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1 しっぺ返し
しおりを挟む「やだなぁ~マジになってました?僕がオバサンなんて相手にする訳ないじゃ無いですか?遊びですよ。遊びっ!」
「このっ!最低男!」
弥生がラウンジを飛び出したあと、取り残された隼人はホッとした気分でほくそ笑みながら1人で優雅に食事をしていた
そして何気なく遠くの席に目をやるとどこか見慣れた男女が食事をしている
「恵(めぐみ)?」
隼人の妻の東海林恵(しょうじめぐみ)27歳だ
隼人は優雅な気分が一気にぶっ飛び、直ぐにうつ向いて隠れる様に食事を続けながら恵と男を目で追う
楽しそうに会話をしている恵の相手は隼人も恵と一緒に通う会員制スポーツクラブのインストラクターの河西(かさい)だった
(あいつら…いつの間に…)
自分の行いは必ず自分に戻って来るものだ
隼人は2人に気付かれない様に会計を済ませるとロビーの大理石の柱に身を潜め彼らが出て来るのを待った
誰かさんと同じ行動だ
暫くすると恵と河西がロビーに出てくる
隼人は柱の陰から彼らを目で追うと2人は客室へと続くエレベーターに乗り込み消えて行った
隼人は到底仕事に戻る気力を失った
自分の事は棚に上げ酷い怒りが込み上げて来る
職場に電話をすると
「ちょっと体調が悪くなったので早退させて下さい」
と上司に告げて早々に帰宅した
都内の閑静な住宅街
3階建ての一軒家。
午後3時
隼人は帰宅した気配を隠す為に、靴を下駄箱にしまい込み2階のリビングのテーブルで頭を抱えながら恵の帰りを待っていた
貧乏揺すりが止まらない
ガチャガチャ
玄関の鍵が開く音
恵が帰って来た
まさか隼人が帰宅しているとは思いもしない恵は、何くわぬ様子でリビングへの階段を上がる
リビングのドアを開け隼人の存在に気づいた恵は一瞬ギクッとした
「あ…あら、どうしたの?ず、随分早いのね…」
「どこ行ってたんだ?」
隼人は恵の問いかけには答えず自分の気持ちを抑え切れずにそう言った
「友達の真美(まみ)と会っていたのよ」
「嘘付け! お前浮気してるだろう?」
怒鳴る隼人
「何?何言ってるのよ。そんな事有る訳無いじゃないの」
動揺する恵
「見たんだぞ。大帝国ホテルに居る所!」
隼人の怒りは止まらない
すると
「なによ!貴方だって浮気してるじゃないの!」
ドキッとした隼人をよそに恵は3階に駆け上がり寝室のチェストの引き出しを勢い良く開け、中から1枚の写真を持ってリビングに戻って来た
恵は無言でリビングのテーブルにその写真を叩きつけた
隼人と弥生がホテルから出て来る所が写っている
隼人は言葉が出て来ない
「前から知ってたのよ!」
恵が泣き叫ぶ
「そ、それは、ただの遊び…」
隼人が言いかけると
「卑怯者!」
恵が更に怒鳴る
それを聞いた隼人は思い余って
「婿養子なんて、もううんざりなんだ!」
と開き直る
「何言ってるの。私のお父様のお陰で天文学者になれたくせに。それにこのお家に住めるのもお父様のお陰でしょ?」
隼人は自分では人生設計がデキナイ男だったのだ
プライドがズタズタに傷付けられた隼人は自分を庇うかの様に
「そうか。そこまで言うならもう終わりだな! 俺達!」
と捨て台詞を吐くと身の回りの物をキャリーバッグに詰め込んでそのまま家を飛び出した
(弥生さん…)
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