デキナイ男と病気の女2

Yachiyo

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8 ケンカ

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「ガンバレルーヤのまひるみたぁーい」

葵(ひとみ)が手を叩いて笑う

「そ、そう?一応、山口智子のイメージなんだけど」

弥生が言うと

「どこの美容室?私にも紹介してよ。仕事行く前とデートの前に行きたい」

とあんなにけなしたくせに葵(ひとみ)が言う

「駅前の『Y』って店。あっ、大門さんじゃなきゃダメよ。最高に上手いから」

「分かった。今度行ってみる」


数日後

スーパー「サンキュー」

「弥生さん、随分思いきりましたね?何かあったんですか?」

同僚の田口が言う

「う、ううん、別に…」

弥生が口ごもると

「似合ってますよ」

と田口

「そ、そう?有り難う」

弥生は苦笑いした。こんな一言が弥生を幸せな気分にさせた

パートが終わり家に着くと、葵(ひとみ)は居なかった

リビング

和茂が相変わらず赤い水をなめている

「お帰り」

と弥生を見て言う

「これ、届いてたぞ」

とテーブルの上の小包に目をやり言う

「有り難う!」

弥生は嬉しそうに包みを開ける

「今度は何が届いたんだぃ?」

「お皿。ノリタケよ」

弥生はルンルン気分で言う

「何回失敗してるんだ?通販で?」

和茂が呆れた様に言う

「良いじゃない?好きなんだもの」

弥生は動じない

「だいたい、実物見ないで買う神経が分からねーなー」

和茂も食らい付く

「今どき通販は当たり前なのよ。良いじゃない。フリマサイトで売った物のポイントで買ってるんだし。これくらい好きにさせてよ」

と弥生

「言っとくけど俺ら貧乏なんだぜ。そんなに買い物したけりゃもっと金持ちの男捕まえたら?ついでにデキルヤツもな」

いつになく機嫌が悪い和茂

「バカじゃないの?貴方こそ、こんな病気の女なんかより葵(ひとみ)みたいな元気な女と付き合えば良いじゃない?」

売り言葉に買い言葉だ

弥生はやりきれない気持ちになっていた

そこへ葵(ひとみ)が帰ってくる

「あら?ケ・ン・カ?」

葵(ひとみ)はそれを楽しんでいるかの様に言った

弥生もそれを悟られない様に

「お帰り。どこ行ってたの?」

葵(ひとみ)に聞く

「美容院。ほら、この前弥生に教えもらった駅前の『Y』ってとこ。大門さんて凄く上手くて良い人だね。私、気に入っちゃった」

葵(ひとみ)が嬉しそうに言った

「でしょ?あら?葵(ひとみ)今日仕事だったっけ?」

弥生が言うと

「ううん、今日は休みだから隆史(たかふみ)とデート」

葵(ひとみ)がカールしたての髪の毛を人差し指でクルクルとさせながら言う

「又、違う男?」

と弥生

「うん、そう。マッチングサイトでアクセスしてくるアホな男のお相手してあげてるの。あっ、その前に少し和茂さんのお相手してあげよーっと」

葵(ひとみ)が言うと、さっきまであんなに不機嫌だった和茂も

「そう来なくっちゃ」

と喜んで葵(ひとみ)の前にグラスを差し出しワインを注ぐ

「葵(ひとみ)、これからデートなのに呑み過ぎじゃないの?」

と言う弥生の忠告もなんのその

「大丈夫、大丈夫」

もう酔っている

「和茂さんも、呑み過ぎよ。それじゃあ身体壊すわよ」

弥生が少し強い口調で言う。すると葵(ひとみ)からとんでもない言葉が飛び出す

「あー、大丈夫大丈夫。弥生が死んだら、私が和茂さんの面倒見て上げるから」

いくら酔っているとはいえ弥生が一番聞きたくなセリフだ

弥生の顔色が変わる

「葵(ひとみ)?今何て?」

「だからぁ~、いつ死ぬか分からない女といても和茂さんが可哀想だよ~。ねー」

葵(ひとみ)が和茂の顔を覗き込んで言う

「何よ!  黙って聞いてれば !葵(ひとみ)に私達の何が分かるって言うのよ!大体人の事病気病気って、自分だって男狂いの病気じゃないの!」

弥生は思い余って言う

すると葵(ひとみ)は、平然と

「あら?私が病気?マッチングサイトはゲームよ。ゲーム。結婚なんて籠の中の鳥って分かってるからゲームを楽しんでるだけじゃない」

と言い放った

弥生の怒りはピークに達していた

「ゲーム? 相手の心をもて遊ぶなんて最低な女のやる事ね!何様のつもりよ!そもそも、ウチでも好き勝手し放題じゃないの!」

「いーじゃん別に。弥生の物は私の物。私の物も私の物」

完全に酔っている

「まーまー、いい加減にしなさいよ。2人とも」

やっと和茂が止めに入る

「和茂さんはどっちの味方なのよ!」

弥生と葵(ひとみ)が和茂に同時に詰め寄る

「なぁ、弥生ちゃん、良く聞けよ。『失う物の無い者とは争うな』って言葉知ってるか?」

和茂が静かに弥生に言う。すると葵(ひとみ)が

「何ですか?それ?私の事ですか?和茂さんまで、そんな目で私をみてたなんて、酷い!!」

葵(ひとみ)は泣きながら、家を飛び出した



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