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元素直になれない平凡はイケメン同僚に溺愛調教される
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「旭!どうしよう、緊張しすぎて映画の内容全然入ってこない」
仕事が終わりお風呂に入った後、映画を見ながらソファでくつろいでいると、ずっとそわそわと落ち着かなさそうにしていた敦がいきなり声を上げた。
明日は旭の両親と初めての食事会で、それが決まった1ヶ月前からずっと敦はこの状態なのを、旭はずっと微笑ましそうに笑っていた。
その様子を最初は可愛いなと笑いながら言っていた敦も、今回はあまりの緊張からか不機嫌そうに口尖らせている。
このままでは喧嘩になってしまうかもしれないと思った旭は、慌ててフォローの言葉を入れた。
「ごめん。敦がそんなになってるの初めて見るから、新しい面が見れて嬉しくて」
「旭……」
先程の不機嫌はさはどこへやら、手を握られてキラキラとした瞳でまっすぐ見つめられながら、顔を近づけられる。
このままでは、映画を全部観終わる前に押し倒されると思った旭は、慌てて目を逸らした。
「これで緊張解けただろ。ほら、大人しく映画観ような」
「全然解けてない! 旭の両親と食事に行けるのは嬉しいけど、そこで気に入られなかったら俺は……」
「そんな重く考えなくたって。それに、母さんに敦の話した時、大分好印象だったし」
「なんて、話したんだ?」
「料理が上手くて俺のこと大切にしてくれる優しい人って」
「旭!!」
手を強く握りながら、キスをしようとさらに顔を近づけてくる敦からなんとか唇を守ろうと顔を逸らす。
しかし、敦から香るお揃いの柑橘系のジャンプーの匂いと首元にかかる熱い息に、どうしても意識がいってしまい理性が揺らいでしまう。
「分かったから。手を離せ」
「一生離さない!今度は俺の両親とも食事行こうな!いつ頃にする?」
敦は諦めていないのか、至近距離で手を握りしめたまま、ずっとこちらを見つめている。
その姿に、呆れてため息を吐くと、雰囲気を変えるために新しい話題を振った。
「さっきまで緊張してたのに、立ち直りが早いな。その前に、一つ気になってることがあるんだけど」
「なんだ?」
「敦の母親の名前って、結衣って名前か?」
「そうだけど……。なんでそのことを知ってるんだ?」
予想とは違いなぜか鼻息を荒くしながら詰め寄ってくる敦に、さっさと種明かしをして誤解を解こうと、旭は話を再開した。
「それは、前にさ。俺がブライダルコーディネーターを目指した理由が母さんの影響もあるって話したよな」
「あぁ。俺も同じだって盛り上がったな」
「で、母さんに敦の写真見せた時に、前にも見たことある顔だって言われて、話を聞いたら敦の母さんと友達らしいんだ」
それを聞いた敦は、期待が外れたようにがっくりと肩を落とした。
「なんだ知り合いだったのか。旭が俺の身内の情報を独自に調べたとかじゃなかったんだな」
「俺が、そんなことするわけないだろ!」
そんなことを考えていたのかと怒鳴ると、まぁまぁと宥められる。
「別に調べても俺は構わないのに。むしろその方が嬉しい」
茶色く透き通った瞳をキラキラと輝かせながらそういうことを言われると、そんな引くようなことをされても自分のことを好きなのかと、諦めすら感じてしまう。
「それでも、俺は直接敦から聞きたいからしないよ」
敦の期待を裏切るようだけれど、そんなことは出来ないし敦と一緒に暮らす中で分かっていきたい。そう、念を込めて見つめ返すと、敦は輝かせていた目を段々と潤ませていった。
「旭っ!他に聞きたいことないか?」
「じゃあ。ずっと、気になってたんだけとさ……」
「なんだ?」
「俺とキスしてる時、どんな味してる?」
恥ずかしそうに上目遣いでそう聞くと、敦は手に力を込めて身体を震わせながら悶えて俯いてしまっていた。
しばらくして、再び顔を上げた敦と目が合うと、顔はほんのりと赤くなっていた。
「本当、旭可愛いな。ずっと味わっていたくなるくらいに甘ったるくて美味しい味だよ」
「そんな大袈裟な!」
つられてこっちまで顔を赤くすると、敦は照れたように笑う。
「本当にそれくらい美味しいよ。それにしても、なんでいきなりそんなこと聞いたんだ?」
「それが、明とお茶した時にそういう話になってずっと気になってたんだ」
「そういうことだったのか。で、旭はどんな味してるんだ?」
顔が唇が触れそうな距離まで近づいてきたと思うと、口元に熱い吐息がかかる。
鋭く獲物を狙うような瞳と目が合ってしまったらもう、逃げることは出来なかった。
「どんなって……。敦と同じで甘ったるくて美味しい味だけど」
「嬉しいよ。で」
そのまま、低い声で囁かれながらペロッと下唇を熱い舌先で舐められると、先程までは気になっていた映画の続きなどどうでも良くなってしまう。
続きの言葉を待っている間にも、早くキスがしたいと発情して唇が震える。そんな姿を敦にニヤニヤと笑いながら観察されるのすら、理性を溶かす快感へと変わっていった。
「寝る前に、その味。味わいたい?」
「敦の味……。味わいたい」
仕事が終わりお風呂に入った後、映画を見ながらソファでくつろいでいると、ずっとそわそわと落ち着かなさそうにしていた敦がいきなり声を上げた。
明日は旭の両親と初めての食事会で、それが決まった1ヶ月前からずっと敦はこの状態なのを、旭はずっと微笑ましそうに笑っていた。
その様子を最初は可愛いなと笑いながら言っていた敦も、今回はあまりの緊張からか不機嫌そうに口尖らせている。
このままでは喧嘩になってしまうかもしれないと思った旭は、慌ててフォローの言葉を入れた。
「ごめん。敦がそんなになってるの初めて見るから、新しい面が見れて嬉しくて」
「旭……」
先程の不機嫌はさはどこへやら、手を握られてキラキラとした瞳でまっすぐ見つめられながら、顔を近づけられる。
このままでは、映画を全部観終わる前に押し倒されると思った旭は、慌てて目を逸らした。
「これで緊張解けただろ。ほら、大人しく映画観ような」
「全然解けてない! 旭の両親と食事に行けるのは嬉しいけど、そこで気に入られなかったら俺は……」
「そんな重く考えなくたって。それに、母さんに敦の話した時、大分好印象だったし」
「なんて、話したんだ?」
「料理が上手くて俺のこと大切にしてくれる優しい人って」
「旭!!」
手を強く握りながら、キスをしようとさらに顔を近づけてくる敦からなんとか唇を守ろうと顔を逸らす。
しかし、敦から香るお揃いの柑橘系のジャンプーの匂いと首元にかかる熱い息に、どうしても意識がいってしまい理性が揺らいでしまう。
「分かったから。手を離せ」
「一生離さない!今度は俺の両親とも食事行こうな!いつ頃にする?」
敦は諦めていないのか、至近距離で手を握りしめたまま、ずっとこちらを見つめている。
その姿に、呆れてため息を吐くと、雰囲気を変えるために新しい話題を振った。
「さっきまで緊張してたのに、立ち直りが早いな。その前に、一つ気になってることがあるんだけど」
「なんだ?」
「敦の母親の名前って、結衣って名前か?」
「そうだけど……。なんでそのことを知ってるんだ?」
予想とは違いなぜか鼻息を荒くしながら詰め寄ってくる敦に、さっさと種明かしをして誤解を解こうと、旭は話を再開した。
「それは、前にさ。俺がブライダルコーディネーターを目指した理由が母さんの影響もあるって話したよな」
「あぁ。俺も同じだって盛り上がったな」
「で、母さんに敦の写真見せた時に、前にも見たことある顔だって言われて、話を聞いたら敦の母さんと友達らしいんだ」
それを聞いた敦は、期待が外れたようにがっくりと肩を落とした。
「なんだ知り合いだったのか。旭が俺の身内の情報を独自に調べたとかじゃなかったんだな」
「俺が、そんなことするわけないだろ!」
そんなことを考えていたのかと怒鳴ると、まぁまぁと宥められる。
「別に調べても俺は構わないのに。むしろその方が嬉しい」
茶色く透き通った瞳をキラキラと輝かせながらそういうことを言われると、そんな引くようなことをされても自分のことを好きなのかと、諦めすら感じてしまう。
「それでも、俺は直接敦から聞きたいからしないよ」
敦の期待を裏切るようだけれど、そんなことは出来ないし敦と一緒に暮らす中で分かっていきたい。そう、念を込めて見つめ返すと、敦は輝かせていた目を段々と潤ませていった。
「旭っ!他に聞きたいことないか?」
「じゃあ。ずっと、気になってたんだけとさ……」
「なんだ?」
「俺とキスしてる時、どんな味してる?」
恥ずかしそうに上目遣いでそう聞くと、敦は手に力を込めて身体を震わせながら悶えて俯いてしまっていた。
しばらくして、再び顔を上げた敦と目が合うと、顔はほんのりと赤くなっていた。
「本当、旭可愛いな。ずっと味わっていたくなるくらいに甘ったるくて美味しい味だよ」
「そんな大袈裟な!」
つられてこっちまで顔を赤くすると、敦は照れたように笑う。
「本当にそれくらい美味しいよ。それにしても、なんでいきなりそんなこと聞いたんだ?」
「それが、明とお茶した時にそういう話になってずっと気になってたんだ」
「そういうことだったのか。で、旭はどんな味してるんだ?」
顔が唇が触れそうな距離まで近づいてきたと思うと、口元に熱い吐息がかかる。
鋭く獲物を狙うような瞳と目が合ってしまったらもう、逃げることは出来なかった。
「どんなって……。敦と同じで甘ったるくて美味しい味だけど」
「嬉しいよ。で」
そのまま、低い声で囁かれながらペロッと下唇を熱い舌先で舐められると、先程までは気になっていた映画の続きなどどうでも良くなってしまう。
続きの言葉を待っている間にも、早くキスがしたいと発情して唇が震える。そんな姿を敦にニヤニヤと笑いながら観察されるのすら、理性を溶かす快感へと変わっていった。
「寝る前に、その味。味わいたい?」
「敦の味……。味わいたい」
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