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第二章 エウクラトア聖王国
11話 改めまして
しおりを挟む「さてと、堅苦しい挨拶はここまで! 楽にしてちょうだい」
私の言葉に大精霊達は跪いていたのをやめ、ソファーへと座り直した。ウォリー達は並んで立っている。
大体こんな堅苦しい挨拶はしなくても別に私は良かったんだけど、こうしたのはアリーシアから言われたから。
アリーシアいわく、『潜入している大精霊一家にも人の協力者がいます。その者達にアマネ様の方が仕える大精霊よりも上の立場だということを見せつける為にあえて堅苦しい挨拶をした方がいいですよ』と言っていたから。
だけど、かしこまられるのはどうにも慣れないな……。
まあ、慣れていかないとダメですよとアリーシアにもう言われたけどね……。
アリーシアのことを思い出しているとジルベルトさんが話し始める。
「使徒様、改めまして自己紹介を致します。 私は闇の大精霊、マーエルと申します。マーエルとお呼びください。そして本来の姿は狼です。 どうぞよろしくお願い致します」
「マーエル、こちらこそよろしくね。 それとさっきみたいにアマネって呼んで。 もちろん、みんなもね!」
きっとみんな使徒様って呼ぶだろうから前もってみんなに言った。いちいち名前で呼んでというのはちょっとめんどくさい……。
すると、私が名前で呼んでと言ったことに分かりやすく喜ぶ大精霊達。
うん、そんな喜ぶことでもないと思うけどな……と密かに私は思った。
そして次にシャリーヌさんが言う。
「わたくしは光の大精霊、ナレスと申します。 わたくしも本来の姿は狼でございます。 わたくしのことも呼び捨てでお呼びくださいませ! どうぞよろしくお願い致しますわ!」
そして、続くようにライムントくんとオフィーリアちゃんも言う。
「アマネ様に会えたこと、とても嬉しく感動しています! 僕は闇の大精霊ギエルと申します。 本来は鷲の姿です。 僕のことも呼び捨て呼んでください! どうぞよろしくお願いします!!」
「アマネ様!! 会えて嬉しいです!! わたしはラネスといいます! 光の大精霊です! 本来はゾウの姿です! ラネスって呼んでください! そして仲良くしてください!!」
「みんなありがとう! こちらこそよろしくね! ナレスにギエル、そしてラネス」
私が名前を呼ぶと満面の笑みを見せてくれた。
「みんなミドルネームが精霊名だったんだね」
「ええ、そうです。 我々の名はアリーシア様が名付けて下さったのでその名をどうにかして名乗りたかったのですよ」
「へぇー、アリーシアが名付けたのね!」
アリーシアはそんなこと言ってなかったので初耳。
「ミドルネームということもあり、アマネ様が外でわたくし達の精霊名を呼んでいたとしてもおかしくはありませんので、安心して精霊名でお呼びくださいましね!」
「分かった!」
さて、精霊達の自己紹介は終わった。次に説明してほしいのは……。
「そろそろ彼らのことも紹介してくれる?」
私はそう言って彼ら、ウォリー達の方へと視線を向けた。
「そうですね。 彼らは私達大精霊に仕える一族です。 彼らの一族は先祖代々、我々に仕えてくれてます。 ですから、我々の正体が精霊であることは既に知っています」
リュミエール公爵家は建国直後からある由緒正しき御家。その当時からレイリス家もリュミエール公爵家に忠誠を誓っている。これはただの忠誠では無く、大精霊に忠誠を誓う時、子孫永劫忠誠を誓い、その血に制約をかけたのがはじまり。血に制約をかけた事によって大精霊の秘密をバラすことはできない。絶対に……。
それから何百年とこのリュミエール公爵家の秘密を守り忠誠を誓っている。
何百年も経てば忠誠は無くならないのかな?って思うけど、血の制約はとても強力。その血が薄まることは無い……。だけど、見た感じ強制的に忠誠を誓っているような感じはしない。
私から見るとなんか、信頼関係がちゃんと築けているように見えるもん!
私はそのままウォリー達を見ている。
「まずはそれぞれ紹介致しますね。 右から執事長のセスク。 次に執事のウォリー。 暗部のリーダー、エセル。 暗部のハイン。 侍女のナディア。 そして、今ここにはいませんが侍女長のロリーナがいます。 皆、レイリス一族です。 セスクとロリーナが夫婦でウォリー達は2人の子供です。 皆、アマネ様に挨拶を……」
マーエルの言葉を受け、執事長だというセスクさんから私に挨拶をする。
「お初にお目にかかります……。 使徒様に拝謁できたこと、人生の誉れでございます。 私はこのリュミエール公爵家執事長をさせていただいております、セスク・レイリスと申します。 何かご用意際は、ぜひお気軽にお申し付けください」
セスクが言い終わると一礼をした。
セスクがそう言うとセスクに続きウォリー達も挨拶をする。
「使徒様、私は先程もご挨拶をさせていただきましたウォリー・レイリスと申します。 私も父と同様にご用意際は何なりと……」
ウォリーも挨拶を終わると一礼した。
「使徒様、先程は御者としてご一緒させていただきました。 私はエセル・レイリスと申します。 父達とは違いあまり表立って話すことは少ないでしょうが、以後お見知り置きを……」
「使徒様、私も兄達と同様に御者としてご一緒させていただきました。 私はハイン・レイリスと申します。 私のことも覚えていてくれますと嬉しいです」
「使徒様、お初にお目にかかります。 私はリュミエール公爵家侍女のナディア・レイリスと申します。 使徒様が滞在する間、お世話などをさせていただきます。 どうぞよろしくお願い致します」
最後に皆合わせて頭を下げた。
「みんな挨拶ありがとう! これから色々お世話になるよ。 よろしくね!」
私が笑顔で言うと、セスク達も顔を緩ませた。
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