人生イージーモードになるはずだった俺!!

抹茶ごはん

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第二章

「最近レオンが構ってくれないから暇なんだよー。」
そう文句を言っているのはヨルハだ。仕方ないだろう、代表に選ばれたんだ。できることは全てしなければ。
「ごめんね、これも三国親善大会が終わるまでの辛抱だから。」
「ちぇ。あーあ、つまんねえの。」
明らかに拗ねている。面倒だなコイツ…。
「そんなこと言わないで。本番になったら二人で応援しに来てよ。ヨルハ達がいてくれたら僕、きっともっと頑張れるから。」
甘えるような声音で笑いかける。なんで俺がヨルハのご機嫌取りなんてせにゃならんのだ。
「んんっ。仕方ない、大人しく待ってるとしますか。バッチリ応援してやるから安心しろよな!」
「ありがとう。」
嬉しいですオーラを前面に押し出した笑顔で礼を言う。この笑顔は二時間練習したとっておきなんだからな…。
「あ~もう可愛いなあレオン!」
感極まったヨルハが抱き着いてくる。気持ちは分からんでもないが女の子に抱き着いてほしかった…。
「わあっ。もう、ヨルハ?いきなり抱き着いてくるのやめてよ。アレクが呆れてるよ。」
「ヨルハ、ずるいぞ。」
「あっ、そっちなんだ。」
黙っていたアレクも抱き着いてくる。何なんだこの状況は。一つ言えるのはこんなところイヴァングに見られたら確実にキレられるという事だ。
それにしても俺が放課後いない間にヨルハとアレクはそこそこ仲良くなったらしい。良いことだ。
「…レオン、この状況はどういうことだ。」
あ。

結局イヴァングに、軽率に他の男に触れられるな抱き着かせるなと説教されてしまった。何故だ。
放課後、いつものように勉強会が開かれたのだが、一ついつもと違う事があった。
「今日、調理実習でクッキー作ったんです、みんなで食べませんかぁ?」
と、ベルテ先輩からのお誘いがあったのだ。ひゃっふう!女の子の手作りクッキーだ!
「いいですね。僕、紅茶淹れてきますよ。」
「私もいいですよ。甘いものは好きです。」
こうして穏やかなお茶会が始まったのだ。疲れた心が癒される…。
「紅茶もクッキーもとても美味しいです。二人とも上手ですね。」
「ありがとうございますぅ。頑張りましたから!」
「僕は慣れているので…先輩に褒めて頂けて嬉しいです。」
特にここ最近は毎日イヴァングに淹れてるからな。元々しこたま練習していたこともありメキメキ上達した。
「…皇子殿下の護衛で、ですか?」
「ええ。よくご存じですね。」
「これでも生徒会の会計ですから、そういった話は耳に入ってくるんですよ。大変ではありませんか?」
「まあそれなりに苦労はありますが、やりがいも感じているので大丈夫ですよ。」
「それなら良かった。何かあれば生徒会の方に相談してください。力になりますよ。」
「ありがとうございます。覚えておきますね。」
生徒会か…俺も来年から立候補するつもりだが、先輩が所属しているとは知らなかったな。
「そういえばレオン君ってあの皇子殿下ととっても仲が良いんだってね!普段どんな話するの?」
「どんなって、別に普通ですよ。今日学園で何をした、とか行事の話とか…国政とかの話もしますけど時々ですね。」
雑談しつつお茶をするのは中々楽しかった。美女が一緒だったのが大きいだろう、やはり女の子は最高だ!

それからしばらく経ち…ついに三国親善大会の日がやって来た。
この日のためにひたすら勉強しまくったんだ。絶対に勝つ!
代表選手用の制服に袖を通す。ミレクサン学園の制服は白を基調とした金の刺繍がまぶしいザ・貴族といったものだ。スーツのような構造をしているので俺には馴染み深い。
ナルハイト高等学校の代表選手用の制服は赤に金の刺繍、アングバル学院は黒に金の刺繍だ。分かりやすくていい。
開会式が始まり各校の代表が宣誓の言葉を述べる。最初は学術部門、つまり俺の出番だ。採点に時間がかかるため始めに行われるんだとか。
「それでは百五十分、始め!」
要はただのテストだ。余裕である。
各校の代表九人が一斉に書き始める。さて、とっとと終わらせるか!

百五十分…二時間半が経ち終了した。全問完璧に埋められた俺が優勝のはず、だ。
ちなみに個人戦なので先輩達と俺の問題は違う。学年ごとに出される問題が違うのだ。
そして次は剣術部門だ。ぞろぞろと観客が増え始める。ほとんどが男とはいえ忌々しいことだ。
学術部門は二時間半という短時間で終わったが剣術部門はそうはいかない。一戦一戦時間がかかる。
初戦は一年、つまりイヴァングの出番だ。控室兼観客席でグレイと共に観戦していた。
「相手はアイツか。」
「グレイ、知り合いなの?」
「アングバル学院のヤツはな。去年同じクラスだった。」
「ティターニア・ドレスデン、ね。強い?」
「まアな、それなりに。カタナって知ってるか?東洋の武具を使うんだぜ。」
「知ってる。楽しみだな。」
「もう一人は…」
「ナルハイト高等学校一年、クローシュ・ミステア。美人さんだね。」
「女か。殿下は手加減なんかする性質たちじゃねェな。」
「片手剣持ってるね。てことは二人ともスピードタイプか、両手剣のイヴァとは相性が悪いな。」
話していると試合開始のブザーが鳴った。相手校の二人が一斉にイヴァングに斬りかかる。どうやら先にイヴァングを倒す気のようだ。
「敵さんどっちも気が合うなア。」
「嫌になっちゃうな、もう。」
最前列まで行って声を張り上げる。この歓声の中届くかは分からないが…。
「イヴァ!!勝って!お願い!」
激しい剣戟の中、一瞬だがイヴァングがこちらを向きフッと不敵に笑った。思わずドキッとする。
いやドキッてなんだ。
そんなことを思っているとイヴァングが攻勢に出た。大きく剣を横なぎにし素早く距離を詰め、カタナを横から斬り飛ばす。怯んだところに追撃を叩き込み一気に戦闘不能まで追い込んだ。
背後から片手剣が迫る。しかしそんなことは予想していたのだろう、振り向きざまに一閃、そのままとんでもない速さで連撃を叩き込む。両手剣にしてはあり得ない速さで重い一撃が繰り出される。遂に受けきれなくなったらしく、片手剣が弾き飛び宙を舞う。
…イヴァングの勝ちだ。
大きな歓声が会場中を包み込む。イヴァングはこちらをしっかりと見据えもう一度不敵に笑った。
胸が高鳴るのを感じる。悔しいが…かっこいい。
そんな想いを隠すようにとびっきりの笑顔を向けてやった。

ミレクサン学園の控室にイヴァングが戻って来る。先輩たちは拍手で迎えた。
「クク、流石の殿下も人の子だな。好きなヤツの前では格好つけたいってかア?」
冗談混じりにグレイが話しかける。こいつも結構煽るよな。
「黙れ。」
イヴァングも愛想無さすぎだな。まあ無視しないだけいい方だが。
「さっすが、皇族一剣術の上手なイヴァング殿下。憧れちゃうなあ。」
これっぽっちも憧れを感じない声音で話しかけてきたのはリンドイルだ。俺、こいつ苦手なんだよな。
「…。」
で、でたー!イヴァングのガン無視!イヴァングは大抵の人間には用が無い限り無視を決め込む悪癖があるのだ。
「あれ無視?俺なんか話す価値も無いって?やっぱり正妻の子は違うなあ。」
デリケートな問題を…自虐の仕方がえげつないな。
「ねえレオン君、キミもそう思わない?」
俺がこいつを苦手なわけがこれだ。急にコメントし辛い話を振って来る。
「いえ、イヴァは大抵の人にこんな感じですよ。リンドイル殿下に価値が無いわけではありません。」
きちんと否定してフォローする。胃が痛いからこんなところで止めてくれ…。
「そ?レオン君は優しいな~。でも何があってもイヴァングの味方なんでしょ?ハハッ。」
怖っ。なんだこいつ。
「リンドイル殿下が悪い事をしなければ、ですが、俺はあなたの味方でもありますよ。」
これは事実だ。俺は国に使える身なのだから、皇族全員の味方である。
「ホント?嬉しいなあ、キミは俺を皇族だと思ってるんだねえ。ねえ聞いた?お前だけの味方じゃないんだって。」
イヴァングを煽るな!控室の空気を見ろ!みんな気まずげじゃねえか!
「…レオン、もうそいつと話すな。煩わしい。」
「イヴァ…。」
俺じゃなくてリンドイルを黙らせろよ!!
「だって。お喋りしてくれないの?レオン君。」
ほら!こういう事になる!
「……お喋りはまた今度にして、今はミレクサン先輩の試合を観戦しませんか?」
「そうだねえ。応援しなくちゃ、だもん。」
にこにこ笑って最前列に行くリンドイルにホッと息を吐く。もう嫌だ…。
「お前も大変だなア。」
肩をポンッと叩いてグレイが慰めてくる。そう思うなら助けろよ!!
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