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元通りの痣
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果たしてそこに、茶色の巾着袋はあった。
当然だ。始めから、制服のポケットに入っていたのだから。
中を開けて、手のひらに取り出してみる。
七色に光る細長い竜の鱗は、夢の中で見た那岐の逆鱗と寸分の狂いもなく、同じ形だった。
「それがゲキリン? とりあえず保健室に行こうよ」
沙耶は逆鱗について何も知らないようだった。彼女は村長の娘のサヤではなく、私の親友の沙耶なのだ。
再び制服のポケットに巾着袋ごと仕舞い、私は茫然と呟く。
「ごめん……私の勘違いだった。夢の中の話だった……」
「悪夢でも見たの? すごく疲れてるみたいだよ」
生贄の私を睥睨していたサヤとはまるで違い、沙耶は親切に私を気遣ってくれた。
幼い頃からいつも見てきた悪夢。
狭い箱の中で焼き殺される悪夢。
夢の中で、私は生贄のニエだった。
保健室の先生に私を託すと、沙耶は教室に戻っていった。私の熱を測って様子を見た保健師に、ベッドで休むよう促される。平熱なので、軽い疲労という診断だった。
ベッドに横になり、純白の仕切り布をぼんやりと見上げる。
本当に、夢だったのだろうか。
那岐の、低いけれど透き通った声音。手をつないだときに伝わる低い体温。心を震わせる、彼の言葉のひとつひとつ。
那岐への溢れる恋情とそして、己の胸を占める後悔。
那岐に伝えられなかった最後の一文字。
焼け爛れて骨になった手に握られた和紙の欠片。
ふと、左手を開いて見てみる。
「……あれ?」
消えていたはずの痣は、元通りそこにあった。
痣がなくなっていたのは夢の話なので、目が醒めればもちろん痣はそのままある。
疎ましく思っていた左手の痣が、意味を持っているような気がして、私はじっと手のひらを見つめた。
チャイムの音が鳴り、授業が終わったことを報せる。
やがて生徒たちのざわめきが廊下を通して保健室まで届いた。もう、下校時刻だ。
からりと保健室の扉が開かれた音がした。
保健師と、低い声の男が会話を交わす。
はっとした私がベッドから身を起こすのと同時に、仕切りのカーテンが引かれた。
「西河くん……」
薄く微笑んだ西河くんは、自分の鞄の他に、私の鞄まで抱えていた。
一瞬、那岐の声かと思ったけれど、西河くんだった。那岐のわけないのに。
「具合悪そうだったね。どう、気分は?」
丸椅子を持ってきた西河くんはベッドの脇に腰を下ろした。
「あ……うん。もう平気。あの……鞄、持ってきてくれて、ありがとう」
「どういたしまして」
ぎこちなく話す私に対して、西河くんは自然体だった。
彼の声質も瞳の色も、体つきまで那岐とそっくりなので、私は戸惑いを隠せない。
「あ……そうだ、逆鱗……!」
私はポケットから巾着袋を取り出して両手に乗せ、西河くんの前に差し出す。
「これ、返すね。やっぱり預かれないから」
西河くんはふと笑みを収めると、私の瞳を見つめた。
「これが逆鱗だって、どうして知った?」
「……え」
柔らかい口調だった西河くんの声が、急に重い響きを伴う。
そんなふうに言われると、いっそう那岐を彷彿とさせた。
「俺は、これが竜の鱗だとは言ったけど、逆鱗だとは話してないよ」
「……だって、生まれたときに一枚だけあったんだよね?」
「あったね。どこだと思う?」
「喉元でしょ?」
那岐の喉元に逆鱗はあった。私は自分の喉元を指し示す。
「正解」
西河くんは笑顔を浮かべた。その笑みには、那岐と同じ位置にえくぼがあった。
そういえば、逆鱗のことを話してくれたのは那岐だったのだ。双方の鱗は全く同じに見えるので、西河くんの鱗も逆鱗なのだろうと思い込んでいた。
「気づいたんだね。俺はただ、気がついてほしかったから相原さんに逆鱗を預けたんだけどさ」
西河くんが何を言いたいのか、よくわからない。
まるで逆鱗のせいで、私が悪夢を見たのだと彼は指摘しているようだった。
「どういうこと?」
「いや……どう言えばいいのかな。ちょっと考えてる」
西河くんは深く考え込んでいるようだけれど、、私には訳がわからなかった。
そのとき保健室の扉が開かれて、誰かが入室してきた。
「失礼します。二組の飯田沙耶です」
沙耶がやってきた。ここに西河くんがいるので、些か気まずい思いに囚われる。
ベッドの私、そして西河くんを順に眼に映した沙耶は瞳を瞬かせた。
さらりと、西河くんは告げる。
「相原さんは俺が送るから、飯田さんは心配しなくて大丈夫だよ」
「……いいの? 西河くんが送るって言うなら、いいけど」
「うん。ぜひ送りたい。本人の了解はもう取ってあるから」
いつ私の了解を得たのだろうか。初耳だ。
「そっか。じゃあね」
沙耶は早々に保健室をあとにした。どうやら西河くんが家まで送ってくれることになったらしい。茫然としている私に向き合いながら、西河くんはまたしても驚きの発言を投げてくる。
「相原さんの体調も良さそうだから、帰ろうか。俺の家に行こう」
「はあ?」
頓狂な声が漏れてしまう。どうしてそんなことになるのか。私は西河くんはもちろん、男子の家に上がったことがない。
逆鱗を受け取る気のないらしい西河くんは、私の手に巾着袋を握らせると、鞄を手にして立ち上がる。私の鞄も彼の手の中にあった。
「自分で持つよ」
「病人が遠慮しなくていいよ」
「さっき、体調良さそうって言ってなかった?」
「うーん、忘れた。俺、都合良く忘れるから」
腰を上げた西河くんと共に保健室を出る。彼は私の鞄を持つことを頑として譲らなかった。仕方ないので西河くんに鞄を預けて校舎をあとにする。
「自転車は置いていこうか。駅に行こう」
言われたとおり、自転車置き場を通り過ぎ、西河くんと並んで駅へ向かう。商店街を通れば、夏の気怠い空気と夕暮れの喧噪に包まれていた。
何も変わらない日常の光景の中、ふと夢のことを思い出す。
西河くんの逆鱗はここにある。
でも那岐の逆鱗は、どうなったのだろうか。
サヤの手に渡ってから、那岐に返してもらえたのだろうか。
夢の中では明らかになっていないので、それが気になる。
全部、夢だったわけだけれど……。
「何考えてた?」
当然だ。始めから、制服のポケットに入っていたのだから。
中を開けて、手のひらに取り出してみる。
七色に光る細長い竜の鱗は、夢の中で見た那岐の逆鱗と寸分の狂いもなく、同じ形だった。
「それがゲキリン? とりあえず保健室に行こうよ」
沙耶は逆鱗について何も知らないようだった。彼女は村長の娘のサヤではなく、私の親友の沙耶なのだ。
再び制服のポケットに巾着袋ごと仕舞い、私は茫然と呟く。
「ごめん……私の勘違いだった。夢の中の話だった……」
「悪夢でも見たの? すごく疲れてるみたいだよ」
生贄の私を睥睨していたサヤとはまるで違い、沙耶は親切に私を気遣ってくれた。
幼い頃からいつも見てきた悪夢。
狭い箱の中で焼き殺される悪夢。
夢の中で、私は生贄のニエだった。
保健室の先生に私を託すと、沙耶は教室に戻っていった。私の熱を測って様子を見た保健師に、ベッドで休むよう促される。平熱なので、軽い疲労という診断だった。
ベッドに横になり、純白の仕切り布をぼんやりと見上げる。
本当に、夢だったのだろうか。
那岐の、低いけれど透き通った声音。手をつないだときに伝わる低い体温。心を震わせる、彼の言葉のひとつひとつ。
那岐への溢れる恋情とそして、己の胸を占める後悔。
那岐に伝えられなかった最後の一文字。
焼け爛れて骨になった手に握られた和紙の欠片。
ふと、左手を開いて見てみる。
「……あれ?」
消えていたはずの痣は、元通りそこにあった。
痣がなくなっていたのは夢の話なので、目が醒めればもちろん痣はそのままある。
疎ましく思っていた左手の痣が、意味を持っているような気がして、私はじっと手のひらを見つめた。
チャイムの音が鳴り、授業が終わったことを報せる。
やがて生徒たちのざわめきが廊下を通して保健室まで届いた。もう、下校時刻だ。
からりと保健室の扉が開かれた音がした。
保健師と、低い声の男が会話を交わす。
はっとした私がベッドから身を起こすのと同時に、仕切りのカーテンが引かれた。
「西河くん……」
薄く微笑んだ西河くんは、自分の鞄の他に、私の鞄まで抱えていた。
一瞬、那岐の声かと思ったけれど、西河くんだった。那岐のわけないのに。
「具合悪そうだったね。どう、気分は?」
丸椅子を持ってきた西河くんはベッドの脇に腰を下ろした。
「あ……うん。もう平気。あの……鞄、持ってきてくれて、ありがとう」
「どういたしまして」
ぎこちなく話す私に対して、西河くんは自然体だった。
彼の声質も瞳の色も、体つきまで那岐とそっくりなので、私は戸惑いを隠せない。
「あ……そうだ、逆鱗……!」
私はポケットから巾着袋を取り出して両手に乗せ、西河くんの前に差し出す。
「これ、返すね。やっぱり預かれないから」
西河くんはふと笑みを収めると、私の瞳を見つめた。
「これが逆鱗だって、どうして知った?」
「……え」
柔らかい口調だった西河くんの声が、急に重い響きを伴う。
そんなふうに言われると、いっそう那岐を彷彿とさせた。
「俺は、これが竜の鱗だとは言ったけど、逆鱗だとは話してないよ」
「……だって、生まれたときに一枚だけあったんだよね?」
「あったね。どこだと思う?」
「喉元でしょ?」
那岐の喉元に逆鱗はあった。私は自分の喉元を指し示す。
「正解」
西河くんは笑顔を浮かべた。その笑みには、那岐と同じ位置にえくぼがあった。
そういえば、逆鱗のことを話してくれたのは那岐だったのだ。双方の鱗は全く同じに見えるので、西河くんの鱗も逆鱗なのだろうと思い込んでいた。
「気づいたんだね。俺はただ、気がついてほしかったから相原さんに逆鱗を預けたんだけどさ」
西河くんが何を言いたいのか、よくわからない。
まるで逆鱗のせいで、私が悪夢を見たのだと彼は指摘しているようだった。
「どういうこと?」
「いや……どう言えばいいのかな。ちょっと考えてる」
西河くんは深く考え込んでいるようだけれど、、私には訳がわからなかった。
そのとき保健室の扉が開かれて、誰かが入室してきた。
「失礼します。二組の飯田沙耶です」
沙耶がやってきた。ここに西河くんがいるので、些か気まずい思いに囚われる。
ベッドの私、そして西河くんを順に眼に映した沙耶は瞳を瞬かせた。
さらりと、西河くんは告げる。
「相原さんは俺が送るから、飯田さんは心配しなくて大丈夫だよ」
「……いいの? 西河くんが送るって言うなら、いいけど」
「うん。ぜひ送りたい。本人の了解はもう取ってあるから」
いつ私の了解を得たのだろうか。初耳だ。
「そっか。じゃあね」
沙耶は早々に保健室をあとにした。どうやら西河くんが家まで送ってくれることになったらしい。茫然としている私に向き合いながら、西河くんはまたしても驚きの発言を投げてくる。
「相原さんの体調も良さそうだから、帰ろうか。俺の家に行こう」
「はあ?」
頓狂な声が漏れてしまう。どうしてそんなことになるのか。私は西河くんはもちろん、男子の家に上がったことがない。
逆鱗を受け取る気のないらしい西河くんは、私の手に巾着袋を握らせると、鞄を手にして立ち上がる。私の鞄も彼の手の中にあった。
「自分で持つよ」
「病人が遠慮しなくていいよ」
「さっき、体調良さそうって言ってなかった?」
「うーん、忘れた。俺、都合良く忘れるから」
腰を上げた西河くんと共に保健室を出る。彼は私の鞄を持つことを頑として譲らなかった。仕方ないので西河くんに鞄を預けて校舎をあとにする。
「自転車は置いていこうか。駅に行こう」
言われたとおり、自転車置き場を通り過ぎ、西河くんと並んで駅へ向かう。商店街を通れば、夏の気怠い空気と夕暮れの喧噪に包まれていた。
何も変わらない日常の光景の中、ふと夢のことを思い出す。
西河くんの逆鱗はここにある。
でも那岐の逆鱗は、どうなったのだろうか。
サヤの手に渡ってから、那岐に返してもらえたのだろうか。
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