バージン・クイーン -強面のイケメンのところに、性欲解消目的で呼ばれるデリヘル嬢の話-

福守りん

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5.トリッキー・ナイト2

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 西東さんは、自分のマンションに帰ってから、車で来てくれた。
 来ないわけがないとは、思っていた。
 沢野さんの部屋に入ってきた時に、ルームウェアを着てる祐奈を見て、血相が変わるのを見てしまった。それは一瞬だけのことで、すぐに、いつもの顔に戻っていった。
 表向きは、怒った様子を見せようとしないところは、さすが大人だなと感心した。
 祐奈と二人で作った料理を出した。
 沢野さんが、すごく喜んでくれたのが、うれしかった。
 あたしたちは、お酒は飲まなかったけど、沢野さんと西東さんは、夕ごはんの時から飲んでいた。
 お酌とか、するんだろうか?と思ったけど、二人とも、缶ビールをそのまま飲んでいて、そんなことは、はなから期待してなさそうだった。
 沢野さんは、西東さんといろんな話をしていた。楽しそうだった。
 あたしは、なるべく二人の会話の邪魔にならないように、気配を消していた。
 祐奈は、あまりしゃべらなかった。疲れてしまったのかもしれない。
 昨日、あたしがLINEした時には、西東さんと外にいたと、朝の電話の時に言っていた。夜遅くまで、出かけていたのかもしれないなと思った。

 結局、沢野さんが言ったとおりに、部屋は男性と女性で分かれることになった。
 あたしが沢野さんのところに行って、祐奈と西東さんで客間を使ってもいいんじゃないかって、本当は思っていた。だけど、沢野さんが、そう言いだすことはなかった。
 午後十時くらいに、解散というか、沢野さんの言葉でいうと、「じゃあ、これで」ということになった。
 祐奈と一緒に、脱衣所で歯みがきをした。それから、客間に行った。

 あたしは、昨日も使わせてもらったベッドの上で、だらしなく寝そべっていた。
 祐奈は、もうひとつのベッドの上で足をくずして、座りこんでいる。ぼうっとしたような顔をしていた。
「祐奈? どうしたの」
「礼慈さん。沢野さんと、どんな会話してるのかな。
 歌穂は、気にならないの?」
「どんなって……。ふつうの会話だよ。きっと」
「寝室って、どんな感じ? ベッドは、ひとつ?」
「知らないよ……。入っちゃだめって、言われてるから」
「あ、そうなんだ……。なんか、どきどきする……」
「なに。どきどきしてんの?」
「おかしい? 男の人どうしで、同じベッドに寝たりするんだって、思うと、えーっていう感じがするの」
「意識しすぎ。ベッドが足りないから、一緒に寝るだけじゃん」
「わかってるけど……」
「電話してみたら? 『なに話してるんですか?』って」
「隣りに、いるのに?」
「いいじゃん。面白そう」
「えー……」

 本当に、かけた。祐奈は、人の言うことに流されやすい。
 寝ころがるのをやめて、起きあがる。祐奈の横に座った。

「……礼慈さん?」
「うん。どうしたの」
 向こうの声も聞こえた。
「あの……。ううん。なんでもないの」
「ほんとに?」
 笑う気配がした。
「眠れない?」
「う、ん。沢野さんと、どんな話、するんですか」
「それが聞きたくて、電話してきたの?」
「うん……」
「ふつうだよ。『狭い』とか」
「狭いの?」
「心理的に。キングサイズだから、狭くはない」
「えぇ……。そんなに、大きいベッドなの」
「うらやましい?」
「うーん。憧れでは、あります。外国の映画に出てくるみたいな、大きなベッド」
「うちのベッド、買いかえる?」
「買いかえないです……」
「話したいことがあるなら、リビングに行くけど」
「ううん。もう、ねます」
「いいの?」
「うん。……あのね。今日は、急に、沢野さんの部屋にお邪魔しちゃって、ごめんなさい」
「いや。いいよ。俺も、来たかったし」
「それなら、よかったです。おやすみなさい」
「おやすみ」

 祐奈が通話を切った。
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