人生イージーモードになるはずだった俺！！

プロローグ

突然だが自己紹介をしたいと思う。
俺の名前は篠原しのはら明あきら。下の名前は覚えなくていい。というか上も覚えなくていい。
何故ならば俺は転生し、今は違う名前を名乗っているからだ。
いきなりなんだこいつ、と思うかもしれないがもう少し聞いてくれ。
篠原の人生はろくでもなかった。特筆することもない平凡な容姿、普通の家庭。しかし俺はグレて高校中退、通信教育で単位を取り高卒となり、真面目に社畜として働き三十歳で事故死した。
本当にろくでもない。まともに親孝行さえできていない。そんな人生を歩み俺は死んだ。
そして。
何の因果か転生を果たしたのである。前世の、篠原の記憶を持ったまま。
意味が分からないだろうが俺もよくわからない。一つ言えるのはここは日本どころか地球ではなく、剣と魔法で戦い王様や皇帝なんかがあっちこっちにいるところだってことだ。
最初は俺も困惑した。だが持ち前の適応能力の高さからすぐに順応した。何も考えなかったとも言う。
そんな俺は現在五歳、名前はレオンハルト・アルム・スティルヤードという。長い。
現皇帝の臣下であるスティルヤード家の一人息子で、将来は第二皇子の臣下であり側近となる予定だ。
つまり家は金持ちである。もう一度言おう、金持ちである。
そしてもう一つ俺を語るうえで重要なことがある。それは俺がとんでもない美形だということである。
冗談ではない、本当に美形なのだ。今でも鏡を見ては、「えっこれ俺？」となるくらいには美しい。自分で言うのもどうかと思うが事実だ。
母親譲りの白銀のサラサラヘアーに満月のような銀の瞳。陶器のようにツルスベで雪のごとく白い肌。ビスクドールのように完璧かつ美しい顔に細く長い手足に指。
どこをとっても文句のつけようのない俺のあだ名は、雪の精霊もしくは天使である。
五歳でこれなのだから成長すればさぞかし美少年になるだろう。やっほい。

ここまでくればお気づきだろう。
そう、俺の第二の人生は、完全にイージーモードなのである。