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第一章 はじまり

13話 四大元素の精霊王達

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 私がこの世界で過ごした三ヶ月間に思いを巡らせているとそこへお客様がいきなりやって来た。

「やっほー! アマネ様、元気~?」

 突然風がビューっと吹いたかと思えば私のすぐ側に女性が現れた。ちらりとそちらを見れば人間離れしたとても美しい女性が目に入った。キラキラと光る長い黄緑の髪に金色の瞳を持っている。

 私はニッコリ笑い答えた。

「元気よ、シルフィーネ」

 アマネは突然女性が現れたにもかかわらず冷静だった。それはこの三ヶ月の間に慣れさせられたことでもあった。

「相変わらずアマネ様の側は心地がいいね~。 最高だね!!」

 ニコニコとしながらアマネの向かいのソファへと座る女性。そこへすかさずエメがお茶をスッと出す。

「ありがとー!」

 エメは軽く礼をしアマネの側へと戻ってきた。

「さて、今日はどんな用件があるのかしら、風の精霊王様?」

 私はわざと揶揄う様に言った。

「やだな~、用件なんて無いよー。 ただ遊びに来ただけだよ~」

「ふふっ、分かってた」

 そう、この軽い感じの女性の正体は風の精霊王シルフィーネ。まあ風の精霊王なだけあって軽いのはイメージ通り。まあこの軽さが心地いいのもあるけどね。

 シルフィーネを含めた4人の精霊王と会ったのはアリーシアと初めて出会った3日後のことだった。アリーシアからこの世界のことを教えてもらっているところにシルフィーネが今回の様に突然現れ、とても驚いた事を覚えている。

 人が突然現れるなんてそうそう経験するものじゃ無いし驚くに決まってる。そんな驚きの中で次々に人が現れて思わずアリーシアの後ろに隠れてしまったのは仕方ないことだと私は思う……。

 そんな警戒心マックスの私にシルフィーネは持ち前の軽さと人懐っこさで私の警戒を解いてくれた。キャラが濃いことには変わりはないけどね。

 シルフィーネの他に3人の精霊王のことも思い出す。

 まず火の精霊王プロメテウス。火の精霊王なだけあって明るい性格をしている。見た目はやはり人離れした美しい男性の姿だが、話すと少し残念。赤い髪と金色の瞳を持っている。

 水の精霊王ネレウス。他の3人の精霊王達に比べて年齢が高い見た目をしている。水の精霊王らしく冷静で精霊王達のまとめ役のイケオジだ。水色の髪に金色の瞳を持つ。

 土の精霊王イナンナ。すっごくセクシーなお姉さんの見た目をしているが何処となく母親の雰囲気を醸し出している。性格はおっとりしているが怒らせるとすごく、すごく怖いらしい。(これはシルフィーネ情報)髪色は茶から毛先にいくにつれて金色になっているグラデーション、瞳は金色。

 ちなみに金色の瞳を持つのはこの世界の人々にはいない。金色の瞳を持つということはそれだけでウーラノス様関連ってこと。ウーラノス様も金色だもんね。

 それに私の瞳も金色……。金色の瞳はとってもレアだと頭に入れておかなくては。

 まあ、その共通点を見つけられる人は少数だからそんなに気にしなくても大丈夫だよとはアリーシアから言われたけどね。まあ、何かあった時はその時だよ~となんともまあ軽ーい感じで言われたことを思い出した。

 それにしてもこの三ヶ月間ウーラノス様から連絡は無い。連絡がないと言うことはゆっくりしてて大丈夫だってアリーシアから聞いたから大丈夫だとは思うけどそろそろ聖域の外にも興味が湧いてきたこの頃。

 そんなことを思っているとシルフィーネはいつの間にか私の隣に座っていた。しかもぺったりと私にくっついている。このシルフィーネが私の側に来るということは……。

 何も無いところからシルフィーネが現れた時と同じように突然炎が現れた。そして私は次の展開も予想できる。

「おい! シルフィーネ! 抜け駆けはよせと言っただろう!!」

 炎の中から現れたのは火の精霊王プロメテウス。

「え~、そんなこと言ったけ?」

 ニコニコしながら惚けたフリをするシルフィーネ。

「言っただろ! それになんでそんなにアマネ様とくっついているんだよ! ズルいだろう!!」

「いいでしょ~」

 という感じのやり取りをシルフィーネとプロメテウスは結構な頻度でするのだ。そして次の展開は……。

 またまた突然水の塊が現れてそれが弾けた。

「おや、何故いつもお二人は私の前にアマネ様に会っているのでしょうね?」

 ニッコリ笑いながら現れたのはネレウス。笑っているけどその笑みがなんとなく怖い……。

 そしてそして……、ゴーっと言わせながら土煙が上がり現れたのは……。

「やだわ~。わたくしが最後なの? もういつも出遅れちゃうわ~」

 そう言って現れたのはイナンナ。困ったように笑っているけど最後なのがちょっと気に食わないのが分かる。

 四大元素の精霊王勢揃い……。

 普通なら萎縮してしまうであろうこの場面にも慣れたもんだな~と私は思った。

 そんな中、シルフィーネは他の3人の精霊王達を更に挑発する様に私に抱きついてきた。

「みんなが来るのが遅いのが悪いんだよー」

 ニヤっとしながら言うのは本当やめた方がいいと思う……。

 ピシッ……と音が聞こえた気がした。

 私は抱きついているシルフィーネから三人の精霊王達へと恐る恐る視線を戻した。

 プロメテウスは明らかにこめかみをピクピクして怒っている様だし、ネレウスは真顔になっちゃったし、イナンナは笑っているけどオーラがどす黒くなった。

 ちなみにエメはもうここにはいない。避難した様だ。出来ることなら私もエメと一緒に避難したかった……。

 思わず遠い目になってしまうのは許してほしい……。

「テメェ……、いつまでそうしてやがる。 いい加減懲らしめないとそのバカは治んないのか?」

 プロメテウスがチンピラ化した。

「まったくシルフィーネは自由過ぎますね。 プロメテウスに賛同する訳ではありませんが、一度教育し直した方がいいですね……」

 先程の表情の抜け落ちた真顔からニッコリ笑っていうネレウスだか、目が笑っていなくて本当怖い……。

「シルフィーネ、おいたが過ぎるんではなくて?」

 こちらはずっとどす黒いオーラのイナンナ。

 一触即発の雰囲気に私はため息をつきそうになった……。


 
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