聖女によって婚約者を取られ追放された公爵令嬢は魔王に保護される

ラキレスト

文字の大きさ
12 / 39

12話

しおりを挟む
 ブランシェ聖国の考え……。ブランシェ聖国はアルバニア神を唯一神とし、それ以外の神は認めないと頑なな考え方だ。その使いである神獣セフィド様は白い狼だ。実際はブランシェ聖国にセフィド様はいないという噂だが……。確かにブランシェ聖国の敬っている神獣様が白い毛並みとはいえそれだけで、なぜ神獣は白だという認識が広まってしまったのか?と思い始めた。

「人は短命だからな……」 

 昔々、神獣が白い毛並みだと信仰を広めようとしたブランシェ聖国の神官達が民達に尊い神獣様は美しい白色の毛並みを持つと。そして、白い動物を讃えれば何事にも救われると。そう教えたのだ。

 それがいつの間にか人々に伝わってしまった……。貴族や勉強ができる者、あるいは国に違う神獣様いれば神獣は白色だけでは無いと正す事ができたが、学問のない貧しい民達をはじめに、瞬く間に広がっていったという。そして長い年月が経ち神獣は白だという認識が出来てしまったという。

「まあ、中々神獣には会わないわな。それそこ、一つの国にずっと居ることなどありえん。ブランシェ聖国も含めてな……」

 シュヴァルツはニヤリと笑った。安易にブランシェ聖国に神獣はいないと言った様なものだ。

「シュヴァルツ様は何故魔国に?」

「我が魔国に居るのはヴィンスが居るからだ! ヴィンスはオニキス様の加護も貰っておるしな!」

「ああ、光栄だな」

 2人は笑っている。なんとも羨ましい関係だ。そして思う。私の唯一の味方ーリラの事を……。

 リラは大丈夫かしら……?私の事を聞いて悲しんでいないといいけど……。
 
「何かしたか?」 

「!、何でもありませんわ」

「……そうか」

 顔に出てしまっていたのかしら?私はあまり表情は出ない方だと思うのだけど……。ヴィンス様に会ってからちょっと感情が出やすくなったのかしら?

「話を進めるぞ」

「はい」

「して、なぜアレクシアを知っているかという質問だな。それはなオニキス様が気にかけて見ていた子だから」

「!? 何故魔神様がわたくしの事を……」

「それはお主が魔族の先祖返りだからだ……」

「!」

 私が先祖返り……?魔族の……?

「急に言われても混乱するだろうな……」

「それはわたくしの先祖が魔族だったと言う事ですよね?」

「そうだ」

「しかも、そちらの貴族は大体が昔、魔族と交わって魔族の血を引いている」

「パンテル国は魔族と人間のハーフの国だぞ? 今は人間の血の方が強いみたいだがな。だから他の国より寿命が長いだろう?」

 確かに私の国は周りの国より寿命が長い。でも、魔族の血を引いているからだとは思わなかった……。

「知らなかった……」

「それは、そうだろう。この秘密を知るのは王と王妃、王太子になった者。それにオニキス神の教会の者達しか知れない事だからな」

 王家と教会だけしか知らない真実。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

婚約が白紙になりました。あとは自由に生きていきます~攻略対象たちの様子が何やらおかしいですが、悪役令嬢には無関係です~

Na20
恋愛
乙女ゲーム"この花束を君に"、通称『ハナキミ』の世界に転生してしまった。 しかも悪役令嬢に。 シナリオどおりヒロインをいじめて、断罪からのラスボス化なんてお断り! 私は自由に生きていきます。 ※この作品は以前投稿した『空気にされた青の令嬢は、自由を志す』を加筆・修正したものになります。以前の作品は投稿始め次第、取り下げ予定です。 ※改稿でき次第投稿するので、不定期更新になります。

弟が悪役令嬢に怪我をさせられたのに、こっちが罰金を払うだなんて、そんなおかしな話があるの? このまま泣き寝入りなんてしないから……!

冬吹せいら
恋愛
キリア・モルバレスが、令嬢のセレノー・ブレッザに、顔面をナイフで切り付けられ、傷を負った。 しかし、セレノーは謝るどころか、自分も怪我をしたので、モルバレス家に罰金を科すと言い始める。 話を聞いた、キリアの姉のスズカは、この件を、親友のネイトルに相談した。 スズカとネイトルは、お互いの身分を知らず、会話する仲だったが、この件を聞いたネイトルが、ついに自分の身分を明かすことに。 そこから、話しは急展開を迎える……。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

処理中です...