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ダンジョン
闇が深い
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冒険野郎のバックヤードは表に並べられない商品が堆く積まれ、うっかり触ると雪崩れが起きてしまいそうなところだった。
「空気の悪いところですまんな。こいつに座ってくれ」
伊集院はスツールをこちらに勧める。本人も同じような小さなスツールに腰を下ろしていてアンバランスだ。
「勿体ぶっても仕方ないから話すが、カオスサーガってのはいわゆる闇クランの一つだ」
「闇クラン?」
「ああ。通常のクランについては知っているな?普通、クランは協会に申請して承認を得たエクスプローラーの集団だ。実力のあるクランには協会が依頼を出したりする。その代わり、協会や協会認定ショップで優遇される」
「ふむ」
「一方の闇クランってのはいわゆる犯罪に手を染めていると思われるエクスプローラーの集団だ。闇クランに所属していると判断されたエクスプローラーは協会や協会認定ショップは使えない。もちろん、通常ルートではダンジョンにも入れない」
「ダンジョンに入るのに通常以外のルートがあるのか?」
「残念ながらある。一つは"冒険しよう!"アプリの不正利用。もう一つはそもそも協会で管理されていないダンジョンに行けばいい」
「そんなダンジョンがあるのか?」
「日本の国土の3分の2は森林だぞ。山の中に出来たダンジョンなんて地主が隠そうと思えばいくらでも隠せる」
「なるほど」
「協会に管理されてないダンジョンは闇ダンジョンと呼ばれる。闇ダンジョンと闇クランはセットだ。犯罪組織の資金源になっていると言われている」
「で、その闇クランの幹部が俺を誘いに来たと」
「カオス系の加護を持ってる人間はイカれた奴が多いからな。奴等からすると誘いやすい」
「迷惑な話だ」
「念のために言っておくが、奴等の誘いにのるなよ。今でも十二分に稼いでいるんだ。闇に潜る必要なんてないからな」
「わかっている。流石にそこまで馬鹿じゃない。そもそも俺の中では既に敵として認定した。むしろ潰す」
「がはは!それは頼もしい」
伊集院は大袈裟に上を向いて笑った。
「まぁ、見てろ。俺は手段を選ばんからな。俺にちょっかい出したことを後悔させてやる」
「やるならダンジョンの中でやれよ」
「わかってる。俺は法令遵守だ。外では善良な市民だ」
「よく言うぜ」
伊集院が加熱式タバコを取り出して吸い始めた。話したいことはもうないのだろう。
「しばらくは資金集めに精を出すから、そのつもりでいてくれ。山ほどレアドロップを売りに来る」
「それは願ったりだ。特にコバルトを頼む。あれはもはや戦略物資だからな」
「わかった。その代わりレアなスキルオーブを仕入れておいてくれ」
「任せろ」
厳つい店員、伊集院は不敵に笑う。たぶん俺も同じような顔をしているだろう。
「空気の悪いところですまんな。こいつに座ってくれ」
伊集院はスツールをこちらに勧める。本人も同じような小さなスツールに腰を下ろしていてアンバランスだ。
「勿体ぶっても仕方ないから話すが、カオスサーガってのはいわゆる闇クランの一つだ」
「闇クラン?」
「ああ。通常のクランについては知っているな?普通、クランは協会に申請して承認を得たエクスプローラーの集団だ。実力のあるクランには協会が依頼を出したりする。その代わり、協会や協会認定ショップで優遇される」
「ふむ」
「一方の闇クランってのはいわゆる犯罪に手を染めていると思われるエクスプローラーの集団だ。闇クランに所属していると判断されたエクスプローラーは協会や協会認定ショップは使えない。もちろん、通常ルートではダンジョンにも入れない」
「ダンジョンに入るのに通常以外のルートがあるのか?」
「残念ながらある。一つは"冒険しよう!"アプリの不正利用。もう一つはそもそも協会で管理されていないダンジョンに行けばいい」
「そんなダンジョンがあるのか?」
「日本の国土の3分の2は森林だぞ。山の中に出来たダンジョンなんて地主が隠そうと思えばいくらでも隠せる」
「なるほど」
「協会に管理されてないダンジョンは闇ダンジョンと呼ばれる。闇ダンジョンと闇クランはセットだ。犯罪組織の資金源になっていると言われている」
「で、その闇クランの幹部が俺を誘いに来たと」
「カオス系の加護を持ってる人間はイカれた奴が多いからな。奴等からすると誘いやすい」
「迷惑な話だ」
「念のために言っておくが、奴等の誘いにのるなよ。今でも十二分に稼いでいるんだ。闇に潜る必要なんてないからな」
「わかっている。流石にそこまで馬鹿じゃない。そもそも俺の中では既に敵として認定した。むしろ潰す」
「がはは!それは頼もしい」
伊集院は大袈裟に上を向いて笑った。
「まぁ、見てろ。俺は手段を選ばんからな。俺にちょっかい出したことを後悔させてやる」
「やるならダンジョンの中でやれよ」
「わかってる。俺は法令遵守だ。外では善良な市民だ」
「よく言うぜ」
伊集院が加熱式タバコを取り出して吸い始めた。話したいことはもうないのだろう。
「しばらくは資金集めに精を出すから、そのつもりでいてくれ。山ほどレアドロップを売りに来る」
「それは願ったりだ。特にコバルトを頼む。あれはもはや戦略物資だからな」
「わかった。その代わりレアなスキルオーブを仕入れておいてくれ」
「任せろ」
厳つい店員、伊集院は不敵に笑う。たぶん俺も同じような顔をしているだろう。
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