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第3章 異世界への一歩
第4話 世界平和会議 前編
しおりを挟むあれから日が経ち、世界平和会議の日だ。壮馬の待つ新東京空港へ向かう。
ちなみに俺が呼ばれた理由はXランクだからだ。
移動は『空中移動式魔力車』、通称『AMMC』だ。AMMCは大気中の魔力を動力源にしているので魔力が少なくても乗れる。
どうやら着いたようだ。
「おーい!和葉!」
「壮馬!」
久しぶりの再会に俺たちは喜び抱きしめ合う。
「久しぶりだな!」
「本当だよ。3年ぶりかな?」
「お前、忙しいからな。」
「君ほどではないよ。」
壮馬は黒髪に赤眼で長身イケメンである。
「では行こうか。待たせてるからね。」
見えたのは普通の一般飛行機と同じサイズのプライベートジェット機だ。
「相変わらずだな。さすが総理大臣。」
「『虚無の還元者』に褒められるとは恐縮だよ。」
出発したようだ。どうやら加速魔法を掛けてるようで進むのが3倍ほど早い。
どうでもいいが今の俺は黒髪銀眼に戻っている。本来は銀髪だけどあまり目立ちたくないしね。
予想に反してすぐ着いた。2時間くらいかな?
「酔ってないかい?」
「酔い止め飲んできたから大丈夫だ!」
「なら良かったよ。」
どうやら会議があるのは神従機関本部のようだ。
「こんにちは。本日はどのようなご要件で?」
「フリーデン・ズイッツイングです。」
「あ!もしかして、日本国代表ですか?」
「そうですよ。」
「そちらの方は付き人ですね?」
「あ、そうです。」
「かしこまりました。ではこちらへ。」
エレベーターに乗り着いたのは最上階の100階だ。
「ではこちらで改めて受付をお願いします。」
案内されたのは黒服の人の元だ。
「日本の総理大臣、ソウマ・タツシマです。」
「タツシマ様ですね、付き人の方は後ろで待機しててください。」
俺は付き人らしく黒服にサングラスを掛けている。
「ここから付き人の振りを頼むよ?」
「了解。」
ここからはただ黙っとけば大丈夫だろ。
「久しぶりだな。壮馬。」
「久しぶりだね、アスカ。」
アスカ・ナレイル。赤髪のロングで赤眼だ。騎士のような雰囲気のある女性だ。
「和葉はどうしたんだ?」
「どうしたんだろ?」
こいつとぼけてやがる。思わず笑いそうになった。
「おい、壮馬の付き人。付き人なら笑いそうになるのはダメだ。我々も同じ事だがここは遊びの場じゃない。」
「す、すみません。」
叱られちゃった。
「分かれば良いのだ。」
彼女は気難しい性格をしているが本当は良い奴なのだ。
「やぁやぁ、これはこれはアスカさん。」
誰だ?こいつ。
「久しいな、イギリスのファレル公爵家長男のシューズ。」
なんか、女たらしみたいだ。
「そろそろ僕との結婚を考えていただけましたか?」
ビンゴ!!
「だからお前とは結婚しない。」
「いい加減にしろよ?公爵家だぞ?Xランクだからと言って調子乗るなよ?」
「そこまでにしてください。」
見るに堪えないので止めることにした。命が危ないからな。
シューズってやつの。
「お前は誰だ!」
「壮馬様の付き人をしております、葛城と申します。」
「付き人ごときが!!」
手をあげようとした時、
「シューズ!!!!!」
「お、お父様!?」
「連れてきてほしいというから連れてきたがお前こそ調子乗りすぎだぞ?」
「ご、ごめんなさい。」
「すいませんでした、ソウマ殿。それにアスカ嬢。」
「こちらとしてはなんともなかったので大丈夫だ。」
「僕の方も大丈夫ですよ。」
「うむ、カツラギ殿もありがとう。」
「こちらは仕事を果たした迄です。」
「では失礼する。」
「ありがとう、カツラギ殿。」
「いえ、先程申し上げた通りでございます。」
どうやら揃ったようだ。
「これより、第14回世界平和会議を開くことをここに宣言する。」
彼は本部長、アレキサンダーである。
「出欠確認をする。・・・どうやら、Xランクはアスカと私とジュリアナしかいないようだな。せめて、和葉には来て欲しかったが。」
「最強戦力がいないのは厳しいですね・・・」
最強戦力とは照れるなぁ。
「今回の議題は異世界人の侵略についてだ。」
みんな真面目な目付きになる。
「奴らの戦力は魔族の時の10倍という。」
「降伏するのはどうでしょうか?」
それがいいだろう、そうだそうだ。という声が上がる。
「それは良くないです。」
そういったのは壮馬だ。
「しかしなぁ。」
ここで俺が手を挙げる。
「僭越ながら、『虚無の還元者』に任せるのはどうでしょうか?」
「そう簡単に言うな!彼は我々が声掛けても聞いてくれるかわからないのだ。もしかすると世界自体滅ぼしかねない。」
めちゃくちゃ言ってくれるな。壮馬に関しては笑いをこらえてるし。
色々な憶測が飛び交い、ついに俺は笑ってしまう。
「フフ、フハハハハ!!!」
「な、何がおかしいのだ!」
「壮馬、もういいよな?」
「ああ、いいよ。」
「ダリウス、神装武装。」
そして髪を元に戻し、仮面をかぶる。
「これでもダメか?」
「あ、あなたは!?」
「はじめましての方もいるかな?神従機関序列一位Xランク『虚無の還元者』こと、カズハ・シンゼンです。」
みんなの驚いた顔が見える。このために付き人の振りをしてたんだ。
「いやぁ、その驚く顔を見たかったんだ!」
自分でも思う、いい趣味してんなって。
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