2 / 10
検証・その1【かぐや姫のおねだり戦法】
しおりを挟む
選択肢・有 優先行動・我儘 行動方針・妨害
▽「私、ウィル様のもとにはまいれません」
▽まぶたを少し閉じ、目を細め、悲壮感あふれる表情でノーリは言った。
▽それを聞いたウィルは、目を見開いた。
1 対象が精神的に落ち着いている状態で検証開始。まずはウィリアム氏お得意の曲解やらを防ぐためにはっきりとお断りします。ちなみにですがノーリ氏がウィリアム氏のもとに自ら参ったことはありません。
▽「……え?」
▽「あ、もしかして首輪の色が気に入らなかったのか? お前の髪の色になら青が似合うと思ったんだけど、それなら他にもあるし……あ、もしかしてロープよりチェーンがよかったのか? 困ったな、チェーンは今……」
▽「とりあえずどっちでもいいので落ち着いてくれませんか」
▽綺麗な金髪も、珍しい緑色の目も、うっとりするような顔立ちも、手に持っている首輪と縄で台無しである。
2 病んだ言動が目立ちますが気にせず検証を続けます。こういう作戦はテンポが大事、相手にリズムをもっていかれないように注意しつつ、相手に「どちらの拘束具がいい」という言質をとられないようにしましょう。
▽「ウィル様の気持ちは嬉しく思うのですが、我がエヌマーティッド当家にはしきたりがありまして……」
▽「私のような生娘が嫁ぐとき、決まりがあるのです」
▽「そう、千年続いた我が家のしきたりにのっとると夫は『仏の御鉢』『蓬莱の玉の枝』『火ねずみの皮衣』『龍の首の五色の珠』『燕の子安貝』を備えていなければならないのです。しかし千年の間にそのありどころは薄れてしまい今や伝説となってしまって五つの宝は入手困難なのです。ものによってはそれこそ命をかけなければならず私もそのような行為を貴方にさせるのは非常に心苦しく、ウィル様には申し訳ないのですがウィル様の屋敷に参る事は難しいので………」
▽口元を袖で隠し、本家竹取物語さながらにノーリは言った。
3 とりあえずわからないであろう単語をだーっと並べて無理感を出して、自分としても非常に不本意なのだがやめてくれと伝えます。こんな方法普通は使えないので良い子はマネしないでね!
▽「そうか………わかった」
4 そ し て 実際これでわかってくれるのは特殊技能「空気を読む」をインプットされている人ぐらいですよねー。無理でした。
▽「万物の頂点に君臨する精霊の王の龍の首から珠を奪えるだけの力、まがい物の中から本物の仏の御石の鉢を見分ける慧眼をもつ夫に、安産と子孫繁栄を表す子安貝、ありとあらゆる災厄を退ける皮衣、富と名声を表す玉の枝……」
▽「備えれば幸せな未来を約束する5つの宝、これをもって夫の条件とするのは、なるほど技術貴族であるエヌマーティッドらしい合理性を兼ね備えたものだな」
▽そう言って五宝を装備するウィル。
▽完全にラスボスである
5 はい。魔導士団に籍をおく人にファンタジーで対抗するのは無理がありました。
▽「これでいいんだろ、ノーリ……」
▽「さぁ、祝言をとげよう」
▽恍惚とした表情で、五宝を装備しついでに拘束具を持ったウィル。
▽完全に魔王である
ナニコレ怖い! ノーリは恐怖した。そして無言で『リセット』をとりだしたのであった。
リセットしますか?
Y▼
N
ぴろりん♪
~蛇足~
▽バグの深度を検証します
▽これまでのデータをセーブし、検証を開始しますか?
Y▼
N
ぴろりん♪
「ノーリ……今日はもうはなさない……」
「え、いやあの、これ別れのハグでは」
「むしろ俺の屋敷から離さない……」
微妙に生ぬるいウィルのコートにつつまれながらノーリ氏は思った。それ、ただの監禁なのでは? と。確かにノーリ氏の生家であるエヌマーティッド侯爵と王家は長い間協力・主従関係にある。だけどこれは何か違うのではなかろうか。正確にはアップルヴァーン子爵家とエヌマーティッド家には何もつながりがないのだから、どちらかというとノーリ氏はヒューヴェンタール王家と交流を深めるべきであって、決して魔術師団長と交流を深めてトクがあるわけではないのだ。
「というかそもそも私達ってそんな関係じゃ……」
「大丈夫だ、魔術師団はエヌマーティッド侯領にも優秀な団を2個師団ほど派遣している」
「何が大丈夫なんですかっ……」
そこまで言ってノーリ氏は気付いてしまった。この男は腐っても魔術師団長、2個師団程度動かすなど小指をたてるようなもの、造作もない。本来職権乱用で捕まってもいいのだが仮にも王家の御子であるウィルを捕まえられるものなどどこにいるのだろうか__。
「嬉しくないのか? 俺と結ばれることが。お前別の誰かがいいとか言い出すのか? まさかヴィンの方がいいというのか? なぁ、ノーリ」
なにこれ怖い。弟が絡むととたんにヤンデレが悪化するアップルヴァーン氏。とりあえず平手打ちして逃げ出すノーリ氏。あくまでウィルは「紳士」(前に「変態」とつけばほぼそれで正解である)であるため、最初は逃がしてくれる。「何で逃げるんだよ、のーりぃぃ……」顔と声だけ可愛い・かっこいいと形容していいだろう。病んでるけど。
「ずっとずっと二人きりで俺の屋敷でくらそうなお前が好きだって言っていた紅茶用意して待ってるからな俺ん家の家紋の林檎もヒューヴェンタールの家紋の薔薇もエヌマーティッドの家紋の百合も全部植えた庭を用意するからな食べてもらいたい料理も見てもらいたい景色もたくさんあるからはやく来てくれよな俺がお前の言葉の本当の意味に気付けないわけじゃないんだから」
ふと、ノーリ氏は悪寒を感じてふりかえった。
「でも次は、逃がさない」
目が完全に死んでるいい笑顔で、ウィルがこっちを見ていた。
▽バグの深度の検証が完了しました
▽これまでのデータをセーブし、検証を続けますか?
Y
N▼
ぴろりん♪
▽「私、ウィル様のもとにはまいれません」
▽まぶたを少し閉じ、目を細め、悲壮感あふれる表情でノーリは言った。
▽それを聞いたウィルは、目を見開いた。
1 対象が精神的に落ち着いている状態で検証開始。まずはウィリアム氏お得意の曲解やらを防ぐためにはっきりとお断りします。ちなみにですがノーリ氏がウィリアム氏のもとに自ら参ったことはありません。
▽「……え?」
▽「あ、もしかして首輪の色が気に入らなかったのか? お前の髪の色になら青が似合うと思ったんだけど、それなら他にもあるし……あ、もしかしてロープよりチェーンがよかったのか? 困ったな、チェーンは今……」
▽「とりあえずどっちでもいいので落ち着いてくれませんか」
▽綺麗な金髪も、珍しい緑色の目も、うっとりするような顔立ちも、手に持っている首輪と縄で台無しである。
2 病んだ言動が目立ちますが気にせず検証を続けます。こういう作戦はテンポが大事、相手にリズムをもっていかれないように注意しつつ、相手に「どちらの拘束具がいい」という言質をとられないようにしましょう。
▽「ウィル様の気持ちは嬉しく思うのですが、我がエヌマーティッド当家にはしきたりがありまして……」
▽「私のような生娘が嫁ぐとき、決まりがあるのです」
▽「そう、千年続いた我が家のしきたりにのっとると夫は『仏の御鉢』『蓬莱の玉の枝』『火ねずみの皮衣』『龍の首の五色の珠』『燕の子安貝』を備えていなければならないのです。しかし千年の間にそのありどころは薄れてしまい今や伝説となってしまって五つの宝は入手困難なのです。ものによってはそれこそ命をかけなければならず私もそのような行為を貴方にさせるのは非常に心苦しく、ウィル様には申し訳ないのですがウィル様の屋敷に参る事は難しいので………」
▽口元を袖で隠し、本家竹取物語さながらにノーリは言った。
3 とりあえずわからないであろう単語をだーっと並べて無理感を出して、自分としても非常に不本意なのだがやめてくれと伝えます。こんな方法普通は使えないので良い子はマネしないでね!
▽「そうか………わかった」
4 そ し て 実際これでわかってくれるのは特殊技能「空気を読む」をインプットされている人ぐらいですよねー。無理でした。
▽「万物の頂点に君臨する精霊の王の龍の首から珠を奪えるだけの力、まがい物の中から本物の仏の御石の鉢を見分ける慧眼をもつ夫に、安産と子孫繁栄を表す子安貝、ありとあらゆる災厄を退ける皮衣、富と名声を表す玉の枝……」
▽「備えれば幸せな未来を約束する5つの宝、これをもって夫の条件とするのは、なるほど技術貴族であるエヌマーティッドらしい合理性を兼ね備えたものだな」
▽そう言って五宝を装備するウィル。
▽完全にラスボスである
5 はい。魔導士団に籍をおく人にファンタジーで対抗するのは無理がありました。
▽「これでいいんだろ、ノーリ……」
▽「さぁ、祝言をとげよう」
▽恍惚とした表情で、五宝を装備しついでに拘束具を持ったウィル。
▽完全に魔王である
ナニコレ怖い! ノーリは恐怖した。そして無言で『リセット』をとりだしたのであった。
リセットしますか?
Y▼
N
ぴろりん♪
~蛇足~
▽バグの深度を検証します
▽これまでのデータをセーブし、検証を開始しますか?
Y▼
N
ぴろりん♪
「ノーリ……今日はもうはなさない……」
「え、いやあの、これ別れのハグでは」
「むしろ俺の屋敷から離さない……」
微妙に生ぬるいウィルのコートにつつまれながらノーリ氏は思った。それ、ただの監禁なのでは? と。確かにノーリ氏の生家であるエヌマーティッド侯爵と王家は長い間協力・主従関係にある。だけどこれは何か違うのではなかろうか。正確にはアップルヴァーン子爵家とエヌマーティッド家には何もつながりがないのだから、どちらかというとノーリ氏はヒューヴェンタール王家と交流を深めるべきであって、決して魔術師団長と交流を深めてトクがあるわけではないのだ。
「というかそもそも私達ってそんな関係じゃ……」
「大丈夫だ、魔術師団はエヌマーティッド侯領にも優秀な団を2個師団ほど派遣している」
「何が大丈夫なんですかっ……」
そこまで言ってノーリ氏は気付いてしまった。この男は腐っても魔術師団長、2個師団程度動かすなど小指をたてるようなもの、造作もない。本来職権乱用で捕まってもいいのだが仮にも王家の御子であるウィルを捕まえられるものなどどこにいるのだろうか__。
「嬉しくないのか? 俺と結ばれることが。お前別の誰かがいいとか言い出すのか? まさかヴィンの方がいいというのか? なぁ、ノーリ」
なにこれ怖い。弟が絡むととたんにヤンデレが悪化するアップルヴァーン氏。とりあえず平手打ちして逃げ出すノーリ氏。あくまでウィルは「紳士」(前に「変態」とつけばほぼそれで正解である)であるため、最初は逃がしてくれる。「何で逃げるんだよ、のーりぃぃ……」顔と声だけ可愛い・かっこいいと形容していいだろう。病んでるけど。
「ずっとずっと二人きりで俺の屋敷でくらそうなお前が好きだって言っていた紅茶用意して待ってるからな俺ん家の家紋の林檎もヒューヴェンタールの家紋の薔薇もエヌマーティッドの家紋の百合も全部植えた庭を用意するからな食べてもらいたい料理も見てもらいたい景色もたくさんあるからはやく来てくれよな俺がお前の言葉の本当の意味に気付けないわけじゃないんだから」
ふと、ノーリ氏は悪寒を感じてふりかえった。
「でも次は、逃がさない」
目が完全に死んでるいい笑顔で、ウィルがこっちを見ていた。
▽バグの深度の検証が完了しました
▽これまでのデータをセーブし、検証を続けますか?
Y
N▼
ぴろりん♪
0
あなたにおすすめの小説
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
嫌われ公女に転生したけど、愛されたい願望を捨てたら全員がデレてきた
桃瀬さら
恋愛
嫌われ公女ナディアは、婚約破棄され学園で孤立し、家族からも見放されていた。
どれほど努力しようが周囲からは「嫌われ公女」と蔑まれ、誰も味方なんていない。
「もういい。愛されたいなんて、くだらない」
そう心に誓った瞬間から、状況が一変した。
第二王子が婚約破棄を撤回し跪き、寡黙な騎士団長が「君を守りたい」と熱く迫ってくる。
そして、冷ややかな兄まで「婚約など認めない。家を出ることは許さない」と……。
愛されることを諦めた途端、なぜか執着される。
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる