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真実の追究1
太陽の国王
作られた制度や決まりが、なんのために存在するのか。
一番はじめの思いなど忘れ去られてしまう。
だが、国王だけはそうではなかった。
「人数が多く、はるか昔から住んでいた自然魔法の人間を優先した。それが一番丸く収まるのだと自分に言い聞かせていました。先々代も、先代も、私も、それが最良だと思い込むことにしたのです。」
太陽の国は色んな国から人が集まってくる。
それでもやはり、自然魔法の人間の人口が一番多いのは元々の住処にしていた場所だったからだ。
昔はそれこそ、人間もエルフも獣人も人魚も、あらゆる種族はそれぞれの場所で生きていた。
そうしなければならなかった。
争いや諍いを防ぐのに手っ取り早いのは、住む場所を分けることだから。
今の時代、それが緩和されているように思えたが、そう簡単な話ではなかったらしい。
差別禁止のこの国も、何も変わってはいなかったのだ。
「リビさん、貴女は国が情報を操作していると言いましたね。ですが、操作するまでもないんです。人々の思い込みによって私ですら知らない情報が飛び交い、誇張され、尾ひれがついて、そうかと思えば重要な部分がぽっかりと抜けている。まさに今、噂が暴走しているのと同じようにそれが繰り返されているんです。」
国王は目を閉じ、そうして俯いた。
「悪魔の儀式の話は先代から聞かされていました。しかし、その当時もあらゆる噂やデマによって調べることは困難でした。不審死が相次ぎ、その加害者も死んでいく。国民がパニックに陥らないようにするためには、おおごとにするわけにはいかなかった。水面下で調査を行っても尻尾を掴むことも出来ず、ただ時間だけは過ぎていく。勿論、闇魔法の可能性を思いつかないはずはなかったですが、それは別の火種を生むことになると公に出来なかった。」
国王は深呼吸をしたのち、顔を上げる。
「今また起き始めているこの混乱の原因が、悪魔の儀式の件と関連があるのですね?」
「はい。私たちは太陽の国で起こった不審死も、悪魔の儀式も、今回のグウル国王殺人未遂も、すべて同一の犯人によるものだと考えています。」
私は国王に組織について話すことにした。
今なら、全てを聞いてくれると思ったからだ。
悪魔の儀式。
そのために魔力の高い者が狙われ、その家族の命を奪われた可能性があること。
ドラゴン殺し。
特別製のナイフで刺し殺し、その血を毒として使用していること。
人を操る闇魔法。
それによってグウル国王も操られ、毒を飲んで自害させられそうになったこと。
「その組織は強い魔力を持っています。どのような条件で操られるのかは分かっていませんが、接触を避けるのが一番だと思います。闇魔法の人間を、この国に入れないようにしてください。」
「よろしいのですか?そんなことをすれば、貴女も。」
「国王が現状を理解して下さっている今だから、そうするんです。おそらく組織も、それを見越してこの噂を流している。闇魔法の人間の居場所がなくなれば、お互いに探しやすくなるはずです。」
相手も闇魔法の人間であれば、の話だ。
悪魔の儀式の魔法陣が英語で書かれていたことでそう判断してしまっている。
だが、たとえ相手が人間ではなくとも私が邪魔なのは変わらない。
絶対に私を殺しに来る。
それならなおさら、どこかの国に迷惑がかからない場所にいなければならない。
「国に入る者は、魔法がかけられていないか鑑定してから入れるようにしてください。商人もすべてチェックしておいた方がいいです。闇魔法の人間は全面立ち入りを禁止で。」
別世界から新たに人が来ている場合は困るが、そんなに頻繁に人が現れている様子はないので、とりあえずは保留だ。
人物を特定できない以上、大きな枠組みで取り締まるしかない。
それでしか判断できないのであれば、それは差別ではなく適切な対処になるだろう。
「それから、様々な憶測で失礼なことを申し上げました。申し訳ありませんでした。そして、真実を話してくださりありがとうございます。」
私は国王に頭を下げ、そうして王の間を出ようとした。
「先々代は私と違い、迷いの森に入って騎士を探していました。」
私とソラが振り返ると、国王は椅子から立ち上がりこちらに歩いてきている。
「しかし、処刑撤廃を認めさせるのに時間がかかり、それから迷いの森を何度探しても見つからなかったらしいのです。」
国王は私の目の前まで来て、それから私の手を取った。
「その騎士を貴女が見つけてくれた。あの時は驚きのあまりお礼を言うことが出来ず申し訳ありませんでした。先々代の心残りであった彼を連れてきてくれてありがとう。」
皺の多いその手は温かい。
私はその手を握り返し、頷いた。
「国民には先程話したことを伝えようと思います。警戒すべきなのは、悪事を働く者であって、闇魔法の人間ではないと理解してもらいます。」
「はい、お願い致します。」
ソラも国王の手を握り、ぎゅっとする。
「ソラさんも、リビさんもどうかお気をつけて。」
国王と騎士に見送られ私とソラは王の間を出た。
すると後ろから走ってくる足音が聞こえてくる。
振り返るとそこにはヒカルがいた。
一番はじめの思いなど忘れ去られてしまう。
だが、国王だけはそうではなかった。
「人数が多く、はるか昔から住んでいた自然魔法の人間を優先した。それが一番丸く収まるのだと自分に言い聞かせていました。先々代も、先代も、私も、それが最良だと思い込むことにしたのです。」
太陽の国は色んな国から人が集まってくる。
それでもやはり、自然魔法の人間の人口が一番多いのは元々の住処にしていた場所だったからだ。
昔はそれこそ、人間もエルフも獣人も人魚も、あらゆる種族はそれぞれの場所で生きていた。
そうしなければならなかった。
争いや諍いを防ぐのに手っ取り早いのは、住む場所を分けることだから。
今の時代、それが緩和されているように思えたが、そう簡単な話ではなかったらしい。
差別禁止のこの国も、何も変わってはいなかったのだ。
「リビさん、貴女は国が情報を操作していると言いましたね。ですが、操作するまでもないんです。人々の思い込みによって私ですら知らない情報が飛び交い、誇張され、尾ひれがついて、そうかと思えば重要な部分がぽっかりと抜けている。まさに今、噂が暴走しているのと同じようにそれが繰り返されているんです。」
国王は目を閉じ、そうして俯いた。
「悪魔の儀式の話は先代から聞かされていました。しかし、その当時もあらゆる噂やデマによって調べることは困難でした。不審死が相次ぎ、その加害者も死んでいく。国民がパニックに陥らないようにするためには、おおごとにするわけにはいかなかった。水面下で調査を行っても尻尾を掴むことも出来ず、ただ時間だけは過ぎていく。勿論、闇魔法の可能性を思いつかないはずはなかったですが、それは別の火種を生むことになると公に出来なかった。」
国王は深呼吸をしたのち、顔を上げる。
「今また起き始めているこの混乱の原因が、悪魔の儀式の件と関連があるのですね?」
「はい。私たちは太陽の国で起こった不審死も、悪魔の儀式も、今回のグウル国王殺人未遂も、すべて同一の犯人によるものだと考えています。」
私は国王に組織について話すことにした。
今なら、全てを聞いてくれると思ったからだ。
悪魔の儀式。
そのために魔力の高い者が狙われ、その家族の命を奪われた可能性があること。
ドラゴン殺し。
特別製のナイフで刺し殺し、その血を毒として使用していること。
人を操る闇魔法。
それによってグウル国王も操られ、毒を飲んで自害させられそうになったこと。
「その組織は強い魔力を持っています。どのような条件で操られるのかは分かっていませんが、接触を避けるのが一番だと思います。闇魔法の人間を、この国に入れないようにしてください。」
「よろしいのですか?そんなことをすれば、貴女も。」
「国王が現状を理解して下さっている今だから、そうするんです。おそらく組織も、それを見越してこの噂を流している。闇魔法の人間の居場所がなくなれば、お互いに探しやすくなるはずです。」
相手も闇魔法の人間であれば、の話だ。
悪魔の儀式の魔法陣が英語で書かれていたことでそう判断してしまっている。
だが、たとえ相手が人間ではなくとも私が邪魔なのは変わらない。
絶対に私を殺しに来る。
それならなおさら、どこかの国に迷惑がかからない場所にいなければならない。
「国に入る者は、魔法がかけられていないか鑑定してから入れるようにしてください。商人もすべてチェックしておいた方がいいです。闇魔法の人間は全面立ち入りを禁止で。」
別世界から新たに人が来ている場合は困るが、そんなに頻繁に人が現れている様子はないので、とりあえずは保留だ。
人物を特定できない以上、大きな枠組みで取り締まるしかない。
それでしか判断できないのであれば、それは差別ではなく適切な対処になるだろう。
「それから、様々な憶測で失礼なことを申し上げました。申し訳ありませんでした。そして、真実を話してくださりありがとうございます。」
私は国王に頭を下げ、そうして王の間を出ようとした。
「先々代は私と違い、迷いの森に入って騎士を探していました。」
私とソラが振り返ると、国王は椅子から立ち上がりこちらに歩いてきている。
「しかし、処刑撤廃を認めさせるのに時間がかかり、それから迷いの森を何度探しても見つからなかったらしいのです。」
国王は私の目の前まで来て、それから私の手を取った。
「その騎士を貴女が見つけてくれた。あの時は驚きのあまりお礼を言うことが出来ず申し訳ありませんでした。先々代の心残りであった彼を連れてきてくれてありがとう。」
皺の多いその手は温かい。
私はその手を握り返し、頷いた。
「国民には先程話したことを伝えようと思います。警戒すべきなのは、悪事を働く者であって、闇魔法の人間ではないと理解してもらいます。」
「はい、お願い致します。」
ソラも国王の手を握り、ぎゅっとする。
「ソラさんも、リビさんもどうかお気をつけて。」
国王と騎士に見送られ私とソラは王の間を出た。
すると後ろから走ってくる足音が聞こえてくる。
振り返るとそこにはヒカルがいた。
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