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第三章~真実~
なんで、全然なくならないんだよ
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「……なぶ、学!」
親父と母さんの水入らずも終わって、母さんのベッドに顔を伏せて寝ていた。
頭上から聞こえる環の声に目が覚める。
「……ん、今なんじ……」
「もう夕方。お前昨日、一睡もしてなかったもんな」
環の言うとおり、母さんといれる時間がもしかしたらもう少ないかもしれないと思ったら寝る時間も惜しくて。
結局、朝の7時くらいまで起きてたと思う。
朝、1度森ノ宮に電話をして〝最後の日に行けなくてすみません〟と話してそこで記憶が途切れてるから、その後寝たのだろう。
目の前の母さんを見ても、昨日と状況は何ら変わってはいない。
「うわ、なんだお前この着信」
俺のスマホのディスプレイを見て環が声をあげる。
「は?」
環の声に、ベッドの上に置いてあるスマホを手に取る。
「……っ」
環の言う通り、ディスプレイには不在着信20件の文字。
そのどれもがちとせちゃんからだった。
「かけてきすぎだろ……」
ちとせちゃんというたくさんの文字。
その文字をみただけで、胸の奥がチリチリする。
今日、放課後。
二人で帰って、俺から告白する段取りだった。
もう、そんなことするつもりはないけど。
「なんでだよ……」
スマホを自分の胸に当てる。
なんで、全然なくならねぇんだよ。
違うだろ。
本来の目的は、あいつを俺に惚れさせてズタズタに傷つけることだろ。
俺が本気になってどうすんだよ。
そんなことしてる間にも震え続ける手の中のスマホ。
相手はもちろんちとせちゃん。
「うるせぇ」
そのまま窓を開けて、スマホを放り投げる。
「おい、学なにやってんだよ」
「こんな時なのに、頭から離れねぇんだよ。だから、連絡手段なんて絶ってしまえば……もう」
「学……」
恨みの糧。
いや、ちとせちゃんが悪いわけじゃない。
でも、恨みを晴らす相手はもう彼女しかいない。
──ピッピッピッピッ
外に落ちていったスマホを見つめてるとき、心電図の機械音が慌ただしくなる。
「母さん!?」
「ちょっとどいてください!」
母さんに駆け寄ろうとした俺の腕を医者が引っ張る。
「母さん!」
「学、しっかりしろ」
足がおぼつかなくて、フラフラしてる俺の両肩を環が掴む。
「お前はよく平然と……あ、本当の親じゃねーか」
「バカ言うなよ、俺だって……」
グズッと聞こえてきた、環の鼻の音。
「なんで、母さんなんだ。なぁ、環」
「俺だって、そんなのずっと考えてる……どうせなら俺が代わりたい」
──じゃあ変わってくれよ。
その言葉は飲み込んだ。
俺の肩を掴む環の手が震えていたから。
──ピーーーーッ
無常な音が部屋に鳴り響いたと同時にバタンとドアが開いて親父が入ってくる。
「遅せぇよ」
もう、ここに母さんはいない。
親父と母さんの水入らずも終わって、母さんのベッドに顔を伏せて寝ていた。
頭上から聞こえる環の声に目が覚める。
「……ん、今なんじ……」
「もう夕方。お前昨日、一睡もしてなかったもんな」
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結局、朝の7時くらいまで起きてたと思う。
朝、1度森ノ宮に電話をして〝最後の日に行けなくてすみません〟と話してそこで記憶が途切れてるから、その後寝たのだろう。
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「うわ、なんだお前この着信」
俺のスマホのディスプレイを見て環が声をあげる。
「は?」
環の声に、ベッドの上に置いてあるスマホを手に取る。
「……っ」
環の言う通り、ディスプレイには不在着信20件の文字。
そのどれもがちとせちゃんからだった。
「かけてきすぎだろ……」
ちとせちゃんというたくさんの文字。
その文字をみただけで、胸の奥がチリチリする。
今日、放課後。
二人で帰って、俺から告白する段取りだった。
もう、そんなことするつもりはないけど。
「なんでだよ……」
スマホを自分の胸に当てる。
なんで、全然なくならねぇんだよ。
違うだろ。
本来の目的は、あいつを俺に惚れさせてズタズタに傷つけることだろ。
俺が本気になってどうすんだよ。
そんなことしてる間にも震え続ける手の中のスマホ。
相手はもちろんちとせちゃん。
「うるせぇ」
そのまま窓を開けて、スマホを放り投げる。
「おい、学なにやってんだよ」
「こんな時なのに、頭から離れねぇんだよ。だから、連絡手段なんて絶ってしまえば……もう」
「学……」
恨みの糧。
いや、ちとせちゃんが悪いわけじゃない。
でも、恨みを晴らす相手はもう彼女しかいない。
──ピッピッピッピッ
外に落ちていったスマホを見つめてるとき、心電図の機械音が慌ただしくなる。
「母さん!?」
「ちょっとどいてください!」
母さんに駆け寄ろうとした俺の腕を医者が引っ張る。
「母さん!」
「学、しっかりしろ」
足がおぼつかなくて、フラフラしてる俺の両肩を環が掴む。
「お前はよく平然と……あ、本当の親じゃねーか」
「バカ言うなよ、俺だって……」
グズッと聞こえてきた、環の鼻の音。
「なんで、母さんなんだ。なぁ、環」
「俺だって、そんなのずっと考えてる……どうせなら俺が代わりたい」
──じゃあ変わってくれよ。
その言葉は飲み込んだ。
俺の肩を掴む環の手が震えていたから。
──ピーーーーッ
無常な音が部屋に鳴り響いたと同時にバタンとドアが開いて親父が入ってくる。
「遅せぇよ」
もう、ここに母さんはいない。
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