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組織の調査1
記憶の喪失
レビンの部屋を出てから私は向かわなければならない場所があった。
早足になる私の隣をヒサメが普通の速度で歩んでいる。
足の長さの問題だが今はどうでもいい。
「どこへ向かうつもりだ、リビ殿。あまり、学校内をうろつくことはできないぞ。」
確かに、私たちは学校関係者でないのであまり歩き回ることはできないだろう。
でも、どうしても会わなければならない。
「ヒカルさんに話をきかなければいけないんです。」
「ああ、ユニコーンと共にいた女性か?確か、キミと同じ世界から来た者だったか。」
先ほどのレビンと私の会話で察してくれたのだろう。
「はい、彼女は私と同じ時期にこちらの世界に来た者です。私とは違い光魔法を持っています。将来は聖女になるらしいです。」
「なるほど、同じ時期に来たのにも関わらず異なる面が多々ある者ということか。」
そんな話をしながら私とヒサメは空中庭園に来た。
レビンの言ってたようにそこには、道端ではなかなかみかけない植物が植えられている。
それにファンタジー感満載の生物がちらほら見える。
様々な種族と会っておいてなんだが、やはり物語に出てくるような魔獣を見ると気分が高揚する。
その奥に大理石のような椅子とテーブルがあり、ヒカルはそこで本を読んでいた。
「ヒカルさん」
そう声を掛けるとヒカルは顔をあげて、それから立ち上がる。
その表情はなんだか暗く、どこか壊れそうなそんな雰囲気で私は戸惑った。
「リビさん、太陽に国にいつ戻ったんですか。いつもいないから、私、どうやったら会えるかなって思ってて」
ゆっくりとこちらに来るヒカルはどこか様子がおかしくて、そうしてヒカルは私の服の裾を力なく掴んだ。
まるで、迷子にならないように母親の手を掴むかのように。
「リビさん、どうしよう、私、記憶が消えていっているんです。もう、お母さんの顔も、お父さんの顔も思い出せないの!!」
小さな子供のように泣き出したヒカルを私は思わず抱きしめていた。
周りにいた生徒はその光景に驚いて近寄ろうとするが、ヒサメがそれを制すると誰も動けない。
「元居た世界の記憶が、どんどん無くなってるんです、友達のことも、自分がどんな風に生活をしていたのかも、思い出せなくなって。日本語すら、あやふやになってる。これって、どうしたらいいんですか。誰にも言えないの、誰も分かってくれない。」
泣きじゃくるヒカルの頭を撫でながら、私は両親の顔を思い浮かべる。
まだ、思い出せる。
ほっとしつつも、ヒカルの様子にそんなことを思うことが申し訳なくなる。
「ヒカルさん、いつから記憶が無くなってきているんですか?」
「はじめに気づいたのは、半年ほど前です。今まで日本語を話していたはずなのに、いつの間にかこの世界の言語で会話していることに気づきました。日本語を話そうとしてみたのに、どんな言葉があったのか出てこなくて。」
私はそんなことを言われて日本語で話しかけてみた。
「《ヒカルさん、日本での生活を思い出せますか》」
「・・・名前を呼ばれているのは分かります。だけど、なんだか知らない言葉が並んでいるみたいな、そんな感じがします。母国語を忘れるなんて、そんなのおかしいですよね。」
私もこの世界に来て、自分の名前を思い出すことが出来ない。
それはルリビを食べているせいだと言われていたが、どうやら違うようだ。
致死の毒であるルリビをヒカルが食べることはできない。
だとしたら、記憶を失うのは別の理由があるはず。
私は後ろに立っているヒサメに声をかける。
「ヒサメ様、以前別世界の話をしたとき、光魔法を持つ者は重宝されるから文献もあると言ってましたよね。内容は覚えていますか。」
「ああ、全てではないがな。〈別世界から来た光魔法の人間は心の美しい者が多く、その魔力の高さゆえに神官や聖女になることが多い。彼らは他者を慈しみ、それを癒すことに長けている。しかし、己の苦悩を理解されることはなく、彼らを癒すことが出来るのは神だけである。神への祈りを捧げ続けることが、彼らの悩みを解決する最短の方法なのだろう。〉これは、その文献で有名な部分だ。記憶が消えているというのは聞いたことがないが、もしかすると、わざと記載されていないのかもしれない。」
ヒサメの言葉にヒカルが顔をあげる。
「どういう、意味ですか。」
「この文献は大きな国ならばおそらく持っているはずだ。神官や聖女はその大きな国で守られることが多い。つまり、別世界から来た神官や聖女の目に触れても問題のない内容しか書いていない可能性がある。記憶が消えるなんて書いてあれば不安を煽ることにもなる。己の苦悩を理解されない、とぼかしているがそれが記憶に関することかもしれない。」
「そんな・・・。」
ヒカルは絶望した表情で、私を見上げる。
「この世界に来たら記憶が消えてしまうということなのでしょうか。リビさんも名前を思い出せないんですよね?他の記憶はどうですか、日本語で思い出せないことは?家族は?友達は?」
「私は、名前を思い出せないこと、以外は・・・。」
「私とリビさんは同じ時期にこの世界に来たはずです!!私とリビさんの何が違うの!?どうして私は、両親の顔すら思い出せないの?何がだめなの、怖いの、このまま私、全て忘れちゃうの?」
ヒカルを抱きしめたままの私は何も答えられなかった。
記憶を失う原因が何なのか分からない今、かける言葉が見つけられなかった。
早足になる私の隣をヒサメが普通の速度で歩んでいる。
足の長さの問題だが今はどうでもいい。
「どこへ向かうつもりだ、リビ殿。あまり、学校内をうろつくことはできないぞ。」
確かに、私たちは学校関係者でないのであまり歩き回ることはできないだろう。
でも、どうしても会わなければならない。
「ヒカルさんに話をきかなければいけないんです。」
「ああ、ユニコーンと共にいた女性か?確か、キミと同じ世界から来た者だったか。」
先ほどのレビンと私の会話で察してくれたのだろう。
「はい、彼女は私と同じ時期にこちらの世界に来た者です。私とは違い光魔法を持っています。将来は聖女になるらしいです。」
「なるほど、同じ時期に来たのにも関わらず異なる面が多々ある者ということか。」
そんな話をしながら私とヒサメは空中庭園に来た。
レビンの言ってたようにそこには、道端ではなかなかみかけない植物が植えられている。
それにファンタジー感満載の生物がちらほら見える。
様々な種族と会っておいてなんだが、やはり物語に出てくるような魔獣を見ると気分が高揚する。
その奥に大理石のような椅子とテーブルがあり、ヒカルはそこで本を読んでいた。
「ヒカルさん」
そう声を掛けるとヒカルは顔をあげて、それから立ち上がる。
その表情はなんだか暗く、どこか壊れそうなそんな雰囲気で私は戸惑った。
「リビさん、太陽に国にいつ戻ったんですか。いつもいないから、私、どうやったら会えるかなって思ってて」
ゆっくりとこちらに来るヒカルはどこか様子がおかしくて、そうしてヒカルは私の服の裾を力なく掴んだ。
まるで、迷子にならないように母親の手を掴むかのように。
「リビさん、どうしよう、私、記憶が消えていっているんです。もう、お母さんの顔も、お父さんの顔も思い出せないの!!」
小さな子供のように泣き出したヒカルを私は思わず抱きしめていた。
周りにいた生徒はその光景に驚いて近寄ろうとするが、ヒサメがそれを制すると誰も動けない。
「元居た世界の記憶が、どんどん無くなってるんです、友達のことも、自分がどんな風に生活をしていたのかも、思い出せなくなって。日本語すら、あやふやになってる。これって、どうしたらいいんですか。誰にも言えないの、誰も分かってくれない。」
泣きじゃくるヒカルの頭を撫でながら、私は両親の顔を思い浮かべる。
まだ、思い出せる。
ほっとしつつも、ヒカルの様子にそんなことを思うことが申し訳なくなる。
「ヒカルさん、いつから記憶が無くなってきているんですか?」
「はじめに気づいたのは、半年ほど前です。今まで日本語を話していたはずなのに、いつの間にかこの世界の言語で会話していることに気づきました。日本語を話そうとしてみたのに、どんな言葉があったのか出てこなくて。」
私はそんなことを言われて日本語で話しかけてみた。
「《ヒカルさん、日本での生活を思い出せますか》」
「・・・名前を呼ばれているのは分かります。だけど、なんだか知らない言葉が並んでいるみたいな、そんな感じがします。母国語を忘れるなんて、そんなのおかしいですよね。」
私もこの世界に来て、自分の名前を思い出すことが出来ない。
それはルリビを食べているせいだと言われていたが、どうやら違うようだ。
致死の毒であるルリビをヒカルが食べることはできない。
だとしたら、記憶を失うのは別の理由があるはず。
私は後ろに立っているヒサメに声をかける。
「ヒサメ様、以前別世界の話をしたとき、光魔法を持つ者は重宝されるから文献もあると言ってましたよね。内容は覚えていますか。」
「ああ、全てではないがな。〈別世界から来た光魔法の人間は心の美しい者が多く、その魔力の高さゆえに神官や聖女になることが多い。彼らは他者を慈しみ、それを癒すことに長けている。しかし、己の苦悩を理解されることはなく、彼らを癒すことが出来るのは神だけである。神への祈りを捧げ続けることが、彼らの悩みを解決する最短の方法なのだろう。〉これは、その文献で有名な部分だ。記憶が消えているというのは聞いたことがないが、もしかすると、わざと記載されていないのかもしれない。」
ヒサメの言葉にヒカルが顔をあげる。
「どういう、意味ですか。」
「この文献は大きな国ならばおそらく持っているはずだ。神官や聖女はその大きな国で守られることが多い。つまり、別世界から来た神官や聖女の目に触れても問題のない内容しか書いていない可能性がある。記憶が消えるなんて書いてあれば不安を煽ることにもなる。己の苦悩を理解されない、とぼかしているがそれが記憶に関することかもしれない。」
「そんな・・・。」
ヒカルは絶望した表情で、私を見上げる。
「この世界に来たら記憶が消えてしまうということなのでしょうか。リビさんも名前を思い出せないんですよね?他の記憶はどうですか、日本語で思い出せないことは?家族は?友達は?」
「私は、名前を思い出せないこと、以外は・・・。」
「私とリビさんは同じ時期にこの世界に来たはずです!!私とリビさんの何が違うの!?どうして私は、両親の顔すら思い出せないの?何がだめなの、怖いの、このまま私、全て忘れちゃうの?」
ヒカルを抱きしめたままの私は何も答えられなかった。
記憶を失う原因が何なのか分からない今、かける言葉が見つけられなかった。
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