聖女によって婚約者を取られ追放された公爵令嬢は魔王に保護される

ラキレスト

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5話

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 さて、もう十分聞いたので反論しましょうか。

「虐めの件ですが、それはいつ起きた事なのですか?」

「人気がいなくなった放課後よ」

「それは無理な事でございます。わたくしは妃教育で学園の授業が終わり次第すぐに王宮に参りますわ。証人は王妃様と妃教育の先生であるフローレス伯爵夫人、それに王宮にいる皆ですわ」

「嘘です! 私はアレクシア様に意地悪されました」

「ダニエル殿下、それとわたくしが殿下を好きで振り向いてくれない嫉妬から虐めたと仰いましたが、わたくしは一度も嫉妬などしておりませんわ。殿下とは政略結婚、愛などないですわ」

「っ! ……だが、暴漢の件はお前だろ!」

「いいえ、第一、わたくしはマリーナ様を虐める、嫉妬、憎いという感情はありませんわ。殿下と仲良くしようが愛されようが私には関係無いですもの。興味もありませんわ」

「しかし、お前は俺の婚約者だっただろう? お前が望んで権力で婚約者になったんだろう!」

「それはわたくしのお父様と陛下が望んだこと。わたくしの意思はありませんわ」

「っ! ……」

 本当に面倒ですわ……。こんな自分勝手な王子を誰が好きになるのですか!!……あぁ、目の前に居ましたわ。

「ふっ、しかし! 暴漢の件に関しては確固たる証拠がありますよ!」

 まーた、始まりましたわ……。それもお粗末な証拠でしょ……。

「捕らえた暴漢がお前から依頼されたと言った!」

「それは、本当にわたくしなのですか? しかし、それも無理でしょう。私には王家の影が常に監視しておりますので、もちろんダニエル殿下にもついておりますわよ」

 ニッコリと笑って差し上げたわ。ダニエル王子達は真っ青になっておられますわ。まだ王太子が決まってない中で王に相応しいか監視されるのは当たり前でしょう。本当おバカさん。

「これでわたくしがやったという確実な証拠はありませんわ。それでも主張をするなら国王陛下、王妃陛下が隣国よりお帰りになられたら、お話致しましょう」

 今は、両陛下は隣国に行っていていない。その隙をついてこんな茶番をしたのだろうけど……。そろそろ終わりにしなければ。

「いや、お前はここで断罪する! マリーナが言った事は本当の事だ! それにお前は魔族だ! その黒髪と赤目がものがたっているでは無いか! 魔族がこの国を乗っ取ろうとしても無駄だ! この俺は騙されないぞ!」

 終わりにできると思ったのに……。いちいち、面倒ですわね!しかも、黒髪、赤目と言うけど、あなたのお祖母様、スカーレット様も黒髪、赤目じゃないの。それに王妃様も黒髪よ。

「お言葉ですが、ダニエル殿下のお祖母様であらせられるスカーレット様も私と同様、黒髪、赤目ですが?」

 さて、どう言い返してくるのかしら?
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