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11.スイート・キング5
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四日目。五月三日。
旅館で朝ごはんを食べてから、お土産を買うことになった。
旅館の中にある、大きな売店で探した。
わたしは、歌穂とゆさぼんとみっちゃんに、それぞれ、伊豆にちなんだタオルハンカチを選んだ。歌穂の分だけ、歌穂が好きな猫のキャラクターの、伊豆限定の柄のものにした。
それから、学童保育の事務室の人たちに、個包装になっているおまんじゅうを選んだ。
礼慈さんは、会社の人たちに配るための、大きな箱入りのお菓子を持っていた。同じものを三つ。
「わたしの分も、買っていい?」
「もちろん。どれがいいの?」
「どれにしよう……」
「くさやがあるけど」
「それは、いいです……」
うちで食べるために、礼慈さんが会社用に選んだお菓子の、小さな箱を買うことにした。
礼慈さんは、他にも、なにか探してるみたいだった。沢野さんの分かもしれない。
雑貨のコーナーに戻った。
学童保育の子供たちと遊ぼうと思って、三枚入りの紙風船をひとつ、買い物かごに入れた。
名前が書いてあるキーホルダーがあった。買おうかどうしようか、真剣に悩んでいたら、「それ、いる?」と聞かれた。
「『ゆうなちゃん』が、あります」
「欲しいの?」
「迷ってます。『れいじくん』は、ないみたい。『れいくん』もないけど、『れいちゃん』だったらあります」
「そうか」
「おそろいのキーホルダーとか、引きますか?」
「引かない。その、名前のやつじゃなければ」
「じゃあ、これにします」
伊豆の景色がシンプルに表されてる、薄い板みたいな、縦長のキーホルダーがあった。
「いいよ。二つ入れて」
お会計は、あたりまえのことみたいに、礼慈さんが払ってくれた。
「ありがとうー」
「どういたしまして」
午前中にチェックアウトして、のんびりドライブしながら、東京に向かっていった。
わたしが行きたかったサービスエリアにも行けた。
セールをやっていたので、服を少し買った。これは、自分のお金で買おうと思っていたら、礼慈さんがカードで払ってしまった。
「豪遊しちゃいました」
「うん。よかった」
「お金、大丈夫ですか?」
「これくらいだったら。全然」
「すごい……」
礼慈さんのお給料がいくらなのか、わたしは知らない。聞こうと思ったこともなかった。
「ここで、昼食にしようか。食べたいものは?」
「ラーメン」
「いいな」
サービスエリアの中のフードコートで、ラーメンを食べた。
礼慈さんの部屋に着いた。
服を洗濯機に入れて、回してから、二人でシャワーを浴びることになった。
お風呂場で、礼慈さんがさわってきた。
「あん、……だめ」
「さわるだけ」
「やだ、あっ、あん……」
礼慈さんの指が、外から、中に入ってこようとする。
「昨日も、した」
「したけど。君は、ずっと声を我慢してて、よさそうじゃなかった」
「よかったです。だっ、だめ……」
「いいから。……入れたいな」
びくっとしてしまった。
「だめ。つけないと……」
「分かってる。いかせてあげるから。力を抜いて」
「あ、あんっ……。いや、あぁ」
中に入ってる指が、急に、ぐっと奥まできた。「あっ」と声が出てしまった。
「なに? なんで、ですか」
「ごめん。君の声が、かわいすぎて」
「かわいくないですっ」
「怒らなくていいから」
「だめ、だめ……。そんなふうに、しないで」
礼慈さんの指を、わたしの体が、勝手にしめつけるのがわかった。
「抜いた方がいい?」
「……だめ」
目が合った。うれしそうな顔をしていた。
いかされてしまった。
ぐったりしてるわたしの体を、礼慈さんが拭いてくれた。パジャマも着せてくれた。
寝室のベッドまで、そのまま運ばれてしまった。
「あの。せんたくもの……」
「干しておくから。寝てて」
「ごめんなさい」
「ごめん。俺が悪かったな」
「したかった?」
「……うん。家事をして、頭を冷やすよ。
ゆっくりしてて」
寝室から、出ていってしまった。まぶたが重い。
ねちゃいそう、と思った。
旅館で朝ごはんを食べてから、お土産を買うことになった。
旅館の中にある、大きな売店で探した。
わたしは、歌穂とゆさぼんとみっちゃんに、それぞれ、伊豆にちなんだタオルハンカチを選んだ。歌穂の分だけ、歌穂が好きな猫のキャラクターの、伊豆限定の柄のものにした。
それから、学童保育の事務室の人たちに、個包装になっているおまんじゅうを選んだ。
礼慈さんは、会社の人たちに配るための、大きな箱入りのお菓子を持っていた。同じものを三つ。
「わたしの分も、買っていい?」
「もちろん。どれがいいの?」
「どれにしよう……」
「くさやがあるけど」
「それは、いいです……」
うちで食べるために、礼慈さんが会社用に選んだお菓子の、小さな箱を買うことにした。
礼慈さんは、他にも、なにか探してるみたいだった。沢野さんの分かもしれない。
雑貨のコーナーに戻った。
学童保育の子供たちと遊ぼうと思って、三枚入りの紙風船をひとつ、買い物かごに入れた。
名前が書いてあるキーホルダーがあった。買おうかどうしようか、真剣に悩んでいたら、「それ、いる?」と聞かれた。
「『ゆうなちゃん』が、あります」
「欲しいの?」
「迷ってます。『れいじくん』は、ないみたい。『れいくん』もないけど、『れいちゃん』だったらあります」
「そうか」
「おそろいのキーホルダーとか、引きますか?」
「引かない。その、名前のやつじゃなければ」
「じゃあ、これにします」
伊豆の景色がシンプルに表されてる、薄い板みたいな、縦長のキーホルダーがあった。
「いいよ。二つ入れて」
お会計は、あたりまえのことみたいに、礼慈さんが払ってくれた。
「ありがとうー」
「どういたしまして」
午前中にチェックアウトして、のんびりドライブしながら、東京に向かっていった。
わたしが行きたかったサービスエリアにも行けた。
セールをやっていたので、服を少し買った。これは、自分のお金で買おうと思っていたら、礼慈さんがカードで払ってしまった。
「豪遊しちゃいました」
「うん。よかった」
「お金、大丈夫ですか?」
「これくらいだったら。全然」
「すごい……」
礼慈さんのお給料がいくらなのか、わたしは知らない。聞こうと思ったこともなかった。
「ここで、昼食にしようか。食べたいものは?」
「ラーメン」
「いいな」
サービスエリアの中のフードコートで、ラーメンを食べた。
礼慈さんの部屋に着いた。
服を洗濯機に入れて、回してから、二人でシャワーを浴びることになった。
お風呂場で、礼慈さんがさわってきた。
「あん、……だめ」
「さわるだけ」
「やだ、あっ、あん……」
礼慈さんの指が、外から、中に入ってこようとする。
「昨日も、した」
「したけど。君は、ずっと声を我慢してて、よさそうじゃなかった」
「よかったです。だっ、だめ……」
「いいから。……入れたいな」
びくっとしてしまった。
「だめ。つけないと……」
「分かってる。いかせてあげるから。力を抜いて」
「あ、あんっ……。いや、あぁ」
中に入ってる指が、急に、ぐっと奥まできた。「あっ」と声が出てしまった。
「なに? なんで、ですか」
「ごめん。君の声が、かわいすぎて」
「かわいくないですっ」
「怒らなくていいから」
「だめ、だめ……。そんなふうに、しないで」
礼慈さんの指を、わたしの体が、勝手にしめつけるのがわかった。
「抜いた方がいい?」
「……だめ」
目が合った。うれしそうな顔をしていた。
いかされてしまった。
ぐったりしてるわたしの体を、礼慈さんが拭いてくれた。パジャマも着せてくれた。
寝室のベッドまで、そのまま運ばれてしまった。
「あの。せんたくもの……」
「干しておくから。寝てて」
「ごめんなさい」
「ごめん。俺が悪かったな」
「したかった?」
「……うん。家事をして、頭を冷やすよ。
ゆっくりしてて」
寝室から、出ていってしまった。まぶたが重い。
ねちゃいそう、と思った。
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