生徒との1年間

スオン

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顧問2年目04月

顧問2年目04月 12

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 昼休みの後、午後の授業の時間。
 立成は自分のクラスの世界史の授業をしていた。
 生徒たちが全員揃っている中、はるか昔の異国の出来事、中世ヨーロッパの歴史を紐解いている。
 教壇に立つ立成からは熱気を感じるが、それは熱心に授業をしているからではなかった。
 
 今日はまた先週のように一段と暑いだ。
 気温が例年よりも高いというのもあるが湿度もあるため不快指数も高い。
 季節はまだ春の4月。生徒たちの制服も当然冬服だ。しかしこの春に見合わない気候。まだ入学して1ヶ月も経っていないにも関わらず、立成のクラスの生徒たちも上着を脱いだりボタンを外したりして着方に乱れが散見される。
 公立の高校であり校舎も古いため、教室にはエアコンも扇風機もないのだ。窓を全開にしているものの、残念ながら室内に広げている白いカーテンが全く揺れる気配がないほどに無風の状態だ。
 さすがにこの暑さは異常だ。教師たちもこの環境に辟易しているため、生徒たちの制服の乱れをそこまで取り締まることもできないでいた。

 座って授業を聞いている生徒たちがそうなのだから、立って授業する立成も当然汗だらけだ。背中や脇の下に滑った汗が流れているのを不快に思う。しかし立成が汗をかいているのは何も気候のせいだけではない。
 焦る気持ちを抑えながら校舎の外れの外れに位置する社会科実習室から職員室に戻り、自席の授業道具を見繕うことなく全部抱え上げて自分のクラスに来たのだが、その行程をすべて早歩きで凌いだのだった。
 授業に遅れるのは教師として、時間を守るという最低限の営みを生徒に学ばせる上であってはならないことだと立成は思っている。しかし、だからといって校内の廊下を立成のような巨体がドタバタと走り回るのはみっともない。大体、あの口うるさい学年主任に見つかりでもしたら何を言われるかわかったもんではない。
 立成は心情としてはそこまでの焦燥はなかったものの、日頃の運動不足がたかってか、教室についた頃には息が弾み、軽く運動をした後のようになっていた。
 そのせいか、授業開始時点で既に汗だくになってしまっていた立成。その追い打ちとして、午後の高温多湿が襲ってくる。
 授業開始とともにジャケットを脱いでしまおうかとボタンに手をかけるが、それはできなかったのだ。
 股間が盛り上がってしまっていたのだ。
 社会科実習室で放出直前だった一物を無理矢理ボクサーブリーフに捩じ込んだときには、光る雫が鈴口から垂れていたものの、仕事のことを考えある程度柔らかくなっていた。しかし、教室に戻る過程で素早く脚を前後させたからだろうか。早歩きによる揺れとピッチリと立成の身体にフィットしたボクサーブリーフとの擦れにより、立成の一物は実習室での硬さを取り戻し、肥大化した亀頭をもたげていた。その様は、立成が身に付けている、これまた立成の逞しい太ももや腰周りにフィットしているスラックスの上からもわかってしまうほどだ。困った愚息だった。
 ジャケットを脱いでしまったらその下はワイシャツだ。当然、その裾はベルトをしたスラックスの中に仕舞っている。下腹部を隠せそうなものが無くなってしまう。

(くそっ・・・こんなときに・・・・)

 立成は額や首を濡らしながらも上下スーツ姿のまま、汗による不快な気分とわずかに残っている射精欲を生徒たちに隠して授業を開始した。
 事前の準備はできなかったものの、滞りなく授業を進めることができた。
 幸い、授業の内容は、午前中の他のクラスで実施したものと同じだった。とりあえず抱えてきた大量の資料やプリントだが、結局、一人で勝手に重労働をしただけに過ぎなかった。テキストや自前のノートに目を落とせば、あとは自然と講義内容が口から出てくる。
 他のクラスで話したことと同様であるため、円滑に歴史の解説をしながらも立成は先程までの自分のことを考えていた。
 
 ギリギリだった。本当に。

 頭の中も整理され、仕事モードに入ったからだろうか。あれだけ隆起していた立成の一物は、いつしか元のの柔らかな状態に戻っていた。
 それを確認しホッとしながらも、ようやく脱げると立成はジャケットをその身から取り除いた。

 尻の痛みは少し治まっていたような気がしていた。
 薬の効果があったのか、それともプラシーポか。チャイムが鳴り授業に遅刻すると焦った気持ちで神経がそちらに回っていないのかもしれない。

「それじゃ今配るのが今日の範囲だ。残り時間、各自取り組んで知識を蓄積しておくように」

 授業の終盤、一枚のプリントを生徒たちに配る。
 裏表印刷の授業の振り返り内容のテスト。
 昼休み明けの時間帯の授業だというのに、生徒たちは不平も言わずに取り組み始める。
 静かな教室から立成の講義の声までも消え、さらに室内は静かになる。

 生徒たちがペンを走らせる音。
 プリントを裏返す音。
 教科書をめくる音。
 それくらいしか耳に入らないほど、静かで穏やかな午後だった。

 プリント学習が始まればいつものように立成は教室内を歩き回る。生徒たちはまだ高校生になったばかりの15歳だ。そんな彼らと立成では、明らかに体格が違う。ゆっくりと闊歩するその巨体はやはり威圧感がある。
 今日も生徒たちは真面目にプリントに取り組んでいるようだった。

 教室の一番後ろまで来たので、立成は振り返る。視界に入るのは当然教室の風景だ。
 40人もの男子生徒たちがそれぞれのやり方で課題に向き合っている。
 そんな生徒たちの背中の先に見えるもの。
 大きな黒板には立成が授業で書いた内容がある。厳つい見た目によく似合った少し荒々しい字だ。あまり丁寧な字ではないものの読めないレベルではない。
 その黒板の下には教壇がある。
 意識してはいなかったものの、あらためてその景色を見たことで、立成は思い出していた。
 先週の金曜日の夜、筒井にされたことを。

(俺は、あそこで・・・け、ケツを・・・)

 そう思っただけで背筋が凍る。本当に、自分は何てことをしてしまったのだ。
 夜中の教室で教師と生徒が二人っきりというだけでも少しおかしいのだ。その上、その生徒にそそのかされたからとはいえ、尻を突き出してスパンキングされ、あまつさえ尻を振って肛門への刺激をおねだりしてしまったのだ。
 思い返したただけで心臓がバクバクと動く。今見える誰もいない教壇に、まるでその時の自分と筒井のイメージが幻覚のように見えてしまいそうになる。尻を叩かれ、自分でスラックスを下ろし、ボクサーブリーフを捲られ、その下着も己の手で下ろして、尻タブを開かれ、肛門を凌辱されたのだ。

(あの場所で、俺は生徒にケツをねだってしまったのか・・・ケツを叩かれたのか・・・)

 悶々とした思いが再発する。音が聞こえるほどに喉を鳴らして唾を飲む。
 今は授業中だ。当然クラスの生徒たちが全員席に着いている。あの時は確かに立成と筒井以外は無人の教室だった。時間帯が異なるのもあるが、全くの別の場所のように見える。
 しかし、確かにこの場所なのだ。この場所で、立成は生徒に己の尻を徹底的に・・・・

 自分が思ってしまったイメージにより、立成は身体を熱くした。この温度のせいではない。目の前の景色の中で、自分がされた行為を思い返したせいだ。落ち着いていた汗がじんわりと湧き出て広い背中に垂れる。じんわりと身体の内側から湧き出てくる仄かな熱に立成は動揺する。
 どうして今、自分がそんなことを考えているのか。授業中だぞ。
 自分を叱咤しようとする。しかし本能に従う身体は立成の言うことを聞かない。それどころか、授業により鎮静化したと思っていた立成の一物がボクサーブリーフの中でピクンと反応し、再度肥大化する気配を見せている。

 その時だった。
 ピリッ
(うっ・・・)

 落ち着いていたはずの尻が、再度痛み出した。
 立ちっぱなしで尻に負担が掛かったからだろうか、それとも立成の静かな興奮により血の巡りが良くなっからだろうか。吉沢からもらった薬で治まっていたはずなのに、またも立成のデカ尻が悲鳴を上げた。

 刺すような尻の痛みにより、さらに立成は自分が生徒に尻を弄ばれる様を描いてしまう。無様に尻を叩かれてしまう自分。スラックスの腰を引っ張られて大きな横に張った尻の形をモロだしにされている自分。下の服を脱がされ、その男らしく毛だらけでもあり女のように横に張っている双丘を生徒に開かれ、黒い陰毛が生い茂る中に鎮座する自分の肛門を見られている自分。
 そんな自分と筒井の姿を思い描いてしまっていた。恥ずかしさと屈辱で頭がおかしくなりそうになる。まずいと思っているというのに立成の一物は順調に育ち、ボクサーブリーフの中で頭をもたげつつある。

 痛みと官能で訳が分からなくなったこともあり、立成は思わず右手でそーっとその尻をさすった。

(うっ・・・痛え・・・けど、本当に俺のケツ、デカいよなぁ・・・)

 自分で尻を撫でておきながら思わず赤面してしまう。自分の尻のサイズや厚み、筋肉による硬さと脂肪による柔らかさをその手で実感し、あらためて恥ずかしいと思ってしまう。それでも立成の尻は刺激を求めるかのように
 完全に悪循環だった。考えないようにしようとすればするほど、立成の身体は官能を求めてしまう。まるで社会科実習室で射精寸前にお預けを食らったことへの報復を立成にしているかのようだった。
 いつのまにか彼の一物は立成の預かり知らぬうちに完全に勃起してしまっていた。その肥大化した前の局部は明らかに突っ張っており、スラックスの上からでもいわゆる『モッコリ』が丸わかりだ。おまけに立成は今はジャケットを着ておらず、当然ワイシャツの裾もスラックスの中に仕舞っているため、その雄のシンボルを隠すものなど何もない。

 立成は顔を赤くしながらツカツカと靴音を鳴らし教卓に戻った。自分の中の思考の泉から溢れ出てくる厭らしい思念を置いていくかのように。隆起した息子を足を動かすことで見た目としてわからないようするかのように
 先ほどの教室内の闊歩とは明らかに違う早さだった。普段とは明らかに異なる立成の行動。歩くたびに亀頭がボクサーブリーフの生地と擦れて反応してしまいそうになる。それを紛らわすためにもっと足を運ぶスピードも速くなる。
 これまでの立成の教室内の巡回と比べると、怪しまれるおそれがあるほどにその違いは明白なのだが、幸いにも生徒たちは気にする様子もなく、相変わらず机の上の紙に書かれた問題について考えている。
 
 教壇に戻る。教卓があるため、何とか下半身を隠すものができたことに立成は安堵する。
 危なかった。
 もし、生徒に見られたらどうなるか。
 男子生徒しかいないため、セクハラということにはならないだろう。せいぜい、生徒間の陰の話のネタにされる程度かもしれない。それでもやはり、教師としてそんな姿は見せたくなかった。
 
 ほっとした息を吐く。
 目の端に何かが見えた。教壇に何かが落ちている。
 立成は気づいてしまった。見つけてしまった。

 白いチョークが落ちていた。

 デジャブのようだった。頭が混乱した。
 先週の金曜日と同じ場所に同じものが落ちているように見えてしまった。

 見間違いかと思った。
 なぜ、また同じように落ちているのか?
 仕組まれているのか?誰に?筒井に?
 そう考えてしまいそうなくらいに疑心暗鬼だった。

 特段チョークが落ちていることなど問題ではない。
 見て見ぬふりでも良いのだ。現に、立成は授業中にチョークを落とした記憶はない。
 昼休みか、その前の授業から落ちていたものなのだろう。
 だから、立成がこれに対応する義務は全くないのだ。

 しかし・・・

 ごくり。音が聞こえそうなほど強く唾を飲み込む。
 頭の中は真っ白で何も考えられない。 
 身体が勝手に動いていた。自然と足が教壇から降りていた。黒板の方に身体を向けた。
 そして、立成はゆっくりとその巨体を折り畳み、左手を教壇に突き、右手でチョークに手を伸ばした。

(ううっ・・・くっ・・・)
 
 相変わらずの大きな尻だった。見事に発達した太股に、その上にある大殿筋。それらが窮屈なスラックスの中に閉じ込められていることで、より肉感的に男の下半身を表現している。
 見事なまでの再現だった。先週と同様、立成は教室の中で、またも自分の尻を生徒たちに向かって突き出していた。
 違う点があるとすれば・・・

(何だか、ズボンの感じが違うような・・・)

 立成は違和感を覚えていた。その正体は、スラックスの締め付けの違いだった。
 立成が履いているのは薄いグレーのスラックスのはずだった。しかし、色合いが変わっているように見える。
 4月にしては高い気温と不快な湿度により、立成の尻や脚から垂れる汗により生地全体が湿っていた。おまけに昼休みに耽った一人遊びと、授業前の早歩きでも、要因は異なるとはいえ発汗していた。それら立成から放出された汁が染み込こんだスラックスは、立成の下半身の発達した部位、腰周りや尻、太股にしっかりと張り付いてしまっていたのだ。

 さらにもう1つ。
 立成はスラックスだけではなく、ボクサーブリーフもいつも以上に尻に張り付いているように感じていた。
 そこで立成は考えつく。昼休みの終わり、時間が無いからと乱雑に塗った軟膏薬。
 明らかに適量を超える量を塗ったせいだろうか。皮膚に吸収されなかった薬剤は、そのまま尻表面に残り、ボクサーブリーフに染み込んでいた。粘性が高いとはいえジェル状の薬品なのだ。その染みはボクサーブリーフの尻側からスラックス側へと染み渡っていき、スラックスとも張り付いていた。

(お、俺のパンツ、透けてないよな・・・?)

 立成の懸念どおり、突き出した尻にはスラックスがぴったりと張り付き、さらにはボクサーブリーフのラインまでも丸わかりなほどくっきりと尻や下着の輪郭がわかってしまっていた。

 どうってことないのだ。仮に女生徒がいたとしても、彼女たちは今流行りのいわゆる『イケメン』とは呼べない風貌の立成の下半身に浮き出る下着のラインなど全く気にも留めないだろう。ましてや、今のこの教室には教師も生徒も男しかいない空間なのだから。
 しかし、開発されてしまった立成にはそんなものは関係なかった。
 デカい尻を突き出している。スラックスもぴったりと張り付いている。その中に履いているボクサーブリーフまでも丸わかりなこの状況。
 おまけにスーツジャケットも脱いでいるため、その妖艶な尻を隠すことのできるものなどなにもない。ほぼ丸出しの尻を見せているともいえるのかもしれない。
 隠せているといえるのは、多量に生えいる尻毛とスパンキングによる腫れぐらいのものだった。

 見事な臀部を強調した状態で尻を突き出していた。
 自分が恥じている様々な要素を、これでもかと見せつけているのだった。

 何をしているというのだ。
 立成は自分を恥じた。
 不必要に尻を突き出し、それに恥じ、そしてまたそれを感じてしまう自分。
 どんな人間なのだと。自分に対して嫌悪の情すら湧いて出てきそうだった。
 そんなとき、またも金曜の夜がフラッシュバックしてしまう。

 生徒に耳もとで囁かれた、あの言葉。
 シンプルなワードでかつ、立成を燃え上がらせたあの言葉。

『淫乱ですね』
(あ、あぁっっっっっ!!!)

 立成は一瞬で全身がカーッと熱くなってしまった。
 声までも出そうになってしまう。
 思わず尻を振りそうになってしまう。
 叩かれることを、挿れられることを求めてしまいそうになってしまう。
 一物もビクンビクンと狭いボクサーブリーフの中で暴れ、鈴口から汁を垂れ出してしまう。

 立成は必死になった。色々なものを耐えるために手の指先に力が入る。眉間に皺が寄るほど眉を吊り上げさせ、歯は音が鳴りそうなほどに噛みしめている。

(俺は・・・そうかもしれない・・・俺は・・・やはり淫乱なのか・・・?)

 これまで否定してきた自分の欲望。
 無関係だと思っていたそういう
 まさか自分がそのような人間だったとは。

 身体を支える左手がヒクついている。右手もチョークに触れたまま動かない。
 下半身を支える両脚までもブルブルと震えそうになってしまう。

(もし、筒井みたいな奴がクラスにいたら・・・そいつは、俺の・・・)

 立成は顔を後ろに向けそうになっていた。
 クラスの40人。その中に、いる可能性があるのか。
 自分の・・・こんな淫乱な男の無様な尻を見たがるような奴が・・・いるのかどうか。

 しかし、後ろを見ることはできなかった。
 ある意味恐怖だったのだ。
 もし、誰かが今の自分を見ていたとしたら、自分はいったいどうするというのか。
 あるいは、40人全員が好奇の目で自分を見ていたら・・・

 背筋がぞくっとしてしまっていた。
 自分でもわかるほど、肛門がヒクっと収縮してしまっていた。
 自覚すればするほど、どうしようもないほど乱れてしまう、そんな自分の一面を知ってしまった。
 
 立成は思わず廊下の方へと顔を向けていた。

(あいつが、あいつが来たら、きっと、また、俺を・・・)
 
 まだ授業中なのだ。
 来ることなんてないとわかっているのに。
 先週見られたこと自体、本当に偶然だったのだ。
 二度目なんてあるはずがない。
 それでも期待して見てしまっていた。
 筒井がこの教室の前を通りかかる、そんなことを期待していた。
 見られた場合に何をされるのかも期待しながら、無様に尻を突き出し続けていた。
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