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最終章~あたしの大事な人~
結局好きになるのは
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「心海、あいつ来たけどどうする?」
過去のことを思い出して、全然寝れなかった。
昼になって少しウトウトしてたとき、チャイムが鳴った。
あたし以外の家族はみんな仕事に行って、いないから代わりに音哉が出てくれた。
「……っ」
音哉の言葉にウトウトしてた頭はハッキリと目覚める。
──暁がここにいる。
「会う?会わない?」
「……会う」
逃げてちゃ、何もならないと思う。
あの時、本当は暁のことを諦めたこと後悔してた。
惨めでもいい。
すがりつけばよかった。
でも、それもできずに苦しい思いに蓋をしたくて逃げた。
記憶を手放して。
だから、今度はちゃんと聞きたい。
暁の本当の気持ちを。
理解してあげたい。
あの頃の暁の気持ちを。
記憶を失ったって、好きになる人は変わらなかったのだから。
どうせ逃げたところで何も変わらない。
いまでも、好きなんだから。
「……心海」
玄関にいくと、目を細めて優しい顔をしてあたしを見ている暁がいる。
「暁……」
「思い出したんだよな?」
暁の言葉にこくんと頷く。
「全部思い出した……」
「そっか……」
今度は苦しそうな表情に変わる。
「また、遊びだったの?」
「それは違う!」
慌てたようにあたしの腕を掴む。
「だって、あの時は遊びだって……東京に彼女がいるって……なのになんで……待ち受けにしてるの!?あたしとの画像を大切そうに見るの!?泰地さんが持ってた画像あんなに欲しがったの!?」
寝ないでずっとずっと考えてた。
あれが自分だということを知らなかったあたしにとって、高校時代の自分が1番の脅威だった。
いつか現れたらあたしは……ってずっと考えてた。
だって、たまに画像を見てる表情はとても幸せそうで、でもときに辛そうで。
それに、泰地さんからもらったあの画像。
たしかに最後にデートした時に歩いた道だった。
あの画像をすごく欲しがった暁をみて、本当に暁が好きなのはいつまでもこの人なんだって思ってた。
「あの時はああするしか思いつかなくて……本当にごめん」
「どうしてなの?」
「親父が……心海の家族を路頭に迷わすこともできるって、言われたのがあの最後のデートの日。次の日には離れなきゃいけないのがわかってたけど、それでも俺は心海が欲しかった」
苦しそうな表情のまま話す暁に、これは本心なんだってことが伝わってくる。
「でも、なんで今回は?」
「俺ももう18のガキじゃないから。本当はずっとあんな別れでよかったのかって考えてた。傷つけて本当にごめん」
あたしに深々と頭を下げる。
「暁はあたしが会社に入ること知ってたの?」
「ん。ってか、入社試験の日に俺が会社まで連れてった……あん時、俺を覚えてなかったことがありえないくらいショックだった」
入社試験の時のことを思い出す。
慣れない東京に戸惑って、会社の場所がわからなくて何度も同じ道を通った。
その時、焦りすぎて顔は全然みえてなかったけどたしかに助けられた。
「……あれ、暁だったんだね」
「うん。それから入社リストに名前見つけて、姉貴に同じ部屋にするように頼んだんだ」
「そっかぁ……」
どうしてあたしに暁の部屋が当てられたのか。
昨日からずっと不思議だった。
こんな偶然あるはずないもん。
でも、昔から自分のものにするなら手段をいとわない暁のことだから。
今聞いて、納得できた。
「怒ってる?もう……好きじゃないかな?」
心配そうにあたしの顔を覗き込む。
いつも偉そうにしてる暁の弱気な顔。
不覚にもキュンとした。
「……好きだよ」
「え?」
「たぶんあたしは暁以外好きになれないと思うよ。あの頃も今も結局好きになったのは暁だったもん」
すごく恥ずかしくなって、暁から目を逸らす。
「心海、こっち向いて」
そんなあたしの顎をくいっと持って、自分の方へ向かせる。
「……っ」
吸い込まれてしまいそうなこの瞳。
あたしは、きっとこの瞳から逃れることはできない。
逃れるつもりもないけど。
過去のことを思い出して、全然寝れなかった。
昼になって少しウトウトしてたとき、チャイムが鳴った。
あたし以外の家族はみんな仕事に行って、いないから代わりに音哉が出てくれた。
「……っ」
音哉の言葉にウトウトしてた頭はハッキリと目覚める。
──暁がここにいる。
「会う?会わない?」
「……会う」
逃げてちゃ、何もならないと思う。
あの時、本当は暁のことを諦めたこと後悔してた。
惨めでもいい。
すがりつけばよかった。
でも、それもできずに苦しい思いに蓋をしたくて逃げた。
記憶を手放して。
だから、今度はちゃんと聞きたい。
暁の本当の気持ちを。
理解してあげたい。
あの頃の暁の気持ちを。
記憶を失ったって、好きになる人は変わらなかったのだから。
どうせ逃げたところで何も変わらない。
いまでも、好きなんだから。
「……心海」
玄関にいくと、目を細めて優しい顔をしてあたしを見ている暁がいる。
「暁……」
「思い出したんだよな?」
暁の言葉にこくんと頷く。
「全部思い出した……」
「そっか……」
今度は苦しそうな表情に変わる。
「また、遊びだったの?」
「それは違う!」
慌てたようにあたしの腕を掴む。
「だって、あの時は遊びだって……東京に彼女がいるって……なのになんで……待ち受けにしてるの!?あたしとの画像を大切そうに見るの!?泰地さんが持ってた画像あんなに欲しがったの!?」
寝ないでずっとずっと考えてた。
あれが自分だということを知らなかったあたしにとって、高校時代の自分が1番の脅威だった。
いつか現れたらあたしは……ってずっと考えてた。
だって、たまに画像を見てる表情はとても幸せそうで、でもときに辛そうで。
それに、泰地さんからもらったあの画像。
たしかに最後にデートした時に歩いた道だった。
あの画像をすごく欲しがった暁をみて、本当に暁が好きなのはいつまでもこの人なんだって思ってた。
「あの時はああするしか思いつかなくて……本当にごめん」
「どうしてなの?」
「親父が……心海の家族を路頭に迷わすこともできるって、言われたのがあの最後のデートの日。次の日には離れなきゃいけないのがわかってたけど、それでも俺は心海が欲しかった」
苦しそうな表情のまま話す暁に、これは本心なんだってことが伝わってくる。
「でも、なんで今回は?」
「俺ももう18のガキじゃないから。本当はずっとあんな別れでよかったのかって考えてた。傷つけて本当にごめん」
あたしに深々と頭を下げる。
「暁はあたしが会社に入ること知ってたの?」
「ん。ってか、入社試験の日に俺が会社まで連れてった……あん時、俺を覚えてなかったことがありえないくらいショックだった」
入社試験の時のことを思い出す。
慣れない東京に戸惑って、会社の場所がわからなくて何度も同じ道を通った。
その時、焦りすぎて顔は全然みえてなかったけどたしかに助けられた。
「……あれ、暁だったんだね」
「うん。それから入社リストに名前見つけて、姉貴に同じ部屋にするように頼んだんだ」
「そっかぁ……」
どうしてあたしに暁の部屋が当てられたのか。
昨日からずっと不思議だった。
こんな偶然あるはずないもん。
でも、昔から自分のものにするなら手段をいとわない暁のことだから。
今聞いて、納得できた。
「怒ってる?もう……好きじゃないかな?」
心配そうにあたしの顔を覗き込む。
いつも偉そうにしてる暁の弱気な顔。
不覚にもキュンとした。
「……好きだよ」
「え?」
「たぶんあたしは暁以外好きになれないと思うよ。あの頃も今も結局好きになったのは暁だったもん」
すごく恥ずかしくなって、暁から目を逸らす。
「心海、こっち向いて」
そんなあたしの顎をくいっと持って、自分の方へ向かせる。
「……っ」
吸い込まれてしまいそうなこの瞳。
あたしは、きっとこの瞳から逃れることはできない。
逃れるつもりもないけど。
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