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第二章 エウクラトア聖王国
10話 リュミエール公爵家
しおりを挟む頭を下げるいる使用人達に気まずさを感じながら歩いた先には私のことを熱烈に歓迎する四人が待っていた。
きっとこの四人が残りの大精霊達だろう。
一人はイエルと同じくガタイがよくマッチョなイケオジ。イエルと同じく金髪だ。だけど、目の色は黒目をしている。うん、白髪が一つもないイケオジだね!
その隣に寄り添っているのは小柄な女性。隣に大きなマッチョがいるから余計に小柄に見えるのかもしれない。こちらは艶やかな黒髪をシニヨンしてまとめている。目の色はピンク。
それから、その二人に並ぶように少年と少女がいる。
少年の方は少女より身長がある為、こちらの方がお兄さんだと思う。金髪に黒紫の瞳をしている。見た目の割にはとても落ち着いている印象。
対して少女の方はキラキラとお目目を輝かせて私の方を凝視してくる。早く話がしたい!と言わんばかりに私を見ている。黒髪にピンクの可愛らしい瞳をしている。
ざっと見た目の第一印象はこんな感じだった。
すると、代表してマッチョなイケオジが挨拶をしてくれた。
「ようこそお越しくださいました、アマネ様。 我々一同心よりお待ちしておりました! 私はジルベルト・マーエル・リュミエールと申します。 そして、こちらが妻のシャリーヌ。 それから孫のライムントにオフィーリアです」
今度は小柄な女性が私に挨拶をする。
「お初にお目にかかりますわ、アマネ様。 わたくしはシャリーヌ・ナレス・リュミエールと申します」
続いて少年と少女も挨拶をする。
「お初にお目にかかります。 私はライムント・ギエル・リュミエールと申します。 アマネ様がいらっしゃる時を心待ちにしておりました……!」
「お初にお目にかかります! わたしはオフィーリア・ラネス・リュミエールと申します! わたしも心待ちにしておりました!」
それぞれが丁寧な挨拶をしてくれた。
でも、この感じだと使用人達は絶対に私のことどっかの高貴な人だと思うよね?
……これ目立ってない?大丈夫?
そんなことを思いつつもうどうとでもなれーという気持ちで私も挨拶をする。
「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。 これからお世話になります。 どうぞよろしくお願いしますね」
私はニッコリ笑って言った。それだけで目の前の四人は大変嬉しそうだ。
「さあ! ここではなんですし、屋敷の中へ……」
そう言ってマッチョなイケオジ、ジルベルトさんに続いてみんなで屋敷の中へと案内された。
公爵家の中はとても豪華だった。これが本物貴族か~と納得するくらいに豪華だ。
まあ、私の聖域の家も負けてはいないけどね。
そして、案内されたのはこれまた豪華な部屋。これは前世庶民の私からしたら少し落ち着かないね……。
だけど私の心の声などつゆ知らず、大精霊一家はテンション上がりまくりで私に勧める。
「ささっ! アマネ様、ぜひ自分の家だと思ってくつろいで下さい!」
イエルがそう勧める。
「あ、ありがとう……」
私は勧められるがままにとても座り心地の良いソファーへと座る。
ルフスとリドは座る私の後ろに立っている。リドの肩にはマリンがいる。そして、シストは当然のように私の膝の上に陣取った。
「なっ……!!」
その様子に誰かが声を上げたがシストは気にせず私の膝の上で寛いでいる。私はいつも通りのシストにクスリと笑い、頭を撫でてあげた。
「羨ましい……」
また、ボソッと誰かが言った。その声に反応して視線を大精霊一家に向けると、立ったまま私の膝の上のシストに注目していた。
……私だけ座っているの凄く気まずいのですけど。
「あの~……。 座らないのですか……?」
私の問いかけに大精霊一家はハッとし、それぞれがソファーへ座った。目の前にはジルベルトさんとシャリーヌさんが。右にはイエルとイーセスが。左にはライムントくんとオフィーリアちゃんが座っている。
そして、部屋の中には先程の執事ウォリーとウォリーが歳を重ねたらそんな顔になるであろうというようなおじさまがいる。後は御者だった二人も服装を変えてここにいる。後1人は知らない女性が一人いる。
「まずは話す前に失礼致します……」
そう言ってジルベルトさんはパチンっと指を鳴らした。
すると、この部屋が遮断された様な感じがした。つまり、結界のようなものが張られたのだろう……。
そのことに気づいた私にジルベルトさんが言う。
「結界を張らせていただきました。 これから話すことは誰にも聞かれない様に、それから見られぬようにと……」
私はその言葉に頷いた。そして私は変身魔法を解き、九尾の獣人の姿に戻った。
すると、大精霊一家はソファーから立ち、跪き頭を下げる。ウォリー達も同様にさらに深く頭を下げている。
「ウーラノス様の使徒様、この世界にご降臨致しましたこと心よりお喜び申し上げます……」
代表してジルベルトさんがかしこまって言う。
「ありがとう。 頭を上げてください……」
私がそう言うと皆頭を上げた。そして私は続けて言う。
「ウーラノス様が作ったこのアズフェールを、この世界がより良い方へ向かうように微力ながらお手伝いします。 今回は貴方達の力もお借りします。 よろしくお願いします」
「使徒様のお力になれることは我々の喜びでございます……! どうぞ、皆の力を存分に使徒様の役に立てて下さいませ!」
大精霊達は一斉にまた私に頭を下げた……。
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