デキナイ男と病気の女

Yachiyo

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13 疑惑

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弥生が万年筆を見つけた事に気付いていない和茂はキッチンで楽し気に肉を焼いている

弥生は動揺を隠し切れず思わず言う

「ねぇ…この万年筆どうしたの?」

和茂はフライパン片手に振り向きながら

「えっ?弥生ちゃんのでしょ?いつも大事そうに持ってるじゃない?こないだ行った『めんそ~れ』に落ちてたよ」

「嘘っ!!」

弥生は声を荒げる

「嘘じゃないよ」

和茂が言うにも関わらず

「だってこれ私が葵(ひとみ)に形見にしてって上げたんだもの」

とムキになる弥生

「じゃあ、その時葵(ひとみ)ちゃんが落としたんじゃないの?」

あくまでも否定する和茂

「来たんでしょ?葵(ひとみ)?この部屋に!」

「えっ?何言ってんの?弥生ちゃん?何意味わかんない事言ってんの?」

和茂は不思議そうに言う

「したでしょ?葵(ひとみ)と」

弥生の妄想は止まらない

「ハハハ、あり得ねぇ。そもそも俺デキネーんだぜ。その事弥生ちゃんが一番良く知ってるだろ?」

「う…ん…。まぁね…。でも、何で万年筆が…」

何とも腑に落ちない弥生だったが必死に思い留まった

和茂が焼き上がった肉を熱い鉄板の上に乗せる。その鉄板の端をタオルで持ちながら弥生の前まで運んできて

「さぁ食べて。冷めないうちに」

と言って2人で肉にかぶり付いた

「珍しわね?今日は呑んでないの?赤い水?」

ワインを呑んでいない事を不思議に思って弥生が言う

すると和茂が待ってましたとばかりに

「する?」

とニタニタしながら言った

「それで呑んでないのね?どうせデキナイわよ」

弥生はさっきの事でまだ腹が立っていた事もあり冷たくあしらった

しかし今日の和茂は違っていた

「試してみない?久しぶりに?」

といつになくしつこい

食事を終えると弥生は和茂に抱かれた

和茂の寝室。裸でベッドに寝ている和茂と弥生

和茂が弥生にタオルケットを掛けて腕枕をする

「やっぱり無理だったな…。情けねーな全く…ごめんな…弥生ちゃん…」
「ううん、和茂さんが謝る事無いわよ」
「弥生ちゃんまだ若いし、誰か若い男見つけた方がいいんじゃないの?」

和茂が申し訳無さ気に言うので弥生の罪悪感はピークに達していた

「和茂さん…私…謝らなきゃいけない事があるの…」
「何だ?男居るのか?」

冗談混じりに言う

「うん…和茂さんに会えない時、浮気してた」
「ハハハ…嘘だろ?弥生ちゃんはそんな子じゃないよ」

(この人って…)

和茂の懐の深い愛情にふれた弥生は自分の愚かさと未熟さが悔しくなり和茂の胸に顔を埋めて泣きじゃくっていた

(もう、隼人君に会うのは止めよう)
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