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9 親友
しおりを挟む日曜日
午後1時
「藤原」表札
ーピンポーンー
家の中から藤原礼子(ふじわられいこ)35歳が出て来る
切れ長の目、ストレートでセミロングの黒髪、清楚な装い
蓮の母親だ
「あら?輪心(わこ)ちゃん?」
「こんにちは。蓮君居ますか?」
「ちょっと待っててね」
奥の部屋へ入ると蓮を連れて戻って来た
「久しぶりだね?輪心(わこ)ちゃん?どうしたの?」
突然の訪問に嬉しさを隠せない
「ちょっと…話があるの…」
モジモジしながら言う輪心(わこ)
「じゃあ、上がって」
蓮が言うと
「ここではちょっと…」
礼子を見てから伏し目がちに言う
空気を読んだ礼子が
「じゃあ、公園にでも行って来たら?」
「うんっ!そうするよ」
蓮が元気良く言って靴を履く
10分程歩くと井の頭公園にたどり着いた
蓮はワクワクドキドキだ
無言のまま、園内の池を通り過ぎ、くぬぎの大木の側にくると、輪心(わこ)がその大木の下に隠れる様にしゃがみ込んで蓮を手招きした
蓮が輪心(わこ)の隣にしゃがむと
「これ、見て」
肩に掛けていたポシェットからゆっくりとリングを取り出した
グルグルと宙に浮きながら光を放つ
「アークだよ」
蓮は目をパチクリさせながら固まった
*こんにちは。レン*
アークが話し掛けてきたので
「こ、こんにちは」
恐る恐る反応する蓮
「一体何なの?これ?」
驚きを隠せない
「アイリーン星のジータが輪心(わこ)にくれたの。もうすぐ地球が真っ暗になっちゃうの。だから輪心(わこ)がそれを助けるんだよ。輪心(わこ)の中にはマリーが居るの」
蓮は食い入る様に輪心(わこ)の話に耳を傾ける
「でもね…ママは信じてくれないの。与論のおばちゃんは、ちょっとだけ信じてくれるけど…」
「蓮君は輪心(わこ)ちゃんを信じる!!」
力強く言うと、アークが点滅した
「それで、アークはナゲットとか食べたりする?」
輪心(わこ)はプッと笑って
「これだよ」
そう言ってペンライトで光を当てた
そこへ遠くの方から30代半ばのベビーフェイスの男がこちらに向かって歩いて来た
何やら見慣れない動物を連れている
「そこで何してるのかな?」
男が話し掛けて来たので輪心(わこ)は慌ててアークをポシェットに隠す
不審に思われたらマズイと思った輪心(わこ)は
「オ、オジサンこそ何してるの?」
とっさに聞く
「こいつのお散歩してるんだ」
腕に乗っていたふくろうを掲げて言った。
「ヘェー?お名前何て言うの?オジチャン」
「あのね、オジチャンじゃなくて、お兄さんね。あと、僕の名前は隆史(たかふみ)、こいつの名前は360°」
「ヘェー、変な名前」
蓮が言うと
「そう?良いと思うけどな」
輪心(わこ)が言う。
「でしょ?コイツが最近やけに騒ぐからストレスがたまってるのかと思ってこの公園で散歩させる為に近くに引っ越ししてきたんだ。コイツはね……」
話しを止めない隆史(たかふみ)に
「私達忙しいんです!又今度!」
輪心(わこ)が蓮の腕をグイッと引っ張ってその場を後にした
帰り道
向こうの方から悠馬(ゆうま)が母親と歩いてきた
すれ違い様に輪心(わこ)と目が合うと声を出さずに罵っているのがわかる
輪心(わこ)がキッと睨み付けると、悠馬(ゆうま)が1メートル程吹っ飛ぶ
「いたぁーい」
尻餅をついてエンエンと泣く悠馬(ゆうま)
「どうしたの?悠馬(ゆうま)ちゃん?」
慌てふためく母親を横目に輪心(わこ)は左手の親指を立てながらニコッと蓮にウィンクする
「輪心(わこ)ちゃん、凄い!!」
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