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奇跡の夜
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「シンク、もうお休み」
日曜日の夕べ、暖炉の近くで本を読んでいるシンクに、母親のララが声をかけました。薪のパチパチと弾ける音が部屋に響いています。火が暖炉の中でゆっくり大きくなりました。ララの優しい表情にゆらゆらと影が揺らめきました。
「もう少ししたらでいい?」
シンクは十才になる少年でした。学校の勉強よりも、暖炉のそばで本を読む方がずっと好き。いろいろな物語が暖炉の前を訪れては煙突を通って天に返りました。今シンクが読んでいるのは、プレゼントの聖人の話です。心震わせる物語が何度も何度も涙を導きました。
シンクは部屋へ戻ると寝間着にきがえてベッドに入りました。ベッドの中で、シンクは祈りを捧げました。
「……天使さま、お休みなさい」
すると天から声が聞こえてきました。
「こんばんは、シンク。私は知恵の天使です」
シンクは驚きました。少したって、シンクは返事をしました。
「……こんばんは、天使さま」
「シンクは本が大好きなのね」
「はい。知恵の天使さま、聞きたいことがあるのです」
「どんな事ですか?」
「天使さま、どうして人は眠ることが必要なのですか?」
「それはあの世へ行くためよ」
「天使さま、あの世へ行く、って死ぬことですか」シンクは不思議そうにたずねました。
「まさにそう。あなた方は、一日の終わりを死で迎えるのです」
「朝になったら?」
「再びよみがえります」
「良かった。ありがとう、天使さま。お休みなさい」
「ありがとう、シンク。良い眠りを」
それがシンクの最初の奇跡だった。
日曜日の夕べ、暖炉の近くで本を読んでいるシンクに、母親のララが声をかけました。薪のパチパチと弾ける音が部屋に響いています。火が暖炉の中でゆっくり大きくなりました。ララの優しい表情にゆらゆらと影が揺らめきました。
「もう少ししたらでいい?」
シンクは十才になる少年でした。学校の勉強よりも、暖炉のそばで本を読む方がずっと好き。いろいろな物語が暖炉の前を訪れては煙突を通って天に返りました。今シンクが読んでいるのは、プレゼントの聖人の話です。心震わせる物語が何度も何度も涙を導きました。
シンクは部屋へ戻ると寝間着にきがえてベッドに入りました。ベッドの中で、シンクは祈りを捧げました。
「……天使さま、お休みなさい」
すると天から声が聞こえてきました。
「こんばんは、シンク。私は知恵の天使です」
シンクは驚きました。少したって、シンクは返事をしました。
「……こんばんは、天使さま」
「シンクは本が大好きなのね」
「はい。知恵の天使さま、聞きたいことがあるのです」
「どんな事ですか?」
「天使さま、どうして人は眠ることが必要なのですか?」
「それはあの世へ行くためよ」
「天使さま、あの世へ行く、って死ぬことですか」シンクは不思議そうにたずねました。
「まさにそう。あなた方は、一日の終わりを死で迎えるのです」
「朝になったら?」
「再びよみがえります」
「良かった。ありがとう、天使さま。お休みなさい」
「ありがとう、シンク。良い眠りを」
それがシンクの最初の奇跡だった。
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