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2話
しおりを挟むそして運命の卒業パーティーが始まった。
あらかじめ今日はエスコート出来ないとマーロンから言われた……。
これはもう強制力で今日断罪されるのね……。わたし何もしてないのに……。今まで仲良く出来ていたのは幻だったのかな?
そんな事を思いながら卒業パーティーの会場へ1人で向かった。
パーティー会場に入ると一人で入ってきた事に周りがヒソヒソと話す声が聞こえる。そんな時マーロンの声が響いた。
「バイオレット・ホワード! こちらへこい!」
はぁ……、始まったわ。
わたしがマーロンの元に近づくとヒロインであるマリア・アンルー男爵令嬢の肩をよせるマーロンの姿。その周りに彼の側近達がいる。まるでお姫様を守っているよう……。
「ごきげんよう、マーロン様」
「お前、よくもこの場に来られたな!」
「はて? わたくしも卒業生ですが?」
「はっ! よくも罪を犯しておきながらここへ来れたな!」
「罪とはなんですの? わたくしは何も悪い事などしておりませんわ」
出た!冤罪!それにしてもヒロインもよく人を貶められるわね。良心はないのかしら?
「バイオレット様! わたしに謝ってください。それで許しますから……」
「マリア! バイオレット謝れ!」
あーあ、ヒロイン震えて泣いてるふりしてるよ。悪い女だわ~。
「一体何に対して謝れと? わたくしは何もしていませんわ」
「ここでは言わないつもりだったのだがな、罪を認めないと言うならここでお前の犯した罪を皆の前で明らかにしようではないか!」
うわー、引くー。せっかく仲良くしてそれなりに絆もできたと思ったけど、結局こいつがバカなだけじゃない?
「どうぞ? わたくしは何も後ろめたいことなどありませんわ」
「まず、マリアをいじめたではないか!」
「具体的には?」
「マリアの教科書を破ったり、ドレスを破いたり、池に落としたり、マリアの母上の形見であるネックレスを盗んで捨てたりしたではないか!」
「わたくしは一切しておりませんわ。わたくしはマリア様とは距離を取っていましたの。だってこうやって冤罪をかけてくるのですもの」
「なに!? マリアの言った事が真実だ!」
「じゃあ聞きますが、わたしがやったという証拠は?」
「マリアが言った。それが証拠だ!」
はいバカ決定~。なにそれ証拠じゃないわ!
「それだけじゃない! お前はマリアを殺そうとしたではないか!」
はい、また冤罪~。もう笑うしか無いわね。
「階段からマリアを突き落として殺そうとした! 運良く捻挫くらいで済んだか……」
「それはいつのことですの?」
「⚪︎月×日のことだ! 悲鳴が聞こえたと思って私達がすぐに駆けつけたらマリアが倒れていた。そしたらバイオレットに突き落とされたと言った!」
「それは無理でございますね。だってその日は学園にすら行ってないですもの。王宮に呼ばれて王妃様といましたわ」
「なんだと!?」
よかった~。その日学園に行かなくて王妃様様だね!
「しかし、マリアがそう言っている! そんな事ない!」
なんだそれ!無理だって言ってるじゃん!
「ひどいです! わたしすごく傷ついたのにそれを謝ってくれないなんて……」
「ああ、マリア」
シクシクと泣き始めるマリア。それを慰めるマーロン。はぁー馬鹿らしい。何見せられてるの?わたし?
「お前は罪も認めず挙句にマリアを泣かせた。そんな悪女とは後の王妃にはできん! 王妃はマリアこそ相応しい!」
「マーロン様!」
あーあ、とうとう言われちゃうか……。全部無駄だった。
「バイオレット・ホワード! お前との婚約を破棄する! そして新たにマリアを婚約者とする!」
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