デキナイ男と病気の女2

Yachiyo

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6 府に落ち無いのよ

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言う迄もなく呑み仲間ができた和茂が嬉しくないはずはない

「うわー熊肉、最高に美味しい!脂身が最高!」

葵(ひとみ)は箸が止まらない

「それにしても弥生がスーパーのパートやるとはね?」

葵(ひとみ)が熊肉を頬張りながら言う

「うん、私も最初は週に3日だし楽ちんかと思ってたんだけど品出しとか凄く大変で重労働よ」

「私、絶対そういうの無理」

きっぱり葵(ひとみ)が言う。弥生は何だかバカにされている様な気がした

「そう言えば葵(ひとみ)ちゃんは仕事どうすんの?」

和茂が聞いた

「私は銀座で夜働こうと思ってます」

「何でまた?」

和茂が不思議そうに聞くと

「結婚式の件で前の会社関係は全部無理なんで」

葵(ひとみ)が答えた

「成る程」

と和茂

「あっ、もしも夜働いても絶対2人で来たりしないで下さいよ」

葵(ひとみ)が慌てて付け加えた

「えっ?ダメなの?つまんないの~」

和茂ががっかりしたように言うと

「ここで一緒に呑めば良いじゃないですか?」

葵(ひとみ)が和茂を諭したので和茂も一応納得した様子だった


葵(ひとみ)が銀座で働く様になったある日の事

弥生が夕飯を作ろと、冷凍庫を開ける。

「ギャー!何!これ?」

そう、冷凍ネズミの大群だ

弥生は緊急事態でも起きたかの様に仕事中の葵(ひとみ)に電話する

「もしもし?葵(ひとみ)?」

「何?今仕事中なんだけど。どうしたのよ?」

不機嫌な葵(ひとみ)

「何かって、ネ、ネ、ネズミが…」

と弥生

「あっ、それ?通販で安かったから買っといた。丁度良かった。今日帰り遅くなるから360°に上げといて」

何ともあっけらかんと言うと葵(ひとみ)はさっさと電話を切った

(上げといてって言われても…)

弥生は葵(ひとみ)と違って動物が苦手なのだ
その上、肺に疾患を持っている。ふくろうの抜け落ちた毛が舞うのが更に弥生を動物嫌いにさせていた

葵(ひとみ)は自宅では放し飼いにしていたようだがここではそうはいかない

恐る恐る冷凍庫から割り箸でつまみだしたネズミを、ケージの中の360°に差し入れる

鋭い嘴でそれを咥えると一気に丸飲みだ。嘴からネズミのしっぽが垂れ下がっている。それを最後まですすり終えると360°はまるでオヤジがニコッと笑っているかの様な満足気な顔をした

「わー気持ち悪りぃ」

と弥生は身震いがした

「何やってんだ?」

と先程から、ワーとかギャーとか言っている弥生の様子を見に隣の部屋から和茂がやって来る

「今日、葵(ひとみ)が帰り遅いから360°君にご飯上げておいてって頼まれたのよ」

「なんだ、葵(ひとみ)ちゃん遅いのか」

何となくつまらなそうに言う和茂の肘をつかんで弥生がキッチンに誘導する。

「これ見てよ?」

冷凍庫を開ける。

「何だこれ?」

驚く和茂

「360°君の餌なんだって」

「ハハハ。こんなに大量じゃあ、俺達の餌は入らねーな」

和茂は笑った

「それより、飯にしようぜ。飯」

「う…ん…」

2人で夕食を食べる

今までは会話も弾み楽しかった夕食なのに葵(ひとみ)が居ないと何だか気が抜けた様だ。そこへ追い打ちをかけるかの様に

「やっぱり呑める人が居る方が楽しいな」

和茂が全く余計な一言を言う

「そーよね」

と言いながら、弥生はウーロン茶をごくごくと飲み干した




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