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第一章
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あのデートから数週間たった。特に噂にもなっていなければイヴァングが知っている様子もない。グレイの目論見は外れたらしい。良かった…。
ちなみに今日から中間テストがある。しかし十歳の頃に高等部の学習を終えていた俺に死角はない、今回も学年首位の座をほしいままにすることだろう。
問題はその後、六月上旬にあるトーナメント形式の模擬決闘大会だ。これはその名の通り模擬戦だが一対一で決闘をし、勝ち残った勝者にはトロフィーと賞状が贈られるというもので、成績にも関係してくる。
特殊なフィールドで行い、実際にケガを負うことはなく代わりに疲労が蓄積されていく。耐え切れなくなり倒れるか降参した方が負けで、魔法や武具なんかも使い放題の戦いだ。
大会は男女、学部別で行われる。俺達は総合学科なのでよりカオスになるだろう。人数も最も多い。
俺はここでグレイと戦う約束をした。つまりグレイに当たるまでは確実に勝ち続けなければならない。
もちろん、同学年とだけならばそこまで難しいことではないだろう。だがこの大会は全学年合同だ。流石に上級生は未知数である。
来る日へ向けて、俺は自主練に励むのだった。
テストの結果は予想通り俺がトップだった。三位にアレクがいて驚いたのは内緒だ。
ちなみにヨルハは二十六位でイヴァングは七位だった。グレイ?二位だったよ。
「なんか俺だけ順位一桁じゃないし、仲間はずれみたいでやだなあ。」
「勉強しないからだろ。」
「アレクが厳しい…レオン、慰めてくれー。」
「ヨルハも頑張ったと思うよ?次は僕が教えてあげるから十位以内に入れるように頑張ろうね。」
「レオン…!好きだー!!」
「ありがとう、僕も好きだよ。」
「じゃあ俺達両想いだな!」
相変わらずの冗談を飛ばすヨルハをニコニコとした顔で見る。元気なやつだ。
「そういや模擬決闘の予選グループって決まったか?俺とアレクはCグループだったんだけど。」
「僕はAグループ。イヴァはBだったっけ。」
「ああ、Bグループのシード枠だ。」
「流石は第二皇子!一年なのにシード枠とは。」
ヨルハ…嫌味なのか、それは。
「…。」
そしてイヴァングはいい加減こいつらと話せよ…何年一緒にいるんだ、シャイにも程があるだろ。
遂にこの日がやって来た。模擬決闘予選大会の日だ。
強制参加ではないが、成績に大きく関係するためほとんどの生徒が出場する。そのため結構な人数が集まっている。予選は数日に亘って行われ、Aグループは初日だ。
何故このような大会があるのかといえば、それはこの国が元々実力主義の騎士の国であり、近辺に魔物が出没することが主な理由だ。帝国の人間ならば強くあれ、と誰もが幼い頃から言われて育つ。
さて、できるだけ上位になれるよう善処しなければならない。俺は優等生なのである。
もちろんグレイとの約束もある。早々に退場するわけにはいかない。しかし俺は慢心こそしてはいないが心配もしていなかった。何故ならば予選は学年別で行われる。全学年合同なのは本戦のみだ。
友人達とも全員別のグループであるため遠慮もいらない。楽なものである。
結果として俺は予選第一位で通過した。俺って天才。
魔法はほぼ使わず剣術のみで何とかなるレベルだった。まあこんなものだろう。
本戦が楽しみだ。
《ヨーロタside》
今日は模擬決闘大会予選の初日、Aグループの予選が行われる。僕はDグループなので今日は観戦に来ていた。
何といってもこのAグループにはレオンハルト君が出るのだ。朝一で起きて一番良い席を取りに行った。
予選が始まった。レオンハルト君は三番目の試合に出る。
どの試合もそれなりに白熱し盛り上がった。遂にレオンハルト君の出番だ。
大きな歓声が会場中に響き渡る。流石レオンハルト君、登場しただけでこれだ。相手の子は若干委縮してしまっている。相手が僕じゃなくてよかったと心底思った。
結果は当然レオンハルト君の圧勝だった。舞うように華麗な剣術に翻弄され手も足も出なかったようだ。
そのままレオンハルト君は順調に勝ち進み、遂に優勝した。予選一位だ。
盛大な拍手が会場を包み込んだ。カリスマ性まであるなんて、レオンハルト君は本当に人間なのだろうか?
実は天の使いなのだと言われれば、僕はきっと信じてしまうだろう。
それから二日後、B、Cグループの予選が終わり、僕たちDグループの番になった。
ちなみにBグループは皇子殿下の優勝だった。元々シード枠だから順位はあんまり関係ないらしいけど。Cグループはヨルハ君が優勝だった。レオンハルト君の周りにいる人たちってみんなハイスペックなんだよなあ。アレクサンドラは三位だったらしいし。
てっきりこっち側だと思っていたアレクサンドラは今やレオンハルト君の友達枠に収まっている。丁度彼らが仲良くなった頃からアレクサンドラの成績も上がり始めた。なんだかずるい。
そんな事を考えていると僕の番になっていた。対戦相手は…グレイ・ラ・アングバーニル!?
わざわざ隣国の学園に入学してきた悪童王子が相手…僕終わったな…。
悪童王子というのはアングバーニル王国第一王子の通り名で、有能なのに素行がすこぶる悪いことからつけられたんだとか。如何にも悪そうな出で立ちに恐怖心がムクムクと沸きあがってくる。整った容姿に均等に筋肉のついた身体が、威圧感を何割増しにもしている。
直感で悟った。僕は勝てない。
結果としてDグループは悪童王子の優勝だった。僕は負けたのだ。
ちなみに今日から中間テストがある。しかし十歳の頃に高等部の学習を終えていた俺に死角はない、今回も学年首位の座をほしいままにすることだろう。
問題はその後、六月上旬にあるトーナメント形式の模擬決闘大会だ。これはその名の通り模擬戦だが一対一で決闘をし、勝ち残った勝者にはトロフィーと賞状が贈られるというもので、成績にも関係してくる。
特殊なフィールドで行い、実際にケガを負うことはなく代わりに疲労が蓄積されていく。耐え切れなくなり倒れるか降参した方が負けで、魔法や武具なんかも使い放題の戦いだ。
大会は男女、学部別で行われる。俺達は総合学科なのでよりカオスになるだろう。人数も最も多い。
俺はここでグレイと戦う約束をした。つまりグレイに当たるまでは確実に勝ち続けなければならない。
もちろん、同学年とだけならばそこまで難しいことではないだろう。だがこの大会は全学年合同だ。流石に上級生は未知数である。
来る日へ向けて、俺は自主練に励むのだった。
テストの結果は予想通り俺がトップだった。三位にアレクがいて驚いたのは内緒だ。
ちなみにヨルハは二十六位でイヴァングは七位だった。グレイ?二位だったよ。
「なんか俺だけ順位一桁じゃないし、仲間はずれみたいでやだなあ。」
「勉強しないからだろ。」
「アレクが厳しい…レオン、慰めてくれー。」
「ヨルハも頑張ったと思うよ?次は僕が教えてあげるから十位以内に入れるように頑張ろうね。」
「レオン…!好きだー!!」
「ありがとう、僕も好きだよ。」
「じゃあ俺達両想いだな!」
相変わらずの冗談を飛ばすヨルハをニコニコとした顔で見る。元気なやつだ。
「そういや模擬決闘の予選グループって決まったか?俺とアレクはCグループだったんだけど。」
「僕はAグループ。イヴァはBだったっけ。」
「ああ、Bグループのシード枠だ。」
「流石は第二皇子!一年なのにシード枠とは。」
ヨルハ…嫌味なのか、それは。
「…。」
そしてイヴァングはいい加減こいつらと話せよ…何年一緒にいるんだ、シャイにも程があるだろ。
遂にこの日がやって来た。模擬決闘予選大会の日だ。
強制参加ではないが、成績に大きく関係するためほとんどの生徒が出場する。そのため結構な人数が集まっている。予選は数日に亘って行われ、Aグループは初日だ。
何故このような大会があるのかといえば、それはこの国が元々実力主義の騎士の国であり、近辺に魔物が出没することが主な理由だ。帝国の人間ならば強くあれ、と誰もが幼い頃から言われて育つ。
さて、できるだけ上位になれるよう善処しなければならない。俺は優等生なのである。
もちろんグレイとの約束もある。早々に退場するわけにはいかない。しかし俺は慢心こそしてはいないが心配もしていなかった。何故ならば予選は学年別で行われる。全学年合同なのは本戦のみだ。
友人達とも全員別のグループであるため遠慮もいらない。楽なものである。
結果として俺は予選第一位で通過した。俺って天才。
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何といってもこのAグループにはレオンハルト君が出るのだ。朝一で起きて一番良い席を取りに行った。
予選が始まった。レオンハルト君は三番目の試合に出る。
どの試合もそれなりに白熱し盛り上がった。遂にレオンハルト君の出番だ。
大きな歓声が会場中に響き渡る。流石レオンハルト君、登場しただけでこれだ。相手の子は若干委縮してしまっている。相手が僕じゃなくてよかったと心底思った。
結果は当然レオンハルト君の圧勝だった。舞うように華麗な剣術に翻弄され手も足も出なかったようだ。
そのままレオンハルト君は順調に勝ち進み、遂に優勝した。予選一位だ。
盛大な拍手が会場を包み込んだ。カリスマ性まであるなんて、レオンハルト君は本当に人間なのだろうか?
実は天の使いなのだと言われれば、僕はきっと信じてしまうだろう。
それから二日後、B、Cグループの予選が終わり、僕たちDグループの番になった。
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