超絶美形な俺がBLゲームに転生した件

抹茶ごはん

文字の大きさ
10 / 12

先輩編

しおりを挟む

生徒会長とのお茶会から数日後、俺は王宮に来ていた。
第一王子生誕祭に出席するためだ。他でもない第一王子本人に誘われてしまっては行かないという選択肢は無いだろう。
パーティ用の煌びやかなスーツに身を包み、会場へと向かった。

「ミレクシア!来てくれたんだな、嬉しいよ!」
どこから見ていたのか、俺が会場入りした途端に第一王子が駆け寄ってきた。犬かな?
「アレン王子、お誕生日おめでとう!呼んでくれてありがとう、お祝いできてよかった。」
「はは、ありがとう。今年もミレクシアに祝ってもらえるなんて、俺は幸せだな。」
本当にな。アダムなんか俺が折角祝ってやっても、「ありがとう。」の一言で終わりだぞ?…まあ、嬉しそうに笑ってくれるから、別にいいけどな。
「じゃあアレンがもっと幸せになれるようにプレゼントを贈るね。自室に届いてると思うから楽しみにしてて?」
「本当か!ああ、パーティの後にも楽しみができたな!」
第一王子はまぶしいほど笑顔だ。感情表現がストレートで見てるとこっちまで嬉しくなってしまう。この素直さは美徳だな。
それから少し話をしたが、第一王子は本日の主役だけあって挨拶に来る人が多く俺は壁際の華となることにした。要は端の方に逃げたのだ。社交辞令は得意だが好きではない。
壁際のソファに腰かけソフトドリンクを飲む。ラズベリーのジュースだ。
そんな俺に近づいてくる影があった。
「ね、キミ学園で見たことあるんだけど、生徒だよね?すっごく綺麗な子だから印象に残っててさ。公爵位なんでしょ、俺と一緒だね。」
この声…そして金髪赤目にホストのようなこの容姿…まさかゲームの攻略対象の一人、先輩ポジションのキース・バレンタインか!?
キースの名前は聞いたことくらいある。公爵位にも関わらず許嫁もおらずフラフラ遊び歩いている問題児として有名だ。まさか攻略対象の一人だったとは…。
「はい、そうですよ。貴方はキース先輩…ですよね、こんにちは。」
「こんにちは。俺のこと知ってるみたいだね、有名だし俺。まあ有名度で言ったらキミも相当だけどね。氷の王子アダム・R・クリストフの婚約者、地上に舞い降りた麗しの天使様ってね。ミレクシアくん?」
お茶目なウインクと共に先輩は俺の隣に腰かけた。確かキースルートに入ると今まで遊んでばかりだったキースが突然遊ばなくなるらしいから、主人公はキースルートを選ばなかったんだな。
妹曰く先輩は、「今まで浮気性だったキースが主人公に対しては一途になって真実の愛を知る描写がたまらないの!」とのことだ。真実の愛が得られなくて残念だったな、先輩。
可哀想だから世間話くらいなら付き合ってやろう。婚約者がいる人間に手は出してこないだろう。
「大袈裟ですね、誰が言ってたんですか?もう。」
俺が綺麗なんて当然のことだろう。
「あはは。ね、どうして一人でこんなところに座ってるの?キミのフィアンセは?」
「アダムは来ないそうです。俺はちょっと疲れちゃって、休憩してるんです。」
「へえ、来ないんだ。俺ならこんなに美人な婚約者、放っておかないけどなー。誰かに盗られちゃったりしたら嫌だし。…例えば、俺とか。」
おっとナンパか?節操無しだな、こいつ。
「信用されてるんですよ、俺なら放ってても他の誰かに着いて行ったりしないって。だから先輩にも盗られたりしません。それに…俺は高いんですよ?」
「おっとこれは失礼。…でも俺、フィクションでよくある怪盗みたいに、高くてガードの堅いお宝ほど盗みたくなっちゃうんだよね。どう、今夜一緒に遊ばない?楽しい夢、見させてあげるよ。」
口説かれている…!たまに勘違いしたやつが身の程知らずにも美しいこの俺を自分の物にせんと口説いてくることがあったが、今世では一度も無かったからちょっと新鮮だ。
憐れみから世間話には付き合ってやったが、これはダメだ。今の俺はアダム一筋なのである。だいたいこんな奴と遊んで変な噂が立ってみろ、今度こそ婚約破棄だ。
「ふふ、すみません。ありがたいお誘いですが断らせてもらいますね。俺、婚約者がいるので。」
「そっか、残念!あーあ、こんな綺麗な子と一緒に遊べたら楽しかっただろうにな。まあ断られちゃったんなら仕方ない、他を当たるよ。…でも、気が変わったらいつでも言いに来てね?キミなら大歓迎!」
先輩はそう言って颯爽と去って行った。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

断罪されるはずの推し(悪役令息)を、俺が全力で幸せにしてみせます

月乃
BL
 前世の記憶が蘇った時、俺は熱中したBLゲームの世界だった。そのBLゲームには俺が熱中する理由となった推しが存在した。この世界では悪役令息として、理不尽に断罪される運命にある彼だった。  ゲームを何度やり直しても救えなかった彼の未来を変えるため、俺は決意する。剣術一筋だった俺が、推しのためなら学ぶ気のなかった魔術だって身につけて魔術学園へ入学する。  さあ行こうか、ゲームの舞台である魔術学園へ。  俺は彼の隣で、断罪されるはずの悪役令息を幸せにするため、ゲームの運命に全力で抗う!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。 フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。 前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。 声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。 気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――? 周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。 ※最終的に固定カプ

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

処理中です...