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第3章
第5話
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音無くんは唇を噛み締めた。
「もし兄貴だったら、っていつも過ぎるんだ。もし告白したのが俺じゃなくて兄貴だったら、清水は告白を断らなかったんじゃないかな、とか。……だから、兄貴のことはだれにも言ったことなかったんだ。比べられることが分かってたから」
音無くんはかすかに震える声で、呟く。かける言葉が見つからず、私はただ足元を見つめる。
音無くんは、どうして私にこんな話を打ち明けてくれたんだろう……。
「でも、勝手に想像して、自信を失くしてただけだったのかもな」
「……そうだね」
私も同じだ。
周りの視線を、勝手に比較の視線と感じていた。
そうでないこともあったかもしれないのに、そうだと決めつけていた。
頷く私に、音無くんは眉を下げたまま微笑む。
音無くんの表情を見て、ふと思う。
他人にとったは、なんでもないことのように思える。
けれどこれは、音無くんにとってはきっととても大きなことなのだろう。
私にとってのお姉ちゃんの存在の大きさと同じように。
そう思うと、胸の奥がじんわりと熱くなった。
「……そういえば音無くんって、どこ志望なの?」
眼下に見える夜景をぼんやりと眺めながら、私は音無くんに訊ねた。
「うーん、大学はまだ決めてないかなぁ。なんとなく、心理学をやりたいとは思ってるけど」
「……心理学か……そうなんだ」
具体的な分野の話が出てきたことに、なんとなくショックだった。
音無くんが私と同じような悩みを抱えているからといって、なんでもかんでも同じなわけないのに。
「清水は国立?」
「うん。今のところ青蘭医大」
「青蘭か。じゃあ、清水は医者になりたいんだ?」
「……ううん。青蘭医大を目指してるのは、お母さんに言われたからだから」
二の腕をぐっと押さえる。
「呆れるよね、親に言われたとおりに生きてるなんて……でも私、やりたいこととかなくて」
「うーん、べつに呆れはしないけど……」
音無くんは足を止めて、私を見る。
「清水は、それでもいいの? 気持ち的に」
「気持ち……?」
「親に言われた目標でも、気持ちが重要じゃない? そーゆうのって。親に言われた道でも納得してるなら、それはじぶんで選んだって思えると思うし。……だから清水はさ、今までなんのために勉強してきたの?」
「……なんのためって、それは……」
家族や先生たちの期待に応えるため。それから、美里や葉乃たち、友人に慕ってもらうため。
だって、いい子でいないと私に価値はないから。
言葉につまる私に、音無くんが問う。
「清水自身は、青蘭医大でなにがやりたいの?」
「なにがやりたい……?」
言葉が出てこなかった。
だって、そんなの。
「……分からない」
私にはお姉ちゃんのような立派な夢は持っていないし、学びたいこともない。
目的が分からないのに、大学なんて決められるわけもない。
「……そっか。分からないなら、入ってから見つけたらいい」
俯き、黙り込んだ私に、音無くんがからりとした声で言う。
「入ってから?」
思わず呆然とした顔のまま、視線を上げる。
「やってみなきゃ分かんないことってあるし。だれになにを言われたからとか関係なく、じぶんで納得できればそれでよくない?」
「……じぶんが、納得できれば……」
「清水ってさ、夢がなきゃいけないって思ってるだろ?」
「それは……そうだよ。だって、夢がなきゃなにをすればいいかも分からないし、成長できないでしょ」
「まぁ、あったほうがいいのかもしれないけどさ、ないからダメってことでもないと思う。清水は、夢がないじぶんはお姉さんより劣ってると思ってるみたいだけど、そんなことないと思うよ」
「…………」
「清水は俺なんかよりずっと頭が良い。努力だって惜しまないし、優しいし。たぶん、みんなが慕ってるのは、清水が優等生だからってわけじゃないと思うよ」
「え……じゃあ、なんで……」
「清水が頑張ってるからだよ」
「私が頑張ってるから……?」
「清水がアピールしてなくても、そういうのは行動に出てるもん。学級委員とか、実行委員いくつもかけ持ちしてたことあっただろ? だからなんとなく清水って、学校にいるとずっと走ってるイメージあったんだよな」
「うそ!?」
たしかに昨年の秋は、いくつかの委員をかけ持ちしてやっていて忙しいときがあったけれど。そんなふうに見られていただなんて知らなかった。
音無くんと話していると、つくづくじぶんだけでは生まれなかった考えかたや価値観に驚かされる。
「清水はもう少し、じぶんを許してあげてもいいと思うよ」」
「え……」
「強がって、みんなの理想を演じて、それはすごいことだと思う。でもそれを続けてたら、きっといつか限界が来る。せめてじぶんだけは、じぶんを認めてあげるべきだ。肝心の清水自身がじぶんを否定しちゃったら、清水がかわいそうだよ」
「……かわい、そう?」
「夢に向かって努力するのはすごいことだけど、ないからダメなんてこと、ぜったいにないと思う。だれも清水を責めてなんていないよ。責めてるとしたら、清水自身だ」
全身の力が抜けていくようだった。
ずっと、いちばんになるために努力してきた。
でも、どんなに頑張っても上には上がいて、努力に終わりが見えなくて。
「……私、いちばんになれなきゃ、意味がないと思ってた」
いちばんになれなかったら、それまでの努力はすべて無駄だったのだと切り捨てていた。
でも、違うのかもしれない。
たとえいちばんになれなくても、いちばんを目指して努力したことが無駄なわけないのに。
「俺、思うんだ。夢がないっていうのは、交差点の真ん中にいるようなものなんじゃないかなって。周りをちゃんと見れば、めちゃくちゃいろんなものがあるし、じぶんの前にも横にも、もちろんうしろにも道があって、だからどの道を選んでもいいんだ。清水はこれから、どこにだって行けるんだよ」
「……でも、私たちもう高校二年生だよ。迷ってる時間なんてない。のんびりしてたら、あっという間に受験と卒業になっちゃう」
すると、音無くんがさらりと言った。
「たかが、卒業じゃん」
「……たかが?」
「だってさ、俺らまだ十七だよ? 人生まだまだこれからだろ。焦ることなくない?」
「……それは、音無くんがやりたいことが決まってるから言えるのであって……」
「俺だって、ぜんぜん将来のことなんて分かんないよ。心理学も、ただ気になるなってだけ。それを仕事にしようとかまでは思ってないし。そもそも大学行ったらまたいろんな出会いや発見があるだろうからやりたいことも増えるだろうし、ぜんぜん変わるかもしれないだろ?」
「じゃあ……具体的な目標が決まってないのに、勉強してるの?」
「そりゃそうだよ。ふつう、目標がないから勉強するんじゃない?」
「…………目標が、ないから?」
「そうだよ。いつ、どんな夢ができたとしても追いかけられるように勉強はするもんだよ」
「そっ……か……」
「もし兄貴だったら、っていつも過ぎるんだ。もし告白したのが俺じゃなくて兄貴だったら、清水は告白を断らなかったんじゃないかな、とか。……だから、兄貴のことはだれにも言ったことなかったんだ。比べられることが分かってたから」
音無くんはかすかに震える声で、呟く。かける言葉が見つからず、私はただ足元を見つめる。
音無くんは、どうして私にこんな話を打ち明けてくれたんだろう……。
「でも、勝手に想像して、自信を失くしてただけだったのかもな」
「……そうだね」
私も同じだ。
周りの視線を、勝手に比較の視線と感じていた。
そうでないこともあったかもしれないのに、そうだと決めつけていた。
頷く私に、音無くんは眉を下げたまま微笑む。
音無くんの表情を見て、ふと思う。
他人にとったは、なんでもないことのように思える。
けれどこれは、音無くんにとってはきっととても大きなことなのだろう。
私にとってのお姉ちゃんの存在の大きさと同じように。
そう思うと、胸の奥がじんわりと熱くなった。
「……そういえば音無くんって、どこ志望なの?」
眼下に見える夜景をぼんやりと眺めながら、私は音無くんに訊ねた。
「うーん、大学はまだ決めてないかなぁ。なんとなく、心理学をやりたいとは思ってるけど」
「……心理学か……そうなんだ」
具体的な分野の話が出てきたことに、なんとなくショックだった。
音無くんが私と同じような悩みを抱えているからといって、なんでもかんでも同じなわけないのに。
「清水は国立?」
「うん。今のところ青蘭医大」
「青蘭か。じゃあ、清水は医者になりたいんだ?」
「……ううん。青蘭医大を目指してるのは、お母さんに言われたからだから」
二の腕をぐっと押さえる。
「呆れるよね、親に言われたとおりに生きてるなんて……でも私、やりたいこととかなくて」
「うーん、べつに呆れはしないけど……」
音無くんは足を止めて、私を見る。
「清水は、それでもいいの? 気持ち的に」
「気持ち……?」
「親に言われた目標でも、気持ちが重要じゃない? そーゆうのって。親に言われた道でも納得してるなら、それはじぶんで選んだって思えると思うし。……だから清水はさ、今までなんのために勉強してきたの?」
「……なんのためって、それは……」
家族や先生たちの期待に応えるため。それから、美里や葉乃たち、友人に慕ってもらうため。
だって、いい子でいないと私に価値はないから。
言葉につまる私に、音無くんが問う。
「清水自身は、青蘭医大でなにがやりたいの?」
「なにがやりたい……?」
言葉が出てこなかった。
だって、そんなの。
「……分からない」
私にはお姉ちゃんのような立派な夢は持っていないし、学びたいこともない。
目的が分からないのに、大学なんて決められるわけもない。
「……そっか。分からないなら、入ってから見つけたらいい」
俯き、黙り込んだ私に、音無くんがからりとした声で言う。
「入ってから?」
思わず呆然とした顔のまま、視線を上げる。
「やってみなきゃ分かんないことってあるし。だれになにを言われたからとか関係なく、じぶんで納得できればそれでよくない?」
「……じぶんが、納得できれば……」
「清水ってさ、夢がなきゃいけないって思ってるだろ?」
「それは……そうだよ。だって、夢がなきゃなにをすればいいかも分からないし、成長できないでしょ」
「まぁ、あったほうがいいのかもしれないけどさ、ないからダメってことでもないと思う。清水は、夢がないじぶんはお姉さんより劣ってると思ってるみたいだけど、そんなことないと思うよ」
「…………」
「清水は俺なんかよりずっと頭が良い。努力だって惜しまないし、優しいし。たぶん、みんなが慕ってるのは、清水が優等生だからってわけじゃないと思うよ」
「え……じゃあ、なんで……」
「清水が頑張ってるからだよ」
「私が頑張ってるから……?」
「清水がアピールしてなくても、そういうのは行動に出てるもん。学級委員とか、実行委員いくつもかけ持ちしてたことあっただろ? だからなんとなく清水って、学校にいるとずっと走ってるイメージあったんだよな」
「うそ!?」
たしかに昨年の秋は、いくつかの委員をかけ持ちしてやっていて忙しいときがあったけれど。そんなふうに見られていただなんて知らなかった。
音無くんと話していると、つくづくじぶんだけでは生まれなかった考えかたや価値観に驚かされる。
「清水はもう少し、じぶんを許してあげてもいいと思うよ」」
「え……」
「強がって、みんなの理想を演じて、それはすごいことだと思う。でもそれを続けてたら、きっといつか限界が来る。せめてじぶんだけは、じぶんを認めてあげるべきだ。肝心の清水自身がじぶんを否定しちゃったら、清水がかわいそうだよ」
「……かわい、そう?」
「夢に向かって努力するのはすごいことだけど、ないからダメなんてこと、ぜったいにないと思う。だれも清水を責めてなんていないよ。責めてるとしたら、清水自身だ」
全身の力が抜けていくようだった。
ずっと、いちばんになるために努力してきた。
でも、どんなに頑張っても上には上がいて、努力に終わりが見えなくて。
「……私、いちばんになれなきゃ、意味がないと思ってた」
いちばんになれなかったら、それまでの努力はすべて無駄だったのだと切り捨てていた。
でも、違うのかもしれない。
たとえいちばんになれなくても、いちばんを目指して努力したことが無駄なわけないのに。
「俺、思うんだ。夢がないっていうのは、交差点の真ん中にいるようなものなんじゃないかなって。周りをちゃんと見れば、めちゃくちゃいろんなものがあるし、じぶんの前にも横にも、もちろんうしろにも道があって、だからどの道を選んでもいいんだ。清水はこれから、どこにだって行けるんだよ」
「……でも、私たちもう高校二年生だよ。迷ってる時間なんてない。のんびりしてたら、あっという間に受験と卒業になっちゃう」
すると、音無くんがさらりと言った。
「たかが、卒業じゃん」
「……たかが?」
「だってさ、俺らまだ十七だよ? 人生まだまだこれからだろ。焦ることなくない?」
「……それは、音無くんがやりたいことが決まってるから言えるのであって……」
「俺だって、ぜんぜん将来のことなんて分かんないよ。心理学も、ただ気になるなってだけ。それを仕事にしようとかまでは思ってないし。そもそも大学行ったらまたいろんな出会いや発見があるだろうからやりたいことも増えるだろうし、ぜんぜん変わるかもしれないだろ?」
「じゃあ……具体的な目標が決まってないのに、勉強してるの?」
「そりゃそうだよ。ふつう、目標がないから勉強するんじゃない?」
「…………目標が、ないから?」
「そうだよ。いつ、どんな夢ができたとしても追いかけられるように勉強はするもんだよ」
「そっ……か……」
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