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11 緊急入院
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昨日遅かった事もあり弥生は3時に目が覚め無かったのだ
弥生は電話の音で目が覚めた
少し腫れぼったい目を擦りながら携帯を取る
「神野弥生さんですか?」
落ち着いた若い男の声
「はい。そうですけど、どちら様ですか?」
全く聞き覚えがない声だった
「高田病院の高田と申します」
「えっ?病院?」
「橘和茂さんのご親族の方ですね?」
弥生はその言葉でベッドから飛び起きた
「は、はいっ!」
とっさに答える。
「橘さん、昨日こちらに救急で搬送されまして…」
「えっ?!和茂さんが?あの…橘は生きてますか?」
何ともちぐはぐな質問をしていた
「大丈夫ですよ。昨晩、よろけて道で転んで足首捻挫しただけですから…」
その男がなだめ透かすように言った
(そういえば救急車のサイレンがうるさかったわ)
と思いながら弥生は昨日の身支度のままバッグを持つと急いで病院へ向かった
「高田病院」看板
救急外来の入口に回る
そこから中に入ると受付で
「昨日救急で入院した橘和茂の身内のものですけど」
息を切らしながら言う
「橘さん301号室です」
病室を教えてくれたので弥生は小走りに廊下を歩き突き当たりの階段で3階まで駆け上がった
左に曲がった一番奥に301号室はあった
ノックをして病室に入ると和茂が半分位起き上がっているベッドの上に寝ていた
「和茂さんっ、大丈夫っ?」
弥生が駆け寄ると
「弥生ちゃん来てくれたんだ。危うく死ぬとこだったよ」
頭を掻きながら笑って言った
「もー、あんまり心配させないでよ!」
弥生は胸を撫で下ろしたが昨日、和茂を置いてきぼりにした事を後悔していた
「俺、そんなに呑んでたか?」
「覚えてないの?」
「全然覚えてない」
「しょうもないわね。天罰よ」
看護師が入ってきて
「橘さん、身内の方が見えられたので退院していいそうですよ」
全く人騒がせなオヤジである
「有り難うございます」
弥生が看護師に頭を下げて看護師が病室を出ていくと和茂はベッドから起き上がって靴を履いた
ドクターと看護師にお礼を言うと、松葉杖姿の和茂を弥生が支えながら病院を後にした
タクシーに乗ろうと通りにでると和茂が
「これ、要らないから」
松葉杖を弥生に渡す
「ダメよ、使わないと。歩けなくなるわよ」
少し大袈裟に、弥生が言ったのに和茂は全く聞く耳もたずに
「全然大丈夫。ほらねっ?」
とその場でピョンッと飛んで見せた
「まだ無理でしょ?本当に人騒がせなんだから」
弥生は少し怒りながら言った
「参ったなこれじゃあ審判できねーな」
「心配するとこそこ?何か私に言うことないのかしら?」
「ごめんなさい。気を付けます」
和茂がしょんぼり言った
タクシーで10分位の所に和茂の家はあった
茶色いタイル張りの重厚感のある外観
エレベーターで3階まで上がる
弥生が合鍵でドアを開け中に入る
オヤジの一人暮らしにしては整頓されている
洗濯洗剤のいい香りがする
部屋干しのせいだ
「これ、外に干した方がいいわよ。お日様のエネルギーを取り入れないと」
弥生が洗濯物をベランダに出そうと窓を開けると
「あっ、ダメダメ。ホコリ付くから」
全く神経質なオヤジである
「何か食べる?」
弥生が聞くと
「取り敢えず、赤い水っ」
懲りないオヤジである
さっきまで病院にいたとは思えない位元気な和茂
赤い水を呑んでご機嫌だ
弥生が思い出したように言う
「そういえば、葵(ひとみ)に昨日貰ったもの何かしら?」
バッグの中から小袋を取り出すとシールを剥がして袋を開けた
「あら、やだー」
中からお目見えしたのは、真っ赤なレースのTバックだった
「ヒャッホー!!葵(ひとみ)ちゃんやるねー。エッロイなぁー。葵(ひとみ)ちゃんもこういうの履いてんのかな?」
和茂が浮かれる
弥生の気持ちがせっかく収まっていたのにその気持ちを逆撫でするかのように
「今度見せてもらっちゃおっかなー」
追い討ちをかけて言う
「バカじゃないの?!貴方にはエンパシーってものが無いのね?!」
と弥生が思い余って言う
「エンパシーって何?シンパシーなら知ってるけど」
全く、ふざけたオヤジだ
「『他人の靴を履いてみる』。他人の気持ちになって物事を考えなさいって意味よ」
「だから?何?」
「だから?だから、ガンの…ガンになった女の気持ちをもっと考えなさいって言いたいのよ」
弥生は必死になって言った
にも関わらず
「弥生ちゃん?人間だったの?」
和茂が笑いながらおちょくるように言ったので、弥生は感情が極まって
「貴方のせいで私は…私の気持ちはパープルでレッドで時々ブルーなのよ!!」
と言って和茂の部屋を飛び出した
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