俺のことだけを見てればいいのに。

とらまーる

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第三章

少年の安心

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「萊、落ち着いて?」
「……っん……」

 とりあえず座席に座り、涙を拭う。視界はぼやけるけど、拭わないよりはましだ。

「ライライ……」
「……み、よしのバカ……」
「!?」
「萊、こっち向いて。」

 力なく三好の方を睨んでいえば三好が固まり、それと同時に隼人の方を向かされた。
 隼人にしてはやけに真剣な表情でハンカチを手にしている。何をするのか、と思えばごしごしと口を拭かれる。

「フグッ!」
「萊、防げなくてごめん。
けど、あんなのキスじゃないから。カウントしちゃだめだよ。
キスっていうのは、好きな人同士がするものだからね。」

 悲しそうな顔をしながら謝ったかと思うと、さっきと同じ真剣な表情で付け加えた。まあ、さっきのことは早く忘れてしまおう。それが一番だ……うん、けどしばらくは忘れらんねー。

「ちょ、おま……! それバレたら早乙女に殺されるぞ……!?」
「いやいや、仕方ないでしょ今のは……! マジ反則……!」

「なにをひそひそと話してるの? 二人共。」
『ヒッ!』

 何か隣で聞こえるなーと思っていると、やけにニコニコとした表情で隼人が指摘する。二人が鬼でも見たかのように息をのみ、ガタガタと震えだした。
 何が起こったんだ? 隼人は怖くないのに。

「ねえ、特にあんた。
萊を傷付けたうえに、泣き顔で……とか、ないよね?」
「い、いや……その……」

 笑顔のまま、少しだけ乱暴になった口調で聞けば三好は言い淀む。隼人はそれを聞いてさらに笑みを深くしていた。
 ……何が何だかわからねー。

「早乙女、その通りだぜ。」
「ちょっと!? 少しは庇ってよ!」
「いや、庇う義理はないからな。」

 翔はきっぱりと断定して三好が慌てるも、冷たく切り離した。

「ふふっ、話し合いの必要がありそうだね。
飛行機を降りたら……一対一で話そうか。」
「こわっ!!」
「あー……まあ、頑張れ。」

 隼人から、なんか黒いオーラが出てる気がする。三好が青ざめても笑みは絶えずに、翔はあきらめろとでもいうように応援をした。
 とりあえず話が一通り終わったのを見て、隣に話しかけた。

「隼人、あと何分だ?」
「三十分はあるよ。」
「ふーん……」

 沖縄に着くまでの時間を聞いて、余裕があるのを確認してから隼人の肩にもたれた。少し驚いた様子ではあったけど、くすっと笑ってから静かに頭を撫でてくれた。
 三好とは違ういつもの優しい手で、すごく安心しながら眠りについた。
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