聖女によって婚約者を取られ追放された公爵令嬢は魔王に保護される

ラキレスト

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10話

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 心の準備もままならないまま、転移されてしまった。

 待ってって言ったのに……。少し泣きたい気分だ……。

 転移した場所はどこかの部屋の様だ。綺麗に整っていて高貴な人の部屋。多分、魔王様の部屋??

「アレクシア、着いたぞ!」
「おい、シュヴァルツ急に転移してくるな……」

 アレクシアが着いたぞ!と言った後に背後から聞こえてきた声。声のする方を見るとその人はいた。

 長い漆黒の髪を緩やかに編んだ髪に私よりも真っ赤な瞳。そして恐ろしく整った顔。今は座って居るから分からないが、多分スラリとしていて身長も高いだろう……。思わずジッと見てしまっていた。

「してシュヴァルツ、そちらの方は?」

「この者はアレクシア。我がパンテル国から魔の森に捨てられそうになって居るところを連れて来た」

「なぜ?」

「お前も分かっているはずた。オニキス様が気にかけていた子だよ」

「っ!?」

 何やら男の人は、私をびっくりした様に見てくる。そんなまじまじと見られると恥ずかしい……。しかも、今はシュヴァルツ様の背中に乗ったままだし、靴は履いてないし、髪も崩れてボサボサかもしれない!そう思うとオロオロしてしまう。

 そんな私の様子に気づいたシュヴァルツが気を聞かせてくれたみたいだ。

「魔王よ、そんなにアレクシアをまじまじ見るな。アレクシアが困っておる……」

「ああ、すまない」

「いえ……」

 そう言うと魔王様は私に近づいて来て手を差し出して来た。

「お手をどうぞ、レディー」

「!? あ、ありがとうございます」

「ほぅお~」

 顔が赤くなっているだろうが、せっかく魔王様が手を差し伸べてくれたのでその手をとってシュヴァルツの背中から降りる。すると靴を履いてない事に魔王様は気づいたのか、突然私をお姫様抱っこした。

「きゃっ!! ……あ、あの!」

「靴を履いていない様だからな……」

「それでも、これは……!」

「大丈夫だ」

 いや!大丈夫じゃないわ!もう胸がドキドキとすごい音が鳴っているわ!

 魔王様は私の様子は気にせず、近くのソファーに私を降ろした。すると足を見て言った。

「怪我してるな……」

「あっ……」

 よく見ると細かい傷が両足についていた。あの時森の道を靴なしで歩いたせいだ。やっぱり傷ついていた……。

「すまん、我が早く気づかなかったから……」

「シュヴァルツ様、大丈夫ですわ。 それにその後背中に乗せてくれたではありませんか、あのまま歩いていたら悪化してましたわ。背中に乗せて頂いてありがとうございます」

「そうか……」

 シュヴァルツ様はしょんぼりしてましたが、シュヴァルツ様にはすごく助けてもらい感謝しきれませんわ。

「シュヴァルツ、大丈夫。私が治す」

「えっ?」

 魔王様が私の足を触った。すると、足が温かくなりあっという間に傷は治った……。
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