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組織の調査1
夜明けの国
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私は黒羽鳥に乗り、ヒサメが走ること約1日。
到着したのは闇の神官様が働く〈夜明けの国〉だ。
国とは言うもののこの中で生活している人は神官様や、その仕事を補助する人のみらしい。
私たちは夜明けの国に唯一ある建物に向かって歩いていた。
「そういえば、光と闇とでは神官様が大きく違うと言っていましたが、何が違うんですか」
「採用方法だな。光魔法の強い者はスカウトされることが多い。心が美しい者が多いため、光魔法を有してるだけで候補になる。反対に闇魔法は自ら神官へ立候補する。条件が合えば神官としての修業を受けることができ、晴れて神官になれる。」
「全然違うんですね。フブキさんも光魔法が強ければ神官になっていたのでしょうか」
そんなことを言ってしまったのでヒサメの尻尾が揺れて私にバシバシ当たる。
「当然だろう、フブキの心は美しい。いや、心だけではない。銀の毛並みも、黄金の瞳も、佇まいも全て美しい。」
「そうですねー、美しいですねー」
棒読みで返すとヒサメは、ただ、と続けた。
「光の神官の職に就いたら最後、基本辞めることは許されない。」
「え、そうなんですか」
「光の神に仕える神官様や聖女様というのは、とても神聖視される職なのだ。その魔法は外傷や病をも治すことができるが、とても人数が少ないため大切に守られている。自由に魔法を使うことも許されていないだろうな。外部との接触が許されていないのも、神官様が奪われてしまうことを懸念しているわけだ。」
加護が欲しい国はたくさんあるだろう。
神官様や聖女様が自分の国にいれば、加護を受けることができて魔力を上げることが出来る。
こんなことは言いたくないが、闇魔法の者を長く滞在させない仕組みも作れる。
「そんなに少ないんですね、光魔法って」
「この世界で最も多いのは自然魔法だ。火・水・風・土・雷のことだな。その次に闇魔法、そして光魔法となる。光魔法は確かに少ないが、よくよく考えれば、闇魔法の人間が一番希少かもしれないな。オレはリビ殿以外の闇魔法の人間を見たことがない。」
「処刑されたりして数が減ったからじゃないですか?それに、今でも迫害されているから、闇魔法を名乗ることが出来ないだけなのでは。」
そんなことを言えば、ヒサメは自分の瞳を指さした。
「資格がないだけで鑑定できる話はしただろう?オレはそれなりに国を移動してたくさんの人々に会っているが、今まで闇魔法を持っている人間はいなかったんだ。」
「それ便利ですね。その能力があれば、ドクヘビを探しやすいかもしれないですね」
「鑑定士の勉強をするか?シグレが使っていた参考書が国にあるはずだ。」
たしか、魔力の特徴を覚える記憶力問題だったか。
闇魔法か否かだけ分かればいいから、全部覚えるのは勘弁してもらいたいな。
そんな考えが顔に出ていたのか、ヒサメが意地悪い笑みを見せる。
「資格を持っていたほうが、相手の闇魔法を指摘して追及できるぞ。資格なしなら口に出すことは法に違反するからな。」
「分かってますけど、自信ないです。ヒサメ様は鑑定士の資格取らないんですか?」
「取らないな。資格がない方が有利なこともある。相手の魔力が見えても白を切れるし、鑑定士登録に名前が載ることもない。それに、シグレが持っている。オレが取る必要がない。」
それ、シグレさんに言ってあげて。
シグレが言ってたよりもヒサメは結構シグレのことを信頼していると思う。
「勉強するならシグレに特訓してもらえ。すぐに上達するはずだ」
上達するまで終わらないという意味だよね。
そんな言葉を飲み込んで、私は大きな建物を見上げた。
「鑑定士の話は持ち帰って検討します。ここから、入れるんですよね?」
私達の眼の前にあるのは大きな教会らしき建物だ。
ステンドグラスの大きな窓がついており、外壁は青みがかった石レンガで出来ている。
すると、ヒサメは迷うことなく扉を押した。
「呼び鈴とかないんですか?開けても大丈夫なんです?」
慌てる私をよそにヒサメが普通に入って行くので後ろをついていくしかない。
「受付は中にあるから入っても問題ない。それにこの国には加護がない。基本的に用事があれば出入りできる場所なんだ。」
「光の神殿と違いすぎませんか?あっちは厳重で私たちは一歩も入れなかったのに。」
「治癒の魔法が使える光魔法は貴重だ。それゆえに警備や加護が強化されるのは当然といえる。ここ夜明けの国は基本的に神官の住居であったり修行の場として使われている。それゆえに、加護によって強化される環境であってはならない。いや、むしろその加護すら邪魔だろう」
光の神殿は強い光の加護で守られている。
反対に闇の神殿は加護が邪魔になる?
「それって、闇魔法が負の感情によって魔力上昇が見込めることと関係あります?」
「ご明察。ただでさえ、闇の魔力の仕組みは強化がしやすい。加護があることで暴走を助長することにもなりかねない。それに、光の神殿とは違ってそもそもこの国を加護で守る必要がない。」
「奪われる危険性がないってことでしょうか。でも、加護を施せる神官様を誘拐して、自分の国に加護が欲しいと考える人もいるのでは。」
加護があることによって、その国に住まう人々の魔法はもっと力を発揮することができる。
そんな便利な加護ならば、どの国もして欲しいと思うものだろう。
「闇魔法を持つ国や一族はそう多くない。それに闇の神官は自ら望んでなれる職だ。自分の国に加護が欲しければ、自ら神官になればいい。条件を満たせればの話だが。」
話しているうちに受付へと到着し、ヒサメは受付人に話しかけた。
到着したのは闇の神官様が働く〈夜明けの国〉だ。
国とは言うもののこの中で生活している人は神官様や、その仕事を補助する人のみらしい。
私たちは夜明けの国に唯一ある建物に向かって歩いていた。
「そういえば、光と闇とでは神官様が大きく違うと言っていましたが、何が違うんですか」
「採用方法だな。光魔法の強い者はスカウトされることが多い。心が美しい者が多いため、光魔法を有してるだけで候補になる。反対に闇魔法は自ら神官へ立候補する。条件が合えば神官としての修業を受けることができ、晴れて神官になれる。」
「全然違うんですね。フブキさんも光魔法が強ければ神官になっていたのでしょうか」
そんなことを言ってしまったのでヒサメの尻尾が揺れて私にバシバシ当たる。
「当然だろう、フブキの心は美しい。いや、心だけではない。銀の毛並みも、黄金の瞳も、佇まいも全て美しい。」
「そうですねー、美しいですねー」
棒読みで返すとヒサメは、ただ、と続けた。
「光の神官の職に就いたら最後、基本辞めることは許されない。」
「え、そうなんですか」
「光の神に仕える神官様や聖女様というのは、とても神聖視される職なのだ。その魔法は外傷や病をも治すことができるが、とても人数が少ないため大切に守られている。自由に魔法を使うことも許されていないだろうな。外部との接触が許されていないのも、神官様が奪われてしまうことを懸念しているわけだ。」
加護が欲しい国はたくさんあるだろう。
神官様や聖女様が自分の国にいれば、加護を受けることができて魔力を上げることが出来る。
こんなことは言いたくないが、闇魔法の者を長く滞在させない仕組みも作れる。
「そんなに少ないんですね、光魔法って」
「この世界で最も多いのは自然魔法だ。火・水・風・土・雷のことだな。その次に闇魔法、そして光魔法となる。光魔法は確かに少ないが、よくよく考えれば、闇魔法の人間が一番希少かもしれないな。オレはリビ殿以外の闇魔法の人間を見たことがない。」
「処刑されたりして数が減ったからじゃないですか?それに、今でも迫害されているから、闇魔法を名乗ることが出来ないだけなのでは。」
そんなことを言えば、ヒサメは自分の瞳を指さした。
「資格がないだけで鑑定できる話はしただろう?オレはそれなりに国を移動してたくさんの人々に会っているが、今まで闇魔法を持っている人間はいなかったんだ。」
「それ便利ですね。その能力があれば、ドクヘビを探しやすいかもしれないですね」
「鑑定士の勉強をするか?シグレが使っていた参考書が国にあるはずだ。」
たしか、魔力の特徴を覚える記憶力問題だったか。
闇魔法か否かだけ分かればいいから、全部覚えるのは勘弁してもらいたいな。
そんな考えが顔に出ていたのか、ヒサメが意地悪い笑みを見せる。
「資格を持っていたほうが、相手の闇魔法を指摘して追及できるぞ。資格なしなら口に出すことは法に違反するからな。」
「分かってますけど、自信ないです。ヒサメ様は鑑定士の資格取らないんですか?」
「取らないな。資格がない方が有利なこともある。相手の魔力が見えても白を切れるし、鑑定士登録に名前が載ることもない。それに、シグレが持っている。オレが取る必要がない。」
それ、シグレさんに言ってあげて。
シグレが言ってたよりもヒサメは結構シグレのことを信頼していると思う。
「勉強するならシグレに特訓してもらえ。すぐに上達するはずだ」
上達するまで終わらないという意味だよね。
そんな言葉を飲み込んで、私は大きな建物を見上げた。
「鑑定士の話は持ち帰って検討します。ここから、入れるんですよね?」
私達の眼の前にあるのは大きな教会らしき建物だ。
ステンドグラスの大きな窓がついており、外壁は青みがかった石レンガで出来ている。
すると、ヒサメは迷うことなく扉を押した。
「呼び鈴とかないんですか?開けても大丈夫なんです?」
慌てる私をよそにヒサメが普通に入って行くので後ろをついていくしかない。
「受付は中にあるから入っても問題ない。それにこの国には加護がない。基本的に用事があれば出入りできる場所なんだ。」
「光の神殿と違いすぎませんか?あっちは厳重で私たちは一歩も入れなかったのに。」
「治癒の魔法が使える光魔法は貴重だ。それゆえに警備や加護が強化されるのは当然といえる。ここ夜明けの国は基本的に神官の住居であったり修行の場として使われている。それゆえに、加護によって強化される環境であってはならない。いや、むしろその加護すら邪魔だろう」
光の神殿は強い光の加護で守られている。
反対に闇の神殿は加護が邪魔になる?
「それって、闇魔法が負の感情によって魔力上昇が見込めることと関係あります?」
「ご明察。ただでさえ、闇の魔力の仕組みは強化がしやすい。加護があることで暴走を助長することにもなりかねない。それに、光の神殿とは違ってそもそもこの国を加護で守る必要がない。」
「奪われる危険性がないってことでしょうか。でも、加護を施せる神官様を誘拐して、自分の国に加護が欲しいと考える人もいるのでは。」
加護があることによって、その国に住まう人々の魔法はもっと力を発揮することができる。
そんな便利な加護ならば、どの国もして欲しいと思うものだろう。
「闇魔法を持つ国や一族はそう多くない。それに闇の神官は自ら望んでなれる職だ。自分の国に加護が欲しければ、自ら神官になればいい。条件を満たせればの話だが。」
話しているうちに受付へと到着し、ヒサメは受付人に話しかけた。
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