生徒との1年間

スオン

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顧問2年目06月

顧問2年目06月 7

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 3人の視線を集めているのは、立成のその一物だ。今や頑張って剥いたその包皮も、元の姿を取り戻している状態で見られているのだ。その形は人それぞれ。個性がある。皮が剥ける者。剥けない者。多種多様だ。しかし、その部位を他人に晒すとなると話は別だ。すっぽりと包皮に包まれているソレを赤の他人にじろじろと見られるのは、一人の男としてはなんとも情けない姿だった。

「これが立成先生の本当のチンポなんですね~!」
「ダメですよー!嘘ついたら!先生なんだから!」
「ま、やろうとする気持ちはわからなくないけどなっ!」
「え~、そういうものなの~?」
「そうだよ。やっぱり男としてはさぁ、皮被りよりもズル剥けに憧れちまうからなぁ」
「へー、まぁ、結構しっかり被っちゃってますもんね、コレ」

 立成1人が全裸で立っている。先程清野から指示されたとおり、両手は頭の後ろに組んだまま。恥ずかしい皮を被った恥ずかしい一物を隠すことができずにいる。

「確かに、皮があるだけで見た目が違うかも」
「なんか~、かわいい!さっきまでのはすごい迫力だったけど、今のはおちんちんって感じ!」
「ハハハハっ!そりゃひどいやあやかちゃん!おちんちんはダメだよ!」
「え、なんでですか~?なんかかわいいじゃないですか、おちんちんって」
「かわいいからダメなんだよ!」

 自分の一物を評されている。その恥ずかしさに立成は目尻や額に皺が刻まれるほどに目を閉じ、その屈辱に耐えている。
 それでも彼女たちの声が、言葉が耳に入ってしまう。自分の一物がかわいいかおちんちんだと評価されていることもわかってしまっている。
 清野が言ったとおり、男の一物事情は複雑だ。大人になったとはいえ、ソレも大人になるかと言うとそうとも限らない。だから世の男たちは、自分の意地とプライドのために、ソレについても見栄を張ってしまう。そんな生き物なのだ。
 そんな、『見栄』を張ってしまった男にとって、その見栄を剥がされ、本来の恥ずかしいありのままの姿を見られるだけではなく、さらにソレが「かわいい」「おちんちん」といわれてしまっては、もはや男が持っている抗うための攻撃性など奪われてしまうだろう。
 それは立成も同じだ。いくらでも反論したかった。抵抗したかった。なのに、そんなことができる気がしなかった。牙を引き抜かれてしまったのだ。今やただただ、この地獄のような時間が終わることを願い、弄ばれることに耐えるしかないのだった。

「そうだっ!」
「えっどうしたの、あやか?」
「忘れてたっ!ごめんね~立成先生!」
「・・・なん・・・ですか・・・?」

 あやかの言葉に立成の身体がビクッと揺れる。
 また何か辱しめられるのか・・・?

 磨耗した心がわずかに反応する。立成はもはや、この3人が何か言葉を発するだけで、その心の中が不安で一杯になってしまっていた。
 あやかは立成に身を寄せると、頭に組んでいた両手のうちの片方の左手を握りしめ、自分の方へと引き寄せた。

「な、何を・・・」
「ふふっ。えいっ!」
「なぁっ!」

 立成の口から悲鳴のような声が漏れ出てしまった。それも仕方がない。あやかがいきなり立成の手を自分の胸に押し付けたのだから。
 童貞の立成にとって初めて触れる女性の胸。彼女が華奢な身体を包んでいるワンピースの上からではあるが、その生地の薄さからか、彼女の膨らみのある柔らかな胸の感触は立成の指先にもじんわりと伝わり、その情報を脳へと送られてしまっている。
 立成の人生で初めて触れる異性の胸。思わぬところで、思わぬタイミングでの初体験。驚きのあまり立成は吃るしかなかった。

「え、あ、え・・・」
「えー!あやかちゃん本当にやっちゃうの!?」
「えへっ!だって立成先生、頑張ってくれたから!うふふっ、立成先生どうですか~?」
「ど、どうって・・・」
「あはは!じゃ、あたしも」
「ちょっ!」

 ちえみも負けじと、もう片方の右手を胸に当てた。
 こちらも同様に、キャバスーツの胸の上に立成の大きな手を添えるように宛がう。
 先ほどまで左手だけが触れていた、あの女性のあの部分を右手までも触れることができてしまっていた。

(俺は、何をっ・・・!あ、・・・だ、駄目・・・駄目だ・・・)
 
 女の胸を触りながら、いや、女の胸を触らせられながら、立成は立ち尽くしたまま何も出来ずにいた。
 膝下にビキニブリーフをずり下ろされたほぼ全裸のまま、その両手を広げられる様は、捕獲せれた宇宙人のようだ。さきし、2人の女性の胸に触っている。

 なぜこんなことをしているのか?
 こんなことをして良いのか?
 この2人は嫌じゃないのか?

 そんな思考や葛藤が脳内を宛もなくグルグルと廻るが、結論が出るはずもなく、立成はただただ2人の嬢に身を任せてしまいながら、指先から伝わるその感触を味わってしまっていた。

(触ってる・・・俺、触ってる・・・今、俺、・・・お、おっぱいを・・・!)

 意識してしまった。
 結果論ではあるが、立成はそれを考えるべきではなかった。今までのように、2人の嬢の突拍子もない行動に対して、ただ戸惑い、不安に思っている方がマシだった。
 32年間、女性との交際経験すらない男なのだ。
 とはいえ、間も聖人君子のような生活をしていたわけではない。当然、性欲はあるのだ。
 知りたかったのだ。触れたかったのだ。
 そんな願いが突然、こんな形で叶えられてしまったのだ。当初は何も考えられなくても、時間によってその事実が立成の頭を支配するのは当然だった。
 意識してしまった代償は、立成の身体にも表れてしまう。
 
「やだー!」
「えっ!ちょっと!勃ってきてるしー!」
「おいおい・・・」

 3人の声でハッと我に返る。
 その時には既に遅かった。下を見ずともわかっていた。わかってしまった。
 立成の一物が、ムクムクっとボリュームを増し始めていた。

(な、何をしてるんだ!俺は!)

 焦っても最早どうしようもない。
 ほぼ全裸の状態なのだ。立成の股間が起き上がりつつあるのは、既に3人の観客には知られているのだ。
 2人の嬢からはきゃーきゃーと黄色い声を浴びせられてしまう。
 それとは逆に、あんなにふざけていた清野からは呆れられてしまったような声をかけられていた。

「じゃ、もっとサービスしちゃお」
「はんっっ!」

 立成の局部の反応を面白がったあやかが、もっととんでもないことをし始めた。
 自分の胸に宛がっていた立成の手を、自身のワンピースの胸元に滑り込ませたのだ。
 無理矢理だった。そうだというのに、立成にはなす術もない。

 さっきまでの服の上からのお触りだった。
 今度は違う。生だ。生の女の身体だ。それをダイレクトだ。

 その不思議な柔らかさ。
 立成が32年間、ただただ妄想の中で1人シコシコと思い描いていたものとは少し違うものだった。
 フワフワとしたメルヘンのような、スポンジケーキのようなものだと思っていた。

 しかし、違ったのだ。生まれて初めて触る、女の人の、おっぱい。
 確かに柔らかいのだ。しかしそれは確かに人の肉であり、脂肪であった。立成が思うような、神秘的で神聖なものとは少し違ったものだった。
 それでも、そうであっても、

(そうだ、これが・・・おっぱい・・・おっぱい・・・!)

 頭が真っ白になら。今この死にたくなるような恥ずかしい状況にいるにも関わらず、立成ははその不思議なおっぱいに魅了されてしまっていた。

(マジか・・・?マジなのか!?これが、これが・・・)

 32年間。長い時間だ。
 その人生の間、女を全く知らず、触れ合うこともなく、かといって風俗に行く度胸すらなく、我慢に我慢をしてきた1人の雄が、女の身体を知った。知ってしまった。知らされてしまった。

「これが、本物の・・・!」

 立成は知らず知らず、思考が口に出てしまっていた。
 そう考えただけで、先程の羞恥などどこ吹く風か、立成の膨張した雄の一物がさらにグググっと隆起する。太い幹がさらに成長する。しっかりとその先端が上昇していき、立派な角度を持つようになる様までも、3人にバッチりと見られてしまっていた。

「うわー!」
「やばっ!」
「あ、あぁっ・・・」
 
 見られているのはわかっている。
 それでも止まらない。止められるものではない。
 今や立成の一物は完全に勃起していた。鈴口は天井を向き、充血しているのがわかるように血管も浮き出いる。相変わらず包皮はその先端まで被ったままであるが、それは立派な男の魔羅だった。先ほどまでは嬢たちに『おちんちん』などと笑されていたが、今や誰にもおちんちんなどと呼ばせない、呼ばれないような男の一物だった。
 そんな立成の雄の証明の披露会だった。

「どうでした?」
「あ、いや・・・」
「うふふ。よかったですか?」
「・・・はい」
「なんだよー立成先生!結局楽しんじゃったんじゃん!」
「顔赤ーい!」
「初心すぎ!可愛い!」

 立成にとって長く感じた、初めての女性の胸との邂逅。残念ながらそれの終焉を告げるかのように、立成の両手が彼女たちの胸から解放された。

(も、もっと触っとけばよかったかな・・・?)

 先ほどまで2人の女性の胸に触れていた、触れるだけだった指先を今更動かしながらも、両手が自由になった今は、すぐ股間を隠してしまいたかった。この、女の胸に触れただけでいきり立って元気になってしまったムスコを見せなくしてしまいたい。そんな思いだった。
 今の両手は彼女たちに握られている。さして強くない力だ。立成ほどの体躯の男ならば振り払うのは簡単だろう。しかしそれができなかった。それは、優しく接してくれた、まるで天使のような女性に対して、あまりに失礼だと立成が思ったからだった。もっとも、あやかとしてはそんな思いなど全くなく、ただ面白そうだからその胸を触らせただけなのであるが。

「結構大きいですね」
「やっぱり被ってるんですね」
「あ。ここだとちょっと匂うかも!」
「すごく毛がモジャモジャしてて長~い!」

 いつの間にか2人の嬢は膝を折り、目線を立成の股間に合わせていた。
 その距離、約3センチ。
 そんな、彼女たちの顔の文字通り目と鼻の先に、立成のいきり立った一物がそびえている。
 立成はギュッと目を閉じている。唇も閉じ、その中では奥歯を噛み締めていた。
 その恥を甘んじて受け入れた。
 勃起したのは自分なのだ。興奮したのも自分なのだ。
 それはわかっている。わかってはいるが・・・恥ずかしいのは恥ずかしいのだ。

「肌色って感じ。あんまり遊んでないんですね。男の人のココって、もっと黒いイメージだった」
「そうなんだよ~立成先生のチンポはきれいなんだよなー。こういう色のほうが女子にはいいのかなぁ?」
「まぁねぇ」
「あたしはどっちでもいいかな?黒くてもい~よ~」

 肌色の自分の一物が評されている。点数をつけられている。
 身体が震えそうだ。脚もガクガクしてしまいそうだ。
 何とか必死に立ち尽くす。

「でも綺麗すぎない?」
「たしかに。なんか、高校生みたい!」
「もしかして・・・立成先生、童貞ですか?」
「ちっ、違いますよっ!ハハハ」

 『童貞』
 その言葉が耳に入り、立成はあわてて訂正した。
 まるでそんなはずがあるわけないだろうと一笑に付すかのように。
 それでも、忌み嫌うその単語が聞こえただけで、立成の心臓はキュっと縮み上がった。両方のこめかみからもダラダラと脂汗が滴り始める。何とか作った笑い声も引きつったものになっている。

 立成が最も気にしているフレーズだ。
 これまでの32年間、正確に言うと教師生活を始めてから、自分のその恥ずべき筒井を除いて誰にもバレてはいなかったのだ。
 大学生の頃までは、周りも自分と同じ童貞ばかりだった。だから、恥を感じながらも、仲間内ではしっかりと『童貞』であることを話していたし、猥談でも女体へのあこがれを共有しあっていたのだ。
 しかし、教師の道を歩み始めてからは、職場の同僚、つまり教師たちとの間で稀にある下世話な話しでも、経験者であるように話が降られてしまう。当然だ。皆大人なのだ。だから立成だって、わざわざ否定して自分の未経験を赤裸々に話すことなどなく、まるでいっぱしの経験者である大人の雄の振りをして、これまで何とかやり過ごしてきたのだった。

 それが今や。出会って間もない女たちに怪しまれるなんて。
 それも、自分の性器の色合いだけでだ。そんな決めつけで、自分の最も恥じる部分を出せるはずなどない。
 そんなことまでばれてしまったら堪らない。

(もし、そんなことまでバレたら・・・)

 1人焦燥する立成。
 大丈夫だ、バレるはずなどない。
 そんな風に自分を勇気づける。
 そんな立成のことなど気にするそぶりも見せない3人は、能天気にはしゃぎ続けている。

「清野先生は知ってます?立成先生の女性遍歴」
「あっ、それ俺も気になってたんだよね、そういえばまだ聞いてなかったよ」
「へぇ~。じゃ、誰も知らないんですね~」
「えー、気になるなぁ」
「じゃ、クイズ第2弾やろっか!立成先生の経験人数当てゲーム!!」
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