを露わにしていく仕草はどこまでも滑らかで無駄がなかった。
彼はそのまま外套の留め具に手をかける。微かな衣擦れの音を立てて外套がほどけ、静かに椅子の背にかけられる。
銀の髪がさらりと流れ、薄暗い蝋燭の灯りがその輪郭を撫でていく。
目の前の男がひとつずつ身を解くたびに、逃げ場のない夜がその色を濃くしていった。
そのまま、指がシャツの首元にかかる。外されたボタンは、たったひとつ。
布の隙間から覗く肌は、驚くほど白く、細やかな陰影が骨格を際立たせていた。
鎖骨の窪みに淡い光が溜まり、呼吸に合わせてわずかに揺れるその光景に、目が吸い寄せられた。
──まだ、なにもされてないのに。
息が妙に浅くなる。
そして一歩、また一歩と近づいてきたその気配に、イレーネの喉がひくりと動いた。
彼が傍らに腰かけて、小さく響いたベッドの軋みがいやに生々しい。
まっすぐに伸びた指が、彼女の肩に触れる。
「……脱がせても?」
問うようでいて、断る余地はほとんどない声音だった。イレーネはわずかに頷く。
指先が控えめに、しかし確かに衣擦れの音を立てながらナイトガウンの結び目を解く。心の支えが無くなるみたいに、肩から重みが滑り落ちていった。
少しだけ開いた胸元に、夜気が触れる。けれどそれ以上に、クラウスの手がゆっくりと肌を滑るたび、心臓の鼓動が早くなっていくのがわかった。
彼がそっと唇を重ねてきたのは、その直後だった。
ゆっくりと深く、けれど押しつけるようなものではなく急ぐものでもない。
唇の端を柔らかく吸われて、イレーネは思わず息を止める。クラウスの唇がわずかに動き、濡れた舌先が触れた。温もりを広げるように、緩やかに唇の内側をなぞられる。
顎に添えられた無骨な指先に、ごく自然に力が籠った。
動きを制するほどではない。でも、抗おうとすれば止められる。
ただのキスのはずなのに、呼吸の仕方がわからなくなる。
くすぐるような舌の動きに喉がひくりと跳ね、熱が奥へと落ちていくのがわかった。
「……酔っているのか?」
唇が離れたとき、その言葉がそっと落ちてきた。
「え……?」
戸惑いの声が漏れる。
火照った頬に、クラウスの指先が触れた。
撫でるというよりも、体温を測るような動きで。
「この前より、熱い」
「──!」
言葉の意味を理解した瞬間、イレーネの身体がびくりと反応する。
覚えて──と思考が揺れたその瞬間、彼の手のひらが胸元に添えられた。
ゆっくりとシュミーズ越しに指が滑る動きに、思考が目の前の夜に引き戻される。薄い布の上から親指が円を描くたび、肌の奥が淡く痺れた。
「っ……ぅ、ん……」
もう片方の手が、そっと反対の胸を包み込む。
揉み上げるでもなく、ただ確かめるように、押し、撫で、なぞる。
彼の手は冷静で、力加減も一定だったのに、身体のほうが勝手に熱を帯びていく。
舌先が先端に触れた途端、イレーネが問いかけたかった言葉は儚く夜に溶けてしまった。
「や……っ」
柔らかくすくい上げるような動きに、背筋がぴりぴりと震える。軽く吸われた瞬間、全身の神経がそこに集中したかのように感じた。
反射的に逃げようと腰を引いても、手のひらが添えられて動けない。
唇と舌が先端をゆるく咥え、じんわりと吸い上げる。濡れた舌の動きと、手のひらの包むような感触に思考がぼやけていく。
自分でも、全身がひどく熱いことを自覚していた。
ただでさえワインで火照った身体が、クラウスの愛撫で更に熱を増していく。
舌が螺旋を描き、尖らせた先端を軽く転がす。
ちゅ、ちゅ、と微かに響く音がやけに耳に残った。
「んっ……あ、だめ……っ」
酔いの気怠い熱と混ざった快楽が、波打つように胸元から全身へと広がる。
濡れた舌の動きと、包み込む手のひらの温もりに思考が酩酊していく。
不意に舌が離れたかと思えば、唇が先端を優しく甘噛みした。
「──っ」
腰が跳ね、声にならない音が喉の奥で震えた。
目の前の肩に縋るように手を伸ばす。止めたいのか、求めているのか、自分でもわからない。
ただ、彼の舌が何度も同じ場所をなぞるたび、身体の奥が疼いていくのがはっきりとわかった。
弛緩する身体は、いつの間にか寝台へと倒されていた。
彼の指先が腿の奥に触れたかと思えば、抵抗もなく入り込む。微かな水音を立てながら、入り口どころか深くまで沈んでいく。
まだ、キスと胸への愛撫だけだというのに。
戸惑う理性を置き去りにして、身体だけが先へ進んでいた。
「……っ、あ……」
そのまま指が動き出して、思わず喉が鳴る。
沈み込んだ彼の指は、イレーネの反応を追うように淡々と動いていく。
どこをどう触れれば反応するか──それは愛撫というより、確認と観察のようだった。
見透かされているようで怖いくらいなのに、それすらもすぐに快楽で塗り替えられて、ただ翻弄される。
ぐちゅぐちゅと水音が立つたびに、理由のわからない涙が滲んだ。
この人は、義務で抱こうとしているくせに。
イレーネのことなど、なにも知らないくせに。
どうして今だけは──"正解"ばかり触れてくるのか。
昼間とは違う、夜だけが持つ静けさが部屋の中を支配する。厚い絨毯が足音を吸い取り、蝋燭の灯が壁に揺らめく影を落とす。室内に置かれた天蓋付きの寝台が、今夜の行き先を物語っていた。
イレーネは鏡台の前に腰を下ろして、胸元にそっと手を添える。
鼓動が速い。緊張のせいか、ワインのせいか、自分でも判断がつかなかった。
──これは義務。ただの義務。
自らにそう言い聞かせ、深く息を吐く。
鏡に映る自分は、頼りないシュミーズ1枚を纏いワインの余韻に頬を紅潮させている。
なんだか彼に抱かれるのを待ち構えているかのようで、イレーネはたまらずナイトガウンを羽織った。
扉の外で足音が止まる。
イレーネははっと立ち上がり、しばし室内を見渡したあとで、結局所在なく寝台に腰かけた。
ノックの音もなく、扉が静かに開かれる。
クラウスがそこにいた。
「……ど、どうも」
もうちょっとなにかあるでしょう──そう思いつつも、ほかに言葉が浮かばなかった。
クラウスは一度だけイレーネを振り返り、しかしすぐに無言のまま、皮の手袋を外し始める。指先が布を引き、手のひらを露わにしていく仕草はどこまでも滑らかで無駄がなかった。
彼はそのまま外套の留め具に手をかける。微かな衣擦れの音を立てて外套がほどけ、静かに椅子の背にかけられる。
銀の髪がさらりと流れ、薄暗い蝋燭の灯りがその輪郭を撫でていく。
目の前の男がひとつずつ身を解くたびに、逃げ場のない夜がその色を濃くしていった。
そのまま、指がシャツの首元にかかる。外されたボタンは、たったひとつ。
布の隙間から覗く肌は、驚くほど白く、細やかな陰影が骨格を際立たせていた。
鎖骨の窪みに淡い光が溜まり、呼吸に合わせてわずかに揺れるその光景に、目が吸い寄せられた。
──まだ、なにもされてないのに。
息が妙に浅くなる。
そして一歩、また一歩と近づいてきたその気配に、イレーネの喉がひくりと動いた。
彼が傍らに腰かけて、小さく響いたベッドの軋みがいやに生々しい。
まっすぐに伸びた指が、彼女の肩に触れる。
「……脱がせても?」
問うようでいて、断る余地はほとんどない声音だった。イレーネはわずかに頷く。
指先が控えめに、しかし確かに衣擦れの音を立てながらナイトガウンの結び目を解く。心の支えが無くなるみたいに、肩から重みが滑り落ちていった。
少しだけ開いた胸元に、夜気が触れる。けれどそれ以上に、クラウスの手がゆっくりと肌を滑るたび、心臓の鼓動が早くなっていくのがわかった。
彼がそっと唇を重ねてきたのは、その直後だった。
ゆっくりと深く、けれど押しつけるようなものではなく急ぐものでもない。
唇の端を柔らかく吸われて、イレーネは思わず息を止める。クラウスの唇がわずかに動き、濡れた舌先が触れた。温もりを広げるように、緩やかに唇の内側をなぞられる。
顎に添えられた無骨な指先に、ごく自然に力が籠った。
動きを制するほどではない。でも、抗おうとすれば止められる。
ただのキスのはずなのに、呼吸の仕方がわからなくなる。
くすぐるような舌の動きに喉がひくりと跳ね、熱が奥へと落ちていくのがわかった。
「……酔っているのか?」
唇が離れたとき、その言葉がそっと落ちてきた。
「え……?」
戸惑いの声が漏れる。
火照った頬に、クラウスの指先が触れた。
撫でるというよりも、体温を測るような動きで。
「この前より、熱い」
「──!」
言葉の意味を理解した瞬間、イレーネの身体がびくりと反応する。
覚えて──と思考が揺れたその瞬間、彼の手のひらが胸元に添えられた。
ゆっくりとシュミーズ越しに指が滑る動きに、思考が目の前の夜に引き戻される。薄い布の上から親指が円を描くたび、肌の奥が淡く痺れた。
「っ……ぅ、ん……」
もう片方の手が、そっと反対の胸を包み込む。
揉み上げるでもなく、ただ確かめるように、押し、撫で、なぞる。
彼の手は冷静で、力加減も一定だったのに、身体のほうが勝手に熱を帯びていく。
舌先が先端に触れた途端、イレーネが問いかけたかった言葉は儚く夜に溶けてしまった。
「や……っ」
柔らかくすくい上げるような動きに、背筋がぴりぴりと震える。軽く吸われた瞬間、全身の神経がそこに集中したかのように感じた。
反射的に逃げようと腰を引いても、手のひらが添えられて動けない。
唇と舌が先端をゆるく咥え、じんわりと吸い上げる。濡れた舌の動きと、手のひらの包むような感触に思考がぼやけていく。
自分でも、全身がひどく熱いことを自覚していた。
ただでさえワインで火照った身体が、クラウスの愛撫で更に熱を増していく。
舌が螺旋を描き、尖らせた先端を軽く転がす。
ちゅ、ちゅ、と微かに響く音がやけに耳に残った。
「んっ……あ、だめ……っ」
酔いの気怠い熱と混ざった快楽が、波打つように胸元から全身へと広がる。
濡れた舌の動きと、包み込む手のひらの温もりに思考が酩酊していく。
不意に舌が離れたかと思えば、唇が先端を優しく甘噛みした。
「──っ」
腰が跳ね、声にならない音が喉の奥で震えた。
目の前の肩に縋るように手を伸ばす。止めたいのか、求めているのか、自分でもわからない。
ただ、彼の舌が何度も同じ場所をなぞるたび、身体の奥が疼いていくのがはっきりとわかった。
弛緩する身体は、いつの間にか寝台へと倒されていた。
彼の指先が腿の奥に触れたかと思えば、抵抗もなく入り込む。微かな水音を立てながら、入り口どころか深くまで沈んでいく。
まだ、キスと胸への愛撫だけだというのに。
戸惑う理性を置き去りにして、身体だけが先へ進んでいた。
「……っ、あ……」
そのまま指が動き出して、思わず喉が鳴る。
沈み込んだ彼の指は、イレーネの反応を追うように淡々と動いていく。
どこをどう触れれば反応するか──それは愛撫というより、確認と観察のようだった。
見透かされているようで怖いくらいなのに、それすらもすぐに快楽で塗り替えられて、ただ翻弄される。
ぐちゅぐちゅと水音が立つたびに、理由のわからない涙が滲んだ。
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