超絶美形な俺がBLゲームに転生した件

抹茶ごはん

文字の大きさ
9 / 12

生徒会長編3

しおりを挟む
それから一週間ほど、結局忙しい時期が終わるまで俺は手伝いを続けた。
先生や生徒会の面々には非常に感謝され、生徒会長からはお礼にとお茶に誘われていた。
「ってことでアダム、生徒会長とお茶することになったんだけど行ってもいい?」
婚約者がいる身で他の男と二人きりのお茶会なんて褒められたものではないだろう。俺はアダムに許可を取ってから返事を返すことにしていた。
「……構わない、が。俺も同席させてもらう。」
そうきたか。まあ妥当なところだろう、生徒会長も疚しい気持ちが無ければ了承してくれるはずだ。
「分かった。生徒会長にもそう伝えておくね。」
後日生徒会長にアダムも同席させてほしい旨を伝えれば快く了承された。

そしてお茶会の日、軽い昼食も出してもらい俺と生徒会長は楽しくお喋りをした。アダムは終始無言だった。
愛想ってもんが無いんだよなアダムは。そんなんだから第一王子派の連中に好き勝手陰口叩かれるんだぞ、全く。
「嗚呼、楽しい時間もそろそろ終わりですね。」
「そうですね、生徒会長。今日はお誘いいただきありがとうございました。」
「どういたしまして。今度また、良い茶葉が入った時はお誘いしますね。」
「本当ですか!それは嬉しいです。」
すっかり生徒会長とは茶飲み友達だ。もしかしたら有事の際のお手伝い係にしようとか企んでいるのかもしれないが、それはそれでいいだろう。
生徒会長の家の者に送ってもらい、二人で学園の寮に帰った。

「そう、距離はゆっくりと詰めなくては。いつか、二人でお茶会をしましょう。その時は…」
生徒会長の口から小さく呟かれた言葉は、誰の耳にも届かなかった。

寮の部屋に入ると、何故かアダムも一緒に入ってきた。
「あれ、どうしたのアダム。僕の部屋に忘れ物でもした?」
「…いや、少し話がある。」
「へえ、どうしたの?」
アダムから話なんて珍しい。ま、まさか今更になって原作通り婚約破棄なんて…ないよな?
「あの生徒会長には気を付けろ。お前はただでさえ人一倍綺麗で愛らしいんだ、何かあってからでは遅い。」
「…へっ!?」
綺麗?愛らしい?そ、そんなこと言われるなんて思ってなかった。思わず顔が赤くなってしまう…!
こんなにストレートに褒められたのは初めてじゃないだろうか。だ、ダメだ、俺としたことがアダムの言葉にこんなに心を乱されるなんて…!
「聞いているのか?どうしてここで赤くなるんだ。」
「だ、だってアダムが…!と、とにかく気を付けるよ、うん!」
やばいニヤけそうだ。ふふふ、こんな言われ慣れた陳腐な言葉でここまで幸せな気持ちになれるなんて夢にも思わなかった。
その日俺は、幸せな夢を見た。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

断罪されるはずの推し(悪役令息)を、俺が全力で幸せにしてみせます

月乃
BL
 前世の記憶が蘇った時、俺は熱中したBLゲームの世界だった。そのBLゲームには俺が熱中する理由となった推しが存在した。この世界では悪役令息として、理不尽に断罪される運命にある彼だった。  ゲームを何度やり直しても救えなかった彼の未来を変えるため、俺は決意する。剣術一筋だった俺が、推しのためなら学ぶ気のなかった魔術だって身につけて魔術学園へ入学する。  さあ行こうか、ゲームの舞台である魔術学園へ。  俺は彼の隣で、断罪されるはずの悪役令息を幸せにするため、ゲームの運命に全力で抗う!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。 フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。 前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。 声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。 気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――? 周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。 ※最終的に固定カプ

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

処理中です...