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ラブホテル殺人事件
しおりを挟む-1ヵ月後-
静岡県
御殿場インター付近ラブホテル街
「Hotel 富士」の看板
ロビー
ピンク色の照明
壁のパネルに部屋の案内がある
空き部屋は一つしかない
「蘭子さんがどうしてもサーキットレース観たいって言うから付き合ってここまで来たけど、まさかホテル予約してなかったなんて」
「ここだってれっきとしたホテルじゃない」
「いくらなんでも無謀すぎますよ。蘭子さんとラブホに泊まるなんて」
「だって、こんなに遅くなると思ってなかったのよ。呑み屋で一杯やったのが運のつきね。今日のレースでどっこもホテル満室で取れなかっし。嫌なら帰れば!」
蘭子がむくれて言う
「いやいや、もう1時だし、とっくに電車ないッスよ」
仲村がスマートウォッチを見ながら言う
「ここだってやっと一部屋空いてたのよ」
「分かりましたよ」
仲村、407号室のパネルをタッチする
狭いエレベーターに二人で乗る
「言っとくけど、私の体に指一本触れてみな、ただじゃおかないから」
「うゎー、怖っ。それはこっちのセリフッス。蘭子さん、呑むと昔の遍歴でますよ」
仲村が言う
「黙っとけ」
蘭子が仲村を睨む
「やっぱ、元、極道の妻」
仲村、顔を背けて呟く
「何か言ったぁ?」
「言ってないッス」
エレベーターが4階で止まりドアが開く
仲村の後を蘭子が歩く
辺りをキョロキョロ見回して
「何年ぶりかしら、こういうとこ」
蘭子が言う
「昔は良くお世話になったって事ッスね」
ニタニタ笑いながら仲村が言う
「バァーカ」
蘭子が仲村の後頭部をパシッと叩く
その時、廊下の先に首から大量の血を流して仰向けに倒れている女の姿を見つける仲村
「だ、大丈夫ですか!」
駆け寄る仲村
顔を覗き込んで
「な、内藤咲!」
と叫ぶ
蘭子も女の顔を覗き込み
「確かに内藤咲ね」
と言う
「とにかく警察に通報して!私は支配人呼んで来る!」
騒ぎに気付いた客達がドアを開けて廊下を覗く
仲村が客達に警察手帳をみせて
「警察の者です。皆さん部屋から出ないで下さい」
と大声で言う
静岡県警の板倉刑事(40歳)達と鑑識係チームが来る
鑑識係チームがゲソコンを取ってから現場の指紋を採取したり死体の写真を撮っている
「死亡推定時間は何時ですか?」
仲村が聴く
「恐らく昨夜の午後10時から午前0時の間かと」
つられて鑑識官が答える
「ちょっとちょっと、あんた誰ですか?部外者がこんな所にいてもらっちゃあ困りますよ」
と静岡県警の板倉刑事が言う
「これは失礼。第一発見者で長野県警の仲村流星です」
仲村、警察手帳を見せる
「長野県警の刑事さんがどうしてここに?」
静岡県警の板倉刑事が不思議そうに言う
「色々と事情が有りまして」
仲村が照れ臭そうに言う
「それにしても、長野県警の出る幕じゃないでしょう」
板倉刑事が言う
「それがそうでもなさそうなんですよ」
仲村が含みを持って言う
蘭子が支配人の深沢(55歳)を連れて戻って来る
支配人の深沢死体を見て
「田辺さん!」
と叫ぶ
「田辺?」
蘭子が不思議がる
「うちの清掃の田辺葉子さんです」
「被害者、田辺葉子と名乗ってたんですか?」
「違うんですか?うちに面接に来た時には確かににそう言っていました」
「この人、内藤咲さんと言って、1ヵ月位前に殺害された人なんスよ」
仲村が言う
「殺害?どうりで変な人だと思った」
深沢が言う
「変な人とは?」
仲村が聴く
「面接に来た時、雨でもないのに、全身濡れてたからさ」
深沢が息を荒げて言う
「でしょうね」
蘭子、腕組みをしながら考え込む
「まさか、一度殺されてた人だったとは......うちは住み込みだけど訳ありの人が多いからいちいち身元確認しないで採用しちゃうもんで全く気付きませんでした」
深沢が言い訳がましく言う
「どうして採用を?」
「なんでも、医療事務やってた事があるっていうから。信用出来る人かなって思って」
「医療事務ですか?どこの病院だかお分かりになります?」
「確か、あら、あら、あら何とか......」
深沢、少し考えて
「荒井病院だ。私の嫌いなヤツに荒井ってのが居て、それで覚えてるんだ」
「荒井病院?長谷部真理子が運ばれた病院ッスね?」
仲村が蘭子に言う
「そうね」
蘭子が言って
「他に何かお気付きの事なかったですか?」
と深沢に聞くと
「そう言えば、12時前頃、松本ナンバーの車が急発進で出てったな。たまたま事務室の窓から見えて」
支配人の深沢が言う
「松本ナンバーですか。長野県の車ですね。他に車の特徴覚えています?」
仲村が聞く
「うーん、暗くて良く分からなかったけど、黒っぽい車だったかな」
「監視カメラの映像見せてもらえますか?」
「すみません。うちのは全部ダミーなもんで。経費削減てやつですよ」
「くそっ」
仲村が悔しそうに言う
翌朝
長野県
荒井病院
受付
蘭子と仲村が入って来る
受付に荒井直樹の姿
蘭子と仲村を見つけて
「刑事さんっ」
と荒井が声を掛けて来た
「あら、覚えていてくれました?夜勤明けですか?」
蘭子が言う
「はい。そうです。また何か事件ですか?」
荒井が蘭子に不思議そうに聞く
「内藤咲さん、ご存知ですよね?」
蘭子が言う
「内藤......確か長谷部さんのお姉さんで木曽の大橋から転落して亡くなった......」
「そうです。昨夜、御殿場のラブホテルで遺体で発見されました」
仲村が言う
「生きてたんですか!あの人」
「あの人とおっしゃいますとご存知でしたか?内藤咲さんの事」
蘭子が言う
「それは......長谷部さんから入院中に聞いてたもので」
荒井、慌てた様に言う
「こちらの病院で事務員やられてましたよね?」
蘭子が聞く
「は、はい」
荒井少し戸惑いながら答える
「失礼ですが、昨日の夜10時から午前0時の間はこちらに?」
蘭子が言う
「はい。先ほども言った通り夜勤でしたから」
「お一人で、ですか?」
「はい」
「それを証明出来ますか?」
と蘭子が聞く
「はい。毎晩0時に患者の織田さんの点滴の交換があるので」
「そうでしたか。ありがとうございました」
蘭子、荒井の白衣を見る
ビシッっと糊が効いている
「いつも身だしなみに気を付けていらっしゃって感心します。お邪魔しました」
蘭子が荒井に言って仲村と共に病院を後にする
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