つがいの薔薇 オメガは傲慢伯爵の溺愛に濡れる

沖田弥子

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謀略の男爵 6

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「効いてきたかな?」
「え……?」

 立ち上がった浩一郎はテーブルを回り込み、悠々と澪の体を抱き上げた。
 体は痺れたように動かない。為すがままに横抱きにされて、剥製が飾られた部屋のソファに運ばれる。

「叔父さま……何だか、僕、からだが……」
「動かせないだろう? 美味しかったかな。媚薬入りの特製チョコレートは」

 息を呑んで眸を見開く。先ほどのチョコレートに薬が混入されていたのだ。妙な味はしなかったので、全く分からなかった。

「ワインに入れると怪しまれるからね。媚薬といっても体に害はないから安心するといい。少し体の自由が利かなくなって、気持ちよくなるだけだ」
「どう……して……」

 ソファに横たえられた澪の髪を、浩一郎は一房摘まむ。
 その表情には勝ち誇る雄の色があった。

「君のような美しい人は、ぜひ剥製にして飾っておきたいと思ってね」

 澪の背筋を恐怖が伝う。
 部屋に飾られた数々の剥製は、すべて浩一郎に殺された動物たちだ。
 まさか澪を殺して、コレクションのひとつに加えようというのだろうか。

「でも妊娠できるオメガとなると、ただ剥製にするのは勿体ないかな。私の子を産んでよ、澪君。きっと優秀なアルファが生まれるよ」

 蕩々と語られる浩一郎の計画に寒気がする。
 お腹には晃久の子がいるのだ。それなのに浩一郎の子を孕まされるなんて、耐えがたかった。

「そ、んな……僕の、お腹には……」
「晃久の子がいる? でも妊娠しているか不確定なんだろう? ……触診して確かめてあげよう」

 妖艶な笑みを浮かべた浩一郎の腕が伸ばされる。長い指先が、澪の胸元の釦をひとつずつ外していった。

「う……、や……」

 体の動かせない澪には抗う術がない。上着を脱がされ、スラックスや下着も剥がれて、身を纏うものは薄いシャツ一枚になった。
 釦のすべて外されたシャツを、浩一郎はゆっくりと左右に開いていく。外気に晒された胸が、ぴくりと震えた。

「こんなに痕を付けているのか、晃久め。このままでは剥製にできないな。消えてからでないと」

 晃久に付けられた刻印は別荘にいたときほどではないが、絶え間なく澪の白い肢体に紅い花を散らしていた。浩一郎の纏わりつくような視線が首筋から胸に下り、腹や腿に至るまで這わされていく。
 心は恐怖に震えているのに、花芯はまるで触れられるのを待っているかのように頭を擡げ始めていた。

「寒いかい? 乳首が立ってるね」

 つん、と指先で弾かれ、甘い快楽が背筋を走る。

「んっ」

 思わず漏れてしまった声に愕然とする。動かせない体は熱が籠もったように体の奥底が疼いていた。

「可愛い声だ。こうすると感じるのかい」

 両の突起を捏ねられ、押し潰される。
 そうされると、甘い疼きはあとからあとから湧き上がってくる。
 澪は声が漏れないよう唇を閉ざして、必死に与えられる快感に耐えた。

「我慢しなくていいんだよ。声は出せるだろう」
「んん……や、いや……」
「じゃあ、これはどうかな?」

 ぬろり、と尖った乳首を舐め上げられる。口腔に含まれ、きつく吸われた。それだけでもたまらないのに、浩一郎は花芯に指を絡めてゆるゆると扱き上げる。

「ひゃあっ、あっ、あっ、いや、いやぁっ」

 鮮烈な快楽が走り、びくびくと体が淫らに跳ね上がる。
 いやなのに、感じたくないのに。快楽に慣らされた体は雄を求めるように喘ぎ声を迸らせて、花芯からはとろりとした蜜が滲む。

「いい声だ。そのまま達してみようか」

 先端に滲んだ蜜が掬われて幹に塗り込められ、いっそう滑りを良くする。浩一郎の指は淫猥な音楽を奏でる。くっちゅ、くちゅと淫らな水音を立てる花芯は男の手の中で震え、よがり、新たな蜜を次々に滴らせた。

「いや、……だめ、叔父さま、だめぇ」

 快楽の淵に堕とされるのを体を震わせながら耐え、甘い否定の言葉を紡ぐ澪は、この上もなく扇情的だった。
 浩一郎は猛禽類のような双眸で、震える胸の突起にむしゃぶりつく。
 激しく花芯を擦り上げられて、瞬く間に深淵に突き落とされる。

「ひあっ、やあぁ、あっ、あん、んっ、……ん――っ」

 欲の飛沫を吹き上げて、快楽の残滓に揺れる花芯をぬるぬると撫でられる。
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