俺のことだけを見てればいいのに。

とらまーる

文字の大きさ
20 / 48
第三章

少年の悲しみ

しおりを挟む
「……ふーん? じゃあ付き合ってるのー?」
「どうだろうね。俺、君に教える必要ないと思うから教えないよ。」
「あんたに聞いてないー。萊ちゃんに聞いてんのー」
「え、俺?」

 とんとん拍子で進む隼人と三好の会話を聞き流していると急に俺の方に振られてびっくりする。というか、隼人と三好ってなんでこんなに仲悪いんだよ。

「付き合って、ない……けど。」
「そっかー。じゃあまだ俺っちの入る隙間、あるよね。」
「萊のこと、狙ってるの?」
「ふふふ、どうだろうね。俺っちもあんたに教える必要ないと思うしー。」
「……早乙女と三好。落ち着け……」

 なんなんだこの会話。もうすでに俺の頭がついていかないんだが。
 てか……

「三好。何気手を動かすなよ。くすぐったい」

 さっきから地味に動いている俺の太ももの上の手。本人はテヘッて感じでウインクするもそのままにしていた。

「わ、変態。変態に俺の幼馴染はあげないよ。」
「萊ちゃんはあんたのじゃないでしょー?」
「萊の幼馴染は俺だけだよ。」
「あんたのせいで萊ちゃんの世界が狭まったらどうすんのー?
世の中色んな奴がいるのにー。」
「制限はしてないよ。ただ、君みたいな変態に狙われないようにしてるの。」
「はあ? 男は全員変態だろ。」
「萊は変態じゃない。」
「萊ちゃんは別だ。あんただって心の底では……」

「そこ! 静かにしろー!」

 ナイス先生。俺ら全くついていけてなかった。
 なに、この論争。早口すぎて聞き取るのも難しいんだけど。ちなみに俺は内容はわかんねーけどいつだって隼人派だ。

「チッ……」
「ちょっと翔。萊と席替わってくれない?」
「お、おう。そのくらい良いぜ。」

 まだ言い足らないのか舌打ちした三好と、冷静に翔を動かす隼人。
 やった、隼人の隣! 戸惑うことなく翔と交代しようとすれば、三好がグイッと俺の腕を引いた。

「っ!」
「あはっ、もーらい♪」

 その衝撃で三好の方へ倒れかけると軽く頭を支えられ、同時に口に柔らかいものが当たった。それは一瞬ではあったけど、何が起こったのか分からずにしばらく放心していた。


「――萊、萊!」
「……あ、隼人?」
「口、しっかり拭かないと……!」

 口……くち?
 隼人に焦ったように言われて思いだし、ぶわっと涙があふれてきた。

「萊!?」
「ぅ、……ッヒク……」

 俺の……ファーストが……隼人がよかった……!
 ぼろぼろと涙が頬を伝い、止まらない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

処理中です...