人生イージーモードになるはずだった俺!!

抹茶ごはん

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終章

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帝国騎士に連行されたヨルハを見送った後、俺はフラフラと寮へ向かって歩いていた。
まさかこんな別れになるなんて誰が予想しただろう。ショックでふて寝したい。
ふと顔を上げると目の前に誰かが立っていた。アレクだ。
「…レオン、泣いてるのか。」
「ううん、もう泣き止んだよ。」
「そうか。」
アレクは静かに俺の横に並び立ち、黙って俺に歩を合わせついてくる。
何だか無性に泣きたくなった。何も聞いてこないアレクの、優しい表情のせいだろうか。
「アレク、キミは…キミだけは、僕の味方でいてくれる?」
脈絡の無い問いだった。しかしアレクは真剣な表情で俺の手を掴んだ。
「勿論。俺は、ずっとレオンの味方だ。たとえそれが許されなくても…俺だけは味方でいる。信じてくれ。」
その切実な声音が、揺るがない瞳が、俺に信じてほしいと語りかけてくる。
「…あり、がとう。約束だよ。」
小さく笑いかける。きっと今、俺は心から笑えている。
涙があふれでて止まらなかった。
俺が泣き止むまでの間、アレクはずっと傍にいてくれた。

寮に帰れば、そこにはいつも通りのイヴァングがいた。
泣いて赤くなった俺の顔を見て何を思ったのだろう。イヴァはそっと俺を抱きしめてくれた。
「大丈夫だ、俺がいる。裏切られた悲しみも、別れの辛さも、全て俺が受け止めよう。お前はただ、笑って前を向いているといい。ああ、そんな哀しそうな顔をしないでくれ、俺の天使。」
珍しく饒舌なイヴァングが俺の頬を撫でる。
俺は小さく頷いた。
「うん、大丈夫。僕は大丈夫だから。イヴァ、キミは僕が守るよ。」
臣下として、親友として、俺はいつだってイヴァの味方でいよう。
それが、俺の生きる道であり、使命なのだから。
「それならいい。俺の天使、お前は俺が守ってみせる。」

「よオ。待ってたぜ?」
翌日、傷心の俺をベッドから引きずりだしたのはグレイからの呼び出しの手紙だった。
「どうしたの?まさか喧嘩?」
笑ってジョークを飛ばせば、グレイは可笑しそうに笑って俺の手を引いた。
「似てるが違うな。告白だ。」
「え。」
「レオン、お前が好きだ。結婚を前提に付き合ってくれ。」
「………嘘、だろ…?」
「嘘でも冗談でもねェよ。」
珍しく真剣な表情でこちらを見つめてくる。…どうやら本気のようだ。
「僕は…イヴァのため、国のためにこの身を捧げる予定の人間だよ。それでも、いいの…?」
「構わねェ。全部考えた上で出した結論だ。王位継承権は捨てる。この国の人間になってお前のことを支えてやるよ。」
やめてほしい。今そんなカッコいいことを言われたら揺らいでしまう。この手を放したくなくなる。
「…クク、何も今すぐ返事しろとは言わねェよ。考えておいてくれ。それじゃ、また学園でな。」
言うだけ言って勝手に立ち去ってしまう。本当に勝手な男だ。

体育館裏、残された俺は一人空を仰いだ。
まだ一年も経っていないのにいろんなことがあった。俺の人生は、最初に夢想していたものよりも遥かに波乱万丈で大変なものになっていく。
それでも、俺の好きなこの世界の、この国のために、俺は今日も生きてゆく。


ー完ー








閲覧ありがとうございました。
初投稿で拙い部分も多々あったと思います。見逃した誤字脱字もあったかもしれません。
ですが皆様のおかげで完結まで書くことができました。読んで頂いて本当にありがとうございます。
本編はこれにて完結ですが、番外編等を書いていくつもりですので、どうかこれからもよろしくお願いいたします。
ここまで読んでくださっている方、よろしければ感想など書いてくださると嬉しいです。
また現在新しい作品を書いておりますので、そちらも読んで頂けると幸いです。

敬具
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