俺のことだけを見てればいいのに。

とらまーる

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第三章

修学旅行四日目

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 最終日の今日も、モーニングコールで目がさめる。
 四日目の今日、ここで朝食を食べたらここを出る。

 …いよいよ、修学旅行も終わりか。すごく短く感じたな…

「おはよ、萊。」
「はよ。」

 あくびをしながら微笑みかけてきた隼人。今日が最終日なのもあまり気にしていないのか、いつもと全く変わりない。

「あれ、どうしたの?」

 きょとん、と覗き込んでくる隼人。それを見て小さくため息をつく。
 …俺、この笑顔に騙されてたんだよな。まあ、だからと言って嫌いなわけじゃないけど。

「別に。」
「萊、言いたいことあるんだったら言ってよ?
俺を不安にさせたいの?」

 いつも通り素っ気なく答えれば、眉を下げながら悲しそうに言ってきて。しかも、“不安にさせたいの?”だなんて。むしろこっちのセリフだ。
 …けどこれだって、演技の可能性があるのに…

「~~ッ! 俺の方が不安になるよ!」

 俺はいつだって隼人のこの顔に弱い。騙されてるかもって思っても、隼人がどうしようもなく好きだから……、ッ!
 自分で考えといてだけれど、ボンッと自分でもわかるほど一気に顔が熱くなる。

「ふふ、なに考えたのかな。」
「なんでもない!」

 軽く自分の頬に手を当てて冷ましていると、ベッドに腰掛けていた俺をトンっと隼人が押した。
 すこしの力だったけど、唐突なことに反応できなくて、気がついたら目の前に隼人がいた。

「ねえ。」
「っ…な、んだよ…」

 真剣な表情でまっすぐに見つめられ、声が少し裏返る。
 けど、その恥ずかしさも気にならないくらい俺は隼人の目を見つめ返していた。

「修学旅行から帰って…代休、あるでしょ?」
「あっ…ああ…」

 隼人のその言葉だけで、その続きを察してしまい、一人赤面する。
 それって…

「お家デート、しよ?」
「っ…!」

 軽く頬をなでられ、ゾワッと何かが背中を駆け抜ける。
 隼人はいつもの雰囲気が全くなく、むしろ今は狼。
 狼に狙われた俺は…

「す、る…」
「楽しみにしててね、萊。」

 ぼーっと見つめながら返事をした。


 しばらくその状態だったけど、ある一つの音で沈黙が破られた。
 それは、

「イデッ!!!」

 翔がベッドから落ちた音。
 その音でハッとした俺は隼人を退けていつも通りのふりをした。
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